商品やサービスの秘密情報を漏洩から守りたい!医薬品ビジネスから見る不正競争防止法とは

自社の商品やサービス、またはアイディアなどは事業主にとってはかけがえのない大事なものですよね。そしてそれらに秘密情報が含まれる場合には、守られるべきものでもあります。
今回は不正競争防止法という法律と秘密情報をどう自ら守って行くか、対策と手段をご紹介します。
 

まず、秘密情報の話をするにあたり、医薬品ビジネスに関する業務を例としてみていくことにしましょう。
医薬品ビジネスを進めるにあたり、当該ビジネスを時系列で概観すると、大きく以下の5つの業務があります。
 

①薬のタネを見つけその芽を育む研究業務
②さらに芽を成長させ、医薬品としての有効性と安全性に関するエビデンスを創出・収集し、当局から製造販売承認を得る開発業務
③販売する製品を製造する生産業務
④製品を販売しプロモーションを行う販売・営業業務
⑤製造販売後のエビデンス創出・医薬関係者等への情報の周知を行うメディカルアフェアーズ業務
 

このように複数のステップに及びこととなります。
 

今回は、特に重要な①研究業務及び②開発業務に関する契約の主なポイントに着目してみることにします。
 

①研究業務について

研究業務を行う際に交わす契約として、試料提供契約書(MTA)、研究委託契約書、共同研究契約書、共同特許出願契約書、ライセンス契約書などがあります。
 

これらを締結する趣旨としては、研究活動によって生じることが想定される研究成果に即して、研究成果を定義した上で、その知的財産権や所有権の帰属、実施権の内容や条件、研究成果の公表に関して、明確にルールを決めておくことにあります。
 

特に、製薬企業とアカデミアとの共同研究においては、それぞれの目的が異なります。製薬企業の目的が、医薬品の開発・製造販売、医薬品の特許取得にあるのに対して、アカデミアの目的は、研究成果の論文や学会等による公表・研究活動の深化・発展にあります。そこで、契約内容の交渉においては、このような相手方が求めるもの・目的を理解し、譲れるところは譲歩してwin-winを指向することが契約締結のために重要となります。
 

②開発業務

開発業務を行う際には、医師とのコンサルティング契約書、治験契約書、CROとの業務委託契約書などがあります。治験業務には、薬機法及びGCP省令が適用されるため、契約書作成においても、当該法令に準拠した内容にする必要があります。
 

具体的には、治験契約書には、GCP省令第13条第1項各号の必要的記載事項を漏れなく記載する必要があります(同項のGCP省令ガイダンスの解説もご参照ください。)。
 

また、製薬企業とCROとの間の業務委託契約書には、GCP省令において、当該契約書の必要的記載事項を漏れなく記載する必要があります(GCP省令第12条第1項各号、GCP省令ガイダンス第12条の解説もご参照ください。)。
さらに、治験においては、健康被害が不可避であるため、健康被害が生じた場合の措置と責任の主体・内容を定めておく必要があります。
 

もっとも、薬の開発というのは一大事業です。このような重要な事業を始める前には、パートナーなる企業には当然に秘密を守ってもらう必要があります。そして、このような企業間の秘密を守る法律として、不正競争防止法が存在します。
 

不正競争防止法とは

突然法律の名称が出てきましたが、不正競争防止法とは、簡単に言ってしまうと下記のような事態を未然に防止する法律です。
 

・先日プレゼンした新商品の企画内容が競合から先に出された。
・自社製品の技術と全く同じもので他社から発売されている。
 

といった、企業秘密にしておきたい場合、情報の漏洩や盗作は機会損失、そして信頼の低下など被害を防ぐことを目的とした法律なのです。
 

より具体的には、競合となる相手を貶める風評を流したり、商品の形態を真似したり、技術を盗んで取得したり、虚偽表示を行ったりするなどの不正な行為や不法行為(民法第709条)が行われるようになると、市場の公正な競争が期待できなくなってしまうために制定されました。
また、粗悪品や模倣品などが堂々と出回るようになると消費者も商品を安心して購入することが出来なくなってしまうため、市場における競争が公正に行われるようにすることを目的としてもあります。
 

そして、不正競争防止法は主に以下4つの保護を対照とし、それぞれ禁止しています。
1)営業秘密の保護・・・営業秘密や営業上のノウハウの盗用等の不正行為を禁止
2)デッドコピーの禁止・・・他人の商品の形態(模様も含む)をデッドコピーした商品の取引禁止
3)信用の保護・・・周知の他人の商品・営業表示と著しく類似する名称、デザイン、ロゴマーク等の使用を禁止、他人の著名表示を無断で利用することを禁止
4)技術管理体制の保護・・・コピー・プロテクション迂回装置(技術的制限手段迂回装置)の提供等を禁止
 

不正競争防止法に違反すると

そして、他人の営業上の秘密を侵した者へは、この法律に基づいて差し止め請求、損害賠償請求、信用回復措置請求などの民事的請求をすることができます。また10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金などの刑事罰もしっかりとある重い法律です。
 

秘密保持の手段


 

まず自ら自社商品やサービスを守る事を心がける必要がありますが、その手段として、何自社と取引関係にある、もしくは、これから取引を行おうとする取引相手とNDA(秘密保持契約)を締結することが第1歩といえます。
そして、NDAの中で会社の資料などには秘密情報であると明示した内容については、
外部に漏らしてはならない旨定めることができます。
 

例えば、秘密情報が記載された資料や議事録には、「Confidential」や「社外秘」といった表示を記載して取引先には渡すこととなります。また、口頭などで開示した秘密情報は直ちに書面化して交わす等、方式は様々に決めることができます。
 

何を秘密とするかは、当事者の合意によりますので、極端に言えば、取引をしていること自体も秘密とすることができるのです。そして、契約を交わしたわけですから相手が秘密を漏洩したり、契約したことに違反した場合は相手に損害賠償請求、差止請求をすることが可能です。
 

ビジネスにおいては、法律があるから安心というわけではなく自ら秘密情報を守るということも必要です。上記のように例に挙げた医薬品ビジネスのような重大なビジネスを始める際にはもちろんですが、自社で積み上げたものが、他社にかすめ取られるという事態は絶対に避けなければなりません。
 

そのため、秘密保持契約に関しては、書面化し万全を期すことが必要です。そのため、NDAには、大事な内容が記載されていなかったり、会社の意図が反映されていないような事態はあってはならないことですから、NDAの内容に関しては、一度専門家に相談することをおすすめします。
 

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陥りやすい薬機法(薬事法)違反の例と刑罰とは?

医薬品・または医薬部外品であるかのような表現化粧品やサプリメント、食品にはそれぞれ登録された種別により効果効能を表現できる範囲が明確に決まっています。そのため例えば化粧品を医薬品のような表現で表したり、一般食品を機能性表示食品かのように表現したりすると薬機法に抵触しているとみなされます。


自社ホームページ以外の場所で効果効能を表現

自社のホームページには効果効能は表現していないが、委託または提携している広告会社が行ったインターネットでの広告や紙によるちらしなどに効果効能が表現されていた場合も薬機法違反です。

体験談のサイトを立ち上げ、そこにリンクがされていた場合

体験談のサイトなどを自社のホームページとは別に制作し、直接的な商品名は記載されていないがリンクを入れていた場合は、その体験談の中に効果効能が表現されている場合は広告とみなされ違反となってしまいます。


また、化粧品については体験談の記載も薬機法では禁止されています。

海外から個人輸入した化粧品をそのまま転売

個人輸入の場合でも国内で販売を目的とすれば、化粧品製造販売業許可が必要になります。さらに、日本語で製造業者の氏名・名称・住所など定められた表示方法に従わなければなりません。

容器が小さくて成分の表記を略した場合

化粧品本体のサイズが小さいために、配合されている成分が全て書かれていない場合は薬機法違反です。小さくてもタグやディスプレイなどを使って表示することが定められています。尚、本体に十分な幅がありきちんと明記されていた場合でも、その本体が箱に入って消費者がすぐに確認できない状態の場合は、薬機法上その外箱にも明記することが義務づけられています。


ご自身の作成された広告が上記に該当している!と気がついた方は要注意です。
次に解説する薬機法に基づく広告規制をきちんと把握しましょう。

【薬機法に基づく広告規制の判断枠組みについて】


薬機法基づく広告規制の判断枠組みの概要を以下ご説明します。

薬機法の主な広告規制の概要

薬機法の主な広告規制は、医薬品等の虚偽誇大広告を禁止する第66条第1項及び第2項、そして、未承認医薬品等の広告を禁止する第68条の2つです。

(1)虚偽誇大広告の禁止(第66条第1項及び第2項)

以下の要件をみたすと、第66条第1項に違反します。

①何人も
②医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の
③名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、
④明示的であると暗示的であるとを問わず、
⑤虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布すること
なお、第66条第2項には、医師等による効能等の保証広告を禁止する規制が、以下のとおり定められています。
①医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の
②効能、効果、性能について
③医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれのある記事を広告し、記述し、又は流布すること

当該広告は、第66条第1項に違反するものとされます。

(2)未承認医薬品等の広告禁止(第68条)

以下の要件をみたすと、第68条に違反します。



①何人も
②未承認医薬品、未承認医療機器又は未承認再生医療等製品について
③名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する
④広告をすること



第66条と異なり、虚偽・誇大ではなく事実であっても直ちに違法となる点に注意が必要です。

注意すべき主なポイント

(1)主体

薬機法の広告規制の対象は「何人も」とされており、国内の製造販売事業者だけでなく、海外の製造販売事業者も規制の対象となりえます。

(2)医薬品等の定義

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品について、薬機法の第2条第1項から第9項に定義が定められています。「医薬品」を例にとってみると、「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが『目的』とされている物…」(同条第1項第2号)、「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが『目的』とされている物…」(同項第3号)というように、治療や予防等の効果が客観的に備わっているかどうかではなく、あくまでそういった用途で使われることが『目的』とされている物という定義になっています。

よって、事業者としては、ある商品を健康食品として販売していても、たとえば、その商品の広告に病気の治療や予防効果があると記載していると、そういった治療や予防に使われることが『目的』とされている物ということになり、当該商品は、薬機法上「医薬品」に該当するということです。

そうすると、当該事業者としては、当該商品を健康食品として販売しており、医薬品としての承認を取得していないため、当該広告は、未承認医薬品の広告となり、直ちに第68条違反になってしまいます。そして、病気の治療や予防の効果がなければ、虚偽誇大広告として第66条第1項にも違反することになります。

「医薬品」に該当するか否かを判断するにあたっては、『無承認無許可医薬品の指導取締りについて』(昭和46年6月1日薬発第476号)が参考になります。このいわゆる46通知は健康食品の広告をチェックする上で、重要な通知となっています。

(3)広告の定義

以下の3要件全てをみたすと、薬機法第66条及び第68条の「広告」に該当します(平成10年9月29日医薬監第148号)。

①顧客を誘引する意図が明確であること(誘引性)
②特定の商品名が明らかであること(特定性)
③一般人が認知できる状態であること(認知可能性)

逆に1つでも満たなければ「広告」にはあたりませんので66条及び68条は適用されません。

「広告」の該当性に関して、①健康食品の商品名を記載したWebページ及び②特定性を排しつつ当該商品に含まれる成分等の医薬品的効能効果を記載したWebページの一体性が問題となることがあります。

①だけ見れば、「広告」には該当するものの、医薬品的効能効果が記載されていないため、第68条には違反しません。また、②だけ見れば、特定性に欠けるため「広告」に該当しません。

しかし、①と②がリンクや検索誘導等によって、実質的に一体の「広告」と見ることができる場合には、全体として第68条に違反する「広告」となるおそれがあります。

(4)医薬品等適正広告基準

第66条に該当するか否かの判断基準を厚生労働省が具体的に示したものが、『医薬品等適正広告基準』(平成29年9月29日薬生発0929第4号)です。また、同時に『『医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について』(平成29年9月29日薬生発0929第5号)という詳細な解説が公表されており、参考になります。

広告表現が法律に違反しているかどうかの判断手法


景品表示法や薬機法との関係で広告表現には注意が必要といっても、どのような表現が法律に違反するのかが曖昧で分かりにくいという声をよく耳にします。実際、広告表現がこれらの法律に違反しているかどうかについて、明確な基準はなく、広告表現が法律に違反しているかどうかを見極めるためには、判断手法の基本的な考え方を理解しておく必要があります。

(1)個々の表現ではなく、全体の印象で判断される

まず、広告表現が法律に違反しているかどうかは、個々の表現ではなく、全体から受ける印象で判断されます。

例えば、「スッキリ」という表現は、ダイエットを謳うサプリなどの広告で、痩身効果を暗示する言葉として、よく使われます。しかし、「スッキリ」という表現は、便通の改善や整腸作用を意味する言葉としても使われることがあります。また、他にも味覚を表現する言葉として使われることもあるかもしれません。

このように、個々の表現だけを切り取って考えても、その言葉が何を意味しているのかははっきりしません。その言葉の意味するところを正確に理解するためには、その他の表現を含めた広告全体の中で、その言葉の意味するところを判断する必要があるのです。

例えば、体重計に乗ったスリム体型の人の写真があれば、「スッキリ」は痩身効果を意味している場合が多いでしょうし、両手でお腹を押さえた人の写真があれば、便通の改善や整腸効果を意味している場合が多いでしょう。

(2)個々の表現で全体の印象が変わるわけではない

逆に考えれば、必ずしも、個々の表現で全体の印象を変えられるわけではないということでもあります。

例えば、健康食品で「これを飲むだけで痩せる」といった広告が、頻繁に優良誤認表示で措置命令を受けています。痩せるためには運動をするか食事制限をする必要があるからです。そのため、「運動と食事制限を組み合わせた結果です」といった記載をすることで、措置命令を免れようとする広告も見られます。

しかし、単に「運動」や「食事制限」といった表現を盛り込んでいても、多くの場合、広告全体を見れば、結局は「これを飲むだけで痩せる」という印象を与えてしまっています。実際に、ダイエットサプリの広告で、「運動」や「食事制限」といった表現が含まれていても、措置命令を受けたケースがあります。

(3)最後に

このように、広告表現の適法性を判断するためには、広告全体から受ける印象を考えなければいけません。その判断を適切にするためには、過去に措置命令などの行政処分を受けた事例を収集し、検討することで、判断のコツをつかんでいく必要があります。

商品ではなく含有成分の広告でも措置命令を受ける?


景品表示法では、「商品の」品質などについて、著しく優良であると示す表示を、優良誤認表示として禁止しています。そのため、これまで優良誤認表示を理由として措置命令が出されるのは、すべて具体的な商品についての広告でした。しかし、2019年11月1日、消費者庁は、これまでと異なり、健康食品について、具体的な商品ではなく、含有成分に関する広告に対し、措置命令を行いました。

(1)背景事情

このように、具体的な商品名を記載せず、含有成分についてだけ記載する表示は、非常によく見られます。その理由は、景品表示法ではなく薬機法にあります。

薬機法においては、健康食品について医薬品的効能効果を広告することは禁止されています。しかし、薬機法の適用対象となる広告は、上記のとおり、①誘引性、②特定性、③認知性の3つの要件を満たすものに限られます。そのため、健康食品の商品名を明らかにせずに、含有成分について医薬品的効能効果を表示しても、薬機法違反とはならないのです。

(2)含有成分の表示が薬機法違反となる場合

しかし、実際に事業者側が意図しているのは、含有成分の医薬品的効能効果と、具体的な健康食品の商品とを、消費者側で結び付けてもらうことにある場合がほとんどです。そのため、事業者としては、両者を結び付けるべく様々な工夫をするのですが、そのような工夫が薬機法に違反することがあります。

例えば、含有成分の医薬品的効能効果を記載しているウェブサイトに、当該成分を含有している健康食品の購入サイトへのリンクを張り、遷移することができるようにしていた事案において、両者が実質的には一体の広告であると判断され、薬機法違反で摘発されるということがありました。

(3)含有成分の表示が景品表示法違反となる場合

実は、前述した景表法に基づく措置命令も、薬機法の場合と同じように考えることができます。

前述の措置命令は、単に含有成分の表示だけを取り上げて優良誤認表示と判断したわけではありません。この事案では、まず、ウェブサイトにおいて「ブロリコ」という成分について、免疫力の向上や、病気の治療・予防効果があるという表示をしていました。

消費者は、当該ウェブサイトを通じて「ブロリコ」に関する資料請求をすることができ、資料請求があると、「ブロリコ」についてウェブサイトと同じような表示がされた冊子やチラシに加え、具体的な商品の注文はがき付きチラシと、当該商品の無料サンプルが送付されるという仕組みになっていました。

消費者庁は、そのような全体の仕組みを捉えて、ウェブサイトや冊子、チラシについても、具体的な商品に関する広告であると判断し、優良誤認表示と認定したのです。景品表示法においては、このような判断は初めてのものですが、薬機法の観点からは、従来から行われていた規制の延長と考えることもできるでしょう。

年々取り締まりが厳しくなる薬機法(旧:薬事法)。違反すると自主回収や逮捕、罰金、懲役など重い罰が科されてしまいます。一度専門家に相談してみるのがいいのではないでしょうか。

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【販売中止・自主回収指導】医薬品成分を含む健康食品について

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サプリメント・食品メーカー必見!健康増進法と機能性表示食品とは?

近年、高齢化社会や癌・糖尿病などの増え続ける病気から国民を守るため、健康増進の啓蒙や施策などが国をあげて行われるようになりました。
 

そのため、普段の食事以外にサプリメントや健康食品などを摂取する習慣などが急速に認知され、同時にサプリメントや食品業界には異業種から参入してくる動きも多いようです。
 

さてその中でも「機能性表示食品」は、今なお注目の的です。
 

今回は、サプリメントや食品メーカーが開発の前や販売の際に事前に知っておきたいこれらの制度についてご紹介します。

 

健康増進法とは?

たまに耳にすることもあるかと思いますが、「健康増進法」という法律の存在をご存知でしょうか?

この法律は「我々国民ひとりひとりが自己の健康増進に努めならなければない」「それに関わる自治体や医療機関などは協力義務がある」という法律です。

冒頭にも述べたように、年々進展する高齢化社会、生活の変化による発症率が高くなった病気などを事前に防ぐために今や国をあげての施策ともなっています。

この法律や国の施策などがあいまって消費者へはサプリメントを摂取したり、健康増進の食事を心がけるなど一層の認知が得られビジネスチャンスも増えたわけですが、そこでもっと消費者が自己的かつ合理的に商品を選ぶことができ、さらにその機会の選択肢を増やそうと始まったのが「機能性表示食品」制度です。

 

機能性表示食品はトクホと違う?

まず、サプリメントや健康食品と呼ばれるものの種類を分けると以下のようになります。

〈特定保健用食品(トクホ)〉

よくCMなどで見かけるトクホとは、「特定保健用食品」の略です。健康の維持や増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められており、よって「コレステロールの吸収を抑える」などの表示や表現が可能です。

国によって効果や安全性が認められ、商品ごとに消費者庁長官に個別に許可されている商品のことを指します。

 

〈栄養機能食品〉

そして栄養機能食品とは、すでに科学的根拠が確認された栄養成分で一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)を一定の基準量含む食品であれば、特に届出をしなくても国が定めた表現によってその機能を表示することができます。

 

〈機能性表示食品〉

事業者(メーカー)の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示できる制度です。機能性とは、「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収を穏やかにする」など、特定の健康の維持や増進に役立つことを指します。

機能性表示食品は、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官から商品ごとに個別の許可を受けたものではありません。

 

ちなみに、上記以外で登録されたサプリメントや食品などは、【一般食品】となり、機能性の表現は一切できません。

 

機能性表示食品の制度を利用したい場合

さて、機能性表示食品として届出をし、販売を開始するにはどのようにすれば良いでしょうか?

 

前提として、機能性表示食品の消費者庁への届出は、機能性表示食品制度届出データベースを介して行います。

①まず、事業者の基本情報の届出をします。

送信した基本情報に不備がある場合、消費者庁から差し戻され、修正後に再度届出を行います。

基本情報の届出について、受付が完了すると、システムを利用するためのユーザIDを取得することができます。

②発行されたユーザIDを利用してログインし、「新規届出」を行います。

届出内容に不備がある場合、消費者庁から差し戻され、修正後に再度届出を行います。

「新規届出」の受付が完了すると、機能性食品にかかる届出情報が消費者へ公開されます。

 

③届出を行った後は、機能性表示食品の販売状況を、適宜更新する必要があります。

仮に販売状況に変更がなくとも、約半年ごとに更新する必要があります。

 

このように届出を行うことで、機能性表示食品として販売・広告表示をすることができるようになります。

 

【機能性表示を巡る問題点】

機能性表示食品とは、上記のとおり、事業者(メーカー)が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠を消費者庁に届け出ることで、機能性を表示できるという制度です。

 

つまり、事業者自身の判断で届け出ることで足り、行政等による審査を受ける必要がないのです。各事業者が高い自覚を持って届け出を行えば問題は起きませんが、事業者側のさじ加減次第では、科学的根拠の乏しいものであっても、機能性表示食品となってしまいます。

 

このように届け出という方法をとっているため、審査段階がなく、消費者庁が届け出を受理してしまうと、基本的には事業者側から撤回をしない以上、消費者庁側で特段の対応をすることができません。そのため、事実上撤回を要請する動きもあるようです。

 

事業者サイドとしては、届け出時点から、科学的根拠を固く構成しておくことが必要でしょう。昨今はレピュテーションリスクの対策をとることも重要ですので、どのような観点からの指摘にも対応できるように、根拠資料を準備しておくことが重要です。

 

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事業主なら知っておきたい!個人情報の取扱い方法

そもそも個人情報とは

個人情報とは、個人に対する情報のことで生存している個人であること、特定の個人を識別することができる情報です。
会社の住所や取引内容といった法人情報は、個人情報ではありません。
個人情報は、「氏名、生年月日により」「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することとなるものを含む」としています。
例えば、メールアドレスだけは個人情報としては扱われません。ただし、そのメールアドレスに名前が入っていたり、メールアドレスと一緒に会社名と名前が一緒に記載してある場合は個人情報になります。つまり、情報単体ではなく誰かを特定できる情報が個人情報となります。

5,000人以上の個人情報を保有している場合

一企業が個人情報を5,000人以上所有している場合は、個人情報取扱事業者となり、個人情報保護法という法律の規制対象になります。
例えばエステ店をチェーン展開している場合、1店舗あたり個人情報の数が5,000人以下でもあっても、そのエステ店チェーンを運営している会社や企業が1つであれば、その会社または企業が持っている個人情報となりますので個人情報保護法の対象です。注意しましょう。

5,000人の個人情報の定義とは

ではそもそも5,000人以上の個人情報を所有している場合の定義とはどのような場合でしょうか。それは、個人情報を体系的に管理または整理されている状態であれば個人情報を保有している。となります。
体系的とは、その会社や企業が持つデータベースやプラットフォーム上に保存され管理されていることです。
逆に個人情報として5,000人にカウントされない場合は「個人情報数の合計が過去六月以内のいずれの日においても五千を超えない者とする。」と定めれている通り、6ヶ月以内に削除するデータは「一過性の利用」のため個人情報保護の対象にはなりません。

個人情報保護法の規制対象になると、その管理方法や目的などについて国から様々な義務が課せられます。
事業を始めて軌道にのってきたなどして5,000人に到達しそうな場合は
その義務をスムーズに行うために事前に知っておいた方がよいでしょう。

美容業における、資格と法律・営業可能範囲について

まつげエクステは美容師免許が必要

美容に携わる者であれば広く認知されたことではなりますが、今一度おさらいしてみたいと思います。
これまで何度も厚生労働省はまつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について通達しています。
美容師法第2条第1項の規定においても、「いわゆるまつ毛エクステンションについては、まつ毛に係る施術を美容行為 と位置付けた上で適正な実施の確保を図ることとしていること」と定めている通り、いわゆるエクステンションの提供は美容師法にいう美容に該当するとされていることから、美容師免許がないと提供してはいけません。ただ、美容師免許があるからと言って開業できるわけではなく、美容師免許が必要になった背景として、まつ毛エクステには消費者トラブルが後を絶たないことを頭に入れた上、サービスの提供にはそれなりの知識が必要になります。
美容師法に抵触した場合の罰則は、美容師法違反で50万以下の罰金に処せられることもありますので徹底しておきたいところです。

アートメイクは医療行為

「針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」いわゆるアートメイクは、医師免許を持たないものが行った場合、医師法第17条に違反になります。
これまで日本では、アートメイクと同じ行為である「刺青」が流行ったことから、無資格のものが提供しはじめよってアートメイクも資格がいらないものだと認識されてしまいがちでした。
ですが、アートメイクは

針で皮膚を刺すことにより、皮膚組織に損傷を与えて出血させるだけでなく医学的知識が十分でない者がする場合には、化膿菌、ウイルス等に感染して肝炎等の疾病に罹患する危険がある。

と、有識者の見解で述べられているように、十分な知識を持った医師でなければ行為を行ってはならないと定めています。
医師法に違反すると、罰則としては3年以下の懲役若しくは百万円以下になります。

歯のホワイトニングは歯科医師免許?

これまで歯のホワイトニング行為は、歯科医院で主に提供されてきた医療行為でしたが、類似のサービスとしてエステ分野でも提供されるようになってきました。これについては賛否両論の意見が騒がれる中で、実際のサービス内容には明確な差があるようです。

例として、2013年11月13日に東京・市ヶ谷の歯科医師会館大会議室で開催された都道府県歯科医師会専務理事連絡協議会においては、以下のような意見が出されています。

「誰が施術する場合でも、認められるのは使用するホワイトニング剤が医薬部外品で、照射ライトが医療機器ではないことが前提。医薬品や医療機器を使用するのであれば無資格者が行うことはできず、医師法・歯科医師法だけでなく薬事法違反にも問われることになる。」

口の中に触れる行為や、ブラッシング指導、ホワイトニング指導といった行為は全て医療行為にあたり、国家資格を持つ歯科医師・歯科衛生士でないとできません。ですが、逆をかえせばそれらの医療行為をせずに治療までもしない、エステ分野におけるホワイトニングのようなサービスは、使用する成分や提供するものの介入する範囲や内容に明確な差があるようです。

無資格での営業は誰でも分かる通り、法律違反です。透明な営業を心がけるよう気をつけましょう。

閉店や事業譲渡の際に知っておきたい個人情報の取扱い方法

閉店する場合と事業譲渡では処理方法が異なる

閉店の場合はシンプル

これまで保有していた個人情報は適切に破棄する必要があります。適切に破棄とはどういうことかと言うと、シュレッダーで抹消するなどです。また、個人情報を破棄してくれる専門会社もありますのでそういった所に依頼するのも確実な方法です。

事業譲渡する場合は少し複雑

事業を譲渡先の新しい運営会社から、個人情報を引き継ぎたいとの申し入れがあった場合そのまま受け渡してはいけません。
すべきこととしては譲渡前にすべての顧客または会員から個人情報を新しい会社へ譲渡してもよいかの許可を得る必要があります。
許可を得る方法は様々ですので専門家へ相談するのがよいでしょう。

また、新しい運営会社が個人情報を引き継がない旨の申し入れがあった場合は、先に述べた閉店の際の処理と同様になります。

個人情報にまつわるトラブル

個人情報まつわるトラブルで多いのは、債務が残っている状態の顧客への返金対応と従業員が個人情報を抜き出してしまうことです。

債務が残った状態で閉店する場合は顧客に知らせた上で返金対応をせねばなりません。
但し、多くの場合は閉店になる場合、事業が上手くいかない場合だと思いますので、そういった場合は返金自体もできなくなる可能性もあると思います。
事業主がかかえている債務処理は、顧客への返金だけではないと思いますので、その際は専門家へ相談して優先順位や返金対応の時期など相談するのがよいでしょう。

従業員が辞める際、または閉店後に個人情報を抜き出していたことが分かった場合は厄介です。
個人情報というのは個人情報保護法からの観点では「目的外使用」はできません。企業と顧客との間で成立する個人情報が、別のところで使用されてしまった場合は元の会社が責任を問われることになります。

そのような流出を防ぐためにも個人情報データベースにパスワードをかける・アクセスできる社員を限定しておく・個人情報に触れる際の履歴を残しておくなど透明かつ確実な管理をしておくべきとも言えます。
その会社の体制によって管理方法などは模索できると思いますので、多くの企業を見ている専門家に相談するのもいいでしょう。

先払いチケットの消化期間の設定方法と消化期間を過ぎた場合の返金対応とは?

消化契約期間には法的定めはなし

まずコースや回数券などを設定する際、一緒に設定するのは消化期間です。
例えば3回コース・5回コースと設定する際、その回数を消化できるのは◯◯月までとか◯年以内などと設定するはずですが、ここで気になるのがその消化期間をどう設定すべきかではないでしょうか。実は期間の設定については明確な法的定めは特にありません。

ですので、コースの提供は事業主と客との間で交わされる契約の問題になります。ただし、そもそもその消化期間におおよそありえない期間を設けている場合は、民法第1条第2項に定められている「信義誠実の原則」略して信義則に抵触する可能性もあります。

消化期間の設定は、誰がどう判断しても合理的な範囲で設定していれば問題はありません。ですが、客をだますような期間で設定していたり、物理的に消化できない期間を設定してしまうなどすると顧客とのトラブルにもなりかねない上に、裁判になった場合、様々な法律に抵触し罰則も出てきてしまいます。
気をつけましょう。

消化期間を過ぎてから返金を求められた場合

消化期間を客と契約を開始したけれど、客側が店に来ずにそのまま消化期間を過ぎてしまった時に多いのが返金トラブルです。
客側としては回数を消化していないので、返金してほしい心理が働くのは当然です。ですが、事業主としては実は契約を交わした後は、消化期間を過ぎてからの返金対応はしなくてもよいのです。
但し、消化期間を定めていなく回数券を販売した場合に返金を求めれた場合は、厳密に言うと何年経っても要望があれば返金対応はする必要があります。また、この場合は返金というより中途解約またはクーリングオフとなりますので客側に大きく権利があります。

まとめ

チケットの消化期間やお金にまつわることは、ちょっとした認識の違いで大きなトラブルになりかねませんから、まずは客とコンセンサスをとり書面に落とすなどすることが必要です。
合理的な期間とはどのような期間なのか、書面にどう記載すべきなのかは専門家に相談などするなどして事前に対処するのがおすすめです。

事業主なら知っておきたい労災について。雇用保険とその法律とは?

雇用保険とは

ポイント①

業種、規模等を問わず、すべて適用事業となり強制加入が必要です。
雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、原則としてその意志にかかわらず当然に被保険者となります。ただし、65歳に達した日以後に雇用される方、4ヶ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される方などは、雇用保険の適用除外となるなど、雇用形態等により被保険者とならない場合もありますので確認が必要です。

ポイント②

1人でも正社員として雇用していれば、雇用保険加入手続きが必要となります。個人の場合は、国民年金保険がその役割をしています。

ポイント③

パートタイムやアルバイトも一定の条件を満たせば加入対象になります。加入対象は、31日以上の雇用見込みがあることまたは1週間の所定労働時間が20時間以上であることです。

ポイント④

雇用保険法に基づき、適用基準を満たす労働者については事業主や労働者の意思に関係なく、被保険者となった旨を公共職業安定所(ハローワーク)に届け出なくてはなりません。

雇用保険の加入手続き方法

事業を開始したときに、「労働保険保険関係成立届」「雇用保険適用事業所設置届」「労働保険概算保険料申告書」を事業所の管轄する労働基準監督署、公共職業安定所へ提出することが必要です。尚、従業員を初めて雇い入れることとなった場合は、保険関係成立に関する手続を済ませた後、事業所を管轄するハローワークに「事業所設置届」、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければならないことになっています。

その後新たに従業員を雇い入れた場合は、その都度事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。
この届出によってハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」については事業主から本人に渡す必要があります。
用意する書類等については、専門家へ相談するのがいいでしょう。

事業主なら知っておきたい、社会保険の適用ルールとは

社会保険料とは

社会保険料とは以下5つ保険を包括した総称です。

  • 健康保険:病気やケガによる通院・入院・長期休業、出産、育児休業
  • 介護保険:介護ケア ※40歳〜64歳までの方対象
  • 年金保険:遺族の生活保障、障害状態の生活保障、老後の生活保障
  • 雇用保険:失業時の生活保障、スキルアップ
  • 労災保険:業務にかかわる病気やケガ

これらは国で強制的に加入することが義務づけれている保障制度であり、病気などの理由で仕事ができない状態になった時でも最低限の生活ができるように個人が国に保障されている保険料です。

事業主はこれらすべての保険料を従業員の給与から計算し、従業員の代理で支払うことになります。また、労災保険については会社が全額負担になっており会社にかかる負担は大きいと言えます。

社会保険の適用ルールとは

社会保険は、会社に所属していない個人でも支払っています。個人、または個人事業主の場合は、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになっています。加入しないと例えば医療費の3割負担がなくなり全額負担になります。ということは、本来自分で加入することができる保障制度、事業主側はどのような場合に社会保険に切り替えなければならないのでしょうか。
健康保険法 第3条 および 厚生年金保険法 第6条では、強制加入の事業所とはどのような場合かを明示しています。

【強制加入の事業所とは下記の事業所をいいます。】

1.個人事業所の場合

次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所:
a製造業 b土木建築業 c鉱業 d電気ガス事業 e運送業 f清掃業 g物品販売業 h金融保険業 i保管賃貸業 j媒介周旋業 k集金案内広告業 l教育研究調査業 m医療保健業 n通信報道業など
※原則サービス業以外の事業所は5人以上で強制加入です。
個人事業の場合、従業員数が何人いようと上記の事業以外の飲食店や美容業等のサービス業は強制加入となりません。

2.法人の事業所の場合

常時、従業員を使用する法人の事業所(国、地方公共団体を含む)
※法人の事業所では代表取締役や役員も加入の対象となります。
よって法人の事業所であれば規模を問わず全ての事業所において原則加入が義務となります。

現在個人事業主であっても、今後従業員を雇う場合や法人に切り替える時のために、社会保険制度についてはきちんと知っておく必要があります。

事業主なら知っておきたい解雇と労働法のこと

労働法とは

労働関係および労働者の地位の保護・向上を規整する法の総称です。ただし、労働問題に関する様々な法律をひとまとめにして労働法と呼んでいて、その中には、労働基準法や労働組合法をはじめ、男女雇用機会均等法、最低賃金法といった様々な法律が含まれています。
労働法設定の背景は、近代以降の資本主義の展開にともない、事業主と労働者との関係に自由平等を原則とするよう設定されました。そのため、雇用される従業員はこの法律に守られているといっても過言ではありません。そのため、事業主都合による勝手な解雇などもしにくいというのが現状なのです。

労働契約法第16条

期間の定めの無い雇用契約(無期雇用)では、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合はその権利を濫用したものとして無効となる

労働契約法第17条

期間の定めのある雇用契約(有期雇用)では、使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、その労働期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができない

解雇とは

そもそも解雇とは、事業主の一方的な意思表示による労働契約の解除のことを指しています。 解除に当たり労働者の合意がないものです。

そのため、労働者の生活を断ち切ってしまうことにもなるので不意打ちのような形で行われることがないよう、各種の法制で規制が設けられています。
解雇をできる条件は、客観的・合理的理由が必要です。例えば、経営不振による解雇(整理解雇)、長期的な入院や病気、不良な勤務態度や勤務状況、労働能力の欠如、経歴詐称、などですが、解雇するに足る正当な理由があるか否かについては、先に述べたように客観的・合理的理由が必要です。
不当解雇を行った場合は、損害賠償責任が問われる可能性がありますので詳しいことについては専門家に相談するのが安心です。

解雇方法

労働契約法第20条第1項では、事業主が労働者を解雇しようとする場合は、労働者に少なくとも30日前に予告をしなければならないと定められています。
尚予告をする際は、解雇日について何年何月何日というように特定しておかなければなりません。ただし、30日以上前に解雇を予告できない場合には、30日に不足する日数分の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければなりません。

例:10日前に予告した場合は、20日分以上の平均賃金を支払う

解雇トラブルは後を絶ちません。労働契約法第15条では、労働契約締結に際して労働者に対して解雇の事由を書面で明示しなければならない。と定めていますので、解雇になり得る事由を予め就業規則に定めておき、従業員とコンセンサス及び契約書を交わしておきましょう。