顧客対応に関するQ&A

美容業における、資格と法律・営業可能範囲について

2016.2.22
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近年、摘発事例の多くに無資格営業が多く見受けられます。
無資格営業とはその事業やサービスを提供する資格がないのに営業してしまうこと。分かりやすく言うと医師や美容師といった国家資格を持たないのに、サービスを提供していることです。今回は、巷でよく提供される美容サービスを事例にその必要資格と営業可能範囲について紹介したいと思います。

まつげエクステは美容師免許が必要

美容に携わる者であれば広く認知されたことではなりますが、今一度おさらいしてみたいと思います。
これまで何度も厚生労働省はまつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について通達しています。
美容師法第2条第1項の規定においても、「いわゆるまつ毛エクステンションについては、まつ毛に係る施術を美容行為 と位置付けた上で適正な実施の確保を図ることとしていること」と定めている通り、いわゆるエクステンションの提供は美容師法にいう美容に該当するとされていることから、美容師免許がないと提供してはいけません。ただ、美容師免許があるからと言って開業できるわけではなく、美容師免許が必要になった背景として、まつ毛エクステには消費者トラブルが後を絶たないことを頭に入れた上、サービスの提供にはそれなりの知識が必要になります。
美容師法に抵触した場合の罰則は、美容師法違反で50万以下の罰金に処せられることもありますので徹底しておきたいところです。

アートメイクは医療行為

「針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」いわゆるアートメイクは、医師免許を持たないものが行った場合、医師法第17条に違反になります。
これまで日本では、アートメイクと同じ行為である「刺青」が流行ったことから、無資格のものが提供しはじめよってアートメイクも資格がいらないものだと認識されてしまいがちでした。
ですが、アートメイクは

針で皮膚を刺すことにより、皮膚組織に損傷を与えて出血させるだけでなく医学的知識が十分でない者がする場合には、化膿菌、ウイルス等に感染して肝炎等の疾病に罹患する危険がある。

と、有識者の見解で述べられているように、十分な知識を持った医師でなければ行為を行ってはならないと定めています。
医師法に違反すると、罰則としては3年以下の懲役若しくは百万円以下になります。

歯のホワイトニングは歯科医師免許?

これまで歯のホワイトニング行為は、歯科医院で主に提供されてきた医療行為でしたが、類似のサービスとしてエステ分野でも提供されるようになってきました。これについては賛否両論の意見が騒がれる中で、実際のサービス内容には明確な差があるようです。

例として、2013年11月13日に東京・市ヶ谷の歯科医師会館大会議室で開催された都道府県歯科医師会専務理事連絡協議会においては、以下のような意見が出されています。

「誰が施術する場合でも、認められるのは使用するホワイトニング剤が医薬部外品で、照射ライトが医療機器ではないことが前提。医薬品や医療機器を使用するのであれば無資格者が行うことはできず、医師法・歯科医師法だけでなく薬事法違反にも問われることになる。」

口の中に触れる行為や、ブラッシング指導、ホワイトニング指導といった行為は全て医療行為にあたり、国家資格を持つ歯科医師・歯科衛生士でないとできません。ですが、逆をかえせばそれらの医療行為をせずに治療までもしない、エステ分野におけるホワイトニングのようなサービスは、使用する成分や提供するものの介入する範囲や内容に明確な差があるようです。

無資格での営業は誰でも分かる通り、法律違反です。透明な営業を心がけるよう気をつけましょう。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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