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携帯型空間除菌用品に対する行政指導から合理的根拠を考える

2020.5.28
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1 はじめに

消費者庁は、2020年5月15日、携帯型の空間除菌用品の販売業者5社に対して、優良誤認表示の恐れがあるとして行政指導を行ったことを発表し、一般消費者への注意喚起を行いました。

これらの商品は、首から下げるなど、身につけて使用するもので、二酸化炭素塩素を利用した空間除菌を標ぼうするものでした。なぜ、これらの商品の広告は、優良誤認表示の恐れがあると判断されてしまったのでしょうか。

2 表示には合理的根拠が必要

景品表示法においては、消費者庁などから優良誤認表示ではないかとの指摘を受けた場合、事業者の側で、その表示の合理的な根拠を提出しなければならないとされています。
もし、事業者が合理的な根拠を提出できなければ、その表示は優良誤認表示だとみなされてしまいます。これを不実証広告規制といいます。

本来、行政処分をするには、行政の側で法律違反があったことを証明しなければならないところ、その証明を事業者側でしなければならないとしているわけですので、事業者にとっては非常に厳しい仕組みとなっています。
そのため、事業者にとっては、何が合理的根拠になるのかを知っておくことは、極めて重要です。

3 実際に使用する状況での根拠が必要

消費者庁の発表によれば、今回行政指導を受けた携帯用の空間除菌用品は、狭い密閉空間での実験結果を根拠資料としていたようです。
しかし、携帯用の空間除菌用品は、人が身につけて使うものですから、狭い密閉空間で使用されるものではありません。
自宅にいるときに使用するとしても、普通は6畳程度の広さの部屋で使いますし、すべてのドアや窓が密閉されている状況の方が例外的です。それに、除菌効果を得たいのは、自宅ではなく外出時であることがほとんどです。
そのような場合には、密閉空間とは言えない状況の方が格段に多いでしょう。

密閉空間でない場合、周囲の空気はどんどん入れ替わっていきます。
空気中のウイルスもそれに伴って入れ替わっていくわけですので、密閉空間と同じようにはウイルスの除菌効果を得ることはできません。
消費者庁の発表でも、風通しのある場所で使用する場合には、表示どおりの効果が得られない可能性があると指摘されています。

このように、合理的な根拠と言えるためには、実際に使用する状況における根拠資料である必要があります。

4 最後に

事業者が合理的な根拠だと考えている資料でも、法的に見ると、合理的とは言えないものであることが多々あります。
特に、実験結果を根拠としている場合には、「実験までしているのだから合理的な根拠になるに違いない」と思ってしまいがちです。
この機会に、改めて根拠資料について見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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弁護士成眞海Shinkai Sei

経歴:九州大学法学部、中央大学大学院法務研究科卒業後、平成25年に弁護士登録。29年4月に丸の内ソレイユ法律事務所入所。美容業界と広告に精通した弁護士として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務める。美容や広告に関するセミナーでの講演を多数経験し、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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