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広告表現が法律に違反しているかどうかの判断手法

2020.5.21
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1 はじめに

広告を規制する法律には、景品表示法や薬機法がありますが、どのような表現が法律に違反するのかが曖昧で分かりにくいという声をよく耳にします。実際、広告表現が法律に違反しているかどうかについては、明確な基準がない場合のことが多いと言えます。そのため、広告表現が法律に違反しているかどうかを見極めるためには、判断手法の基本的な考え方を理解しておく必要があります。

2 個々の表現ではなく、全体の印象で判断される

それは、広告表現が法律に違反しているかどうかは、個々の表現ではなく、全体から受ける印象で判断されるということです。

例えば、「スッキリ」という表現は、ダイエットを謳うサプリなどの広告で、痩身効果を暗示する言葉として、よく使われます。しかし、「スッキリ」という表現は、便通の改善や整腸作用を意味する言葉としても使われることがあります。また、他にも味覚を表現する言葉として使われることもあるかもしれません。

このように、個々の表現だけを切り取って考えても、その言葉が何を意味しているのかははっきりしません。その言葉の意味するところを正確に理解するためには、その他の表現を含めた広告全体の中で、その言葉の意味するところを判断する必要があるのです。例えば、体重計に乗ったスリム体型の人の写真があれば、「スッキリ」は痩身効果を意味している場合が多いでしょうし、両手でお腹を押さえた人の写真があれば、便通の改善や整腸効果を意味している場合が多いでしょう。

3 個々の表現で全体の印象が変わるわけではない

逆に考えれば、必ずしも、個々の表現で全体の印象を変えられるわけではないということでもあります。

例えば、健康食品で「これを飲むだけで痩せる」といった広告が、頻繁に優良誤認表示で措置命令を受けています。痩せるためには運動をするか食事制限をする必要があるからです。そのため、「運動と食事制限を組み合わせた結果です」といった記載をすることで、措置命令を免れようとする広告も見られます。しかし、単に「運動」や「食事制限」といった表現を盛り込んでいても、多くの場合、広告全体を見れば、結局は「これを飲むだけで痩せる」という印象を与えてしまっています。実際に、ダイエットサプリの広告で、「運動」や「食事制限」といった表現が含まれていても、措置命令を受けたケースがあります。

4 最後に

このように、広告表現の適法性を判断するためには、広告全体から受ける印象を、最初に考えなければいけません。その判断をするためには、過去に措置命令などの行政処分を受けた事例を収集し、検討することで、判断のコツをつかんでいく必要があります。

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弁護士成眞海Shinkai Sei

経歴:九州大学法学部、中央大学大学院法務研究科卒業後、平成25年に弁護士登録。29年4月に丸の内ソレイユ法律事務所入所。美容業界と広告に精通した弁護士として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務める。美容や広告に関するセミナーでの講演を多数経験し、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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