労務に関するQ&A

事業主なら知っておきたい、社会保険の適用ルールとは

2016.2.22
このエントリーをはてなブックマークに追加
?
日本の社会保険制度は、所属している会社が手続きや支払いをしてくれるので多くの人はあまり気にしたことがないではないでしょうか。
ですが実は事業主側は毎月の給与から社会保険料を計算し差し引く処理をする上に、会社でも負担するという構造になっており、知らないでは済まされない国の制度です。そこで今回は、社会保険とは何か、社会保険が適用になるルールとはなど事業主の目線でご紹介したいと思います。

社会保険料とは

社会保険料とは以下5つ保険を包括した総称です。

  • 健康保険:病気やケガによる通院・入院・長期休業、出産、育児休業
  • 介護保険:介護ケア ※40歳〜64歳までの方対象
  • 年金保険:遺族の生活保障、障害状態の生活保障、老後の生活保障
  • 雇用保険:失業時の生活保障、スキルアップ
  • 労災保険:業務にかかわる病気やケガ

これらは国で強制的に加入することが義務づけれている保障制度であり、病気などの理由で仕事ができない状態になった時でも最低限の生活ができるように個人が国に保障されている保険料です。

事業主はこれらすべての保険料を従業員の給与から計算し、従業員の代理で支払うことになります。また、労災保険については会社が全額負担になっており会社にかかる負担は大きいと言えます。

社会保険の適用ルールとは

社会保険は、会社に所属していない個人でも支払っています。個人、または個人事業主の場合は、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになっています。加入しないと例えば医療費の3割負担がなくなり全額負担になります。ということは、本来自分で加入することができる保障制度、事業主側はどのような場合に社会保険に切り替えなければならないのでしょうか。
健康保険法 第3条 および 厚生年金保険法 第6条では、強制加入の事業所とはどのような場合かを明示しています。

【強制加入の事業所とは下記の事業所をいいます。】

1.個人事業所の場合

次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所:
a製造業 b土木建築業 c鉱業 d電気ガス事業 e運送業 f清掃業 g物品販売業 h金融保険業 i保管賃貸業 j媒介周旋業 k集金案内広告業 l教育研究調査業 m医療保健業 n通信報道業など
※原則サービス業以外の事業所は5人以上で強制加入です。
個人事業の場合、従業員数が何人いようと上記の事業以外の飲食店や美容業等のサービス業は強制加入となりません。

2.法人の事業所の場合

常時、従業員を使用する法人の事業所(国、地方公共団体を含む)
※法人の事業所では代表取締役や役員も加入の対象となります。
よって法人の事業所であれば規模を問わず全ての事業所において原則加入が義務となります。

現在個人事業主であっても、今後従業員を雇う場合や法人に切り替える時のために、社会保険制度についてはきちんと知っておく必要があります。

The following two tabs change content below.

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

労務に関する最新記事

事業主なら知っておきたい、社会保険、労働法一般、解雇について
【ニュース】都道府県による措置命令について弁護士成が解説しています。
事業主なら知っておきたい労災について。雇用保険とその法律とは?
事業主なら知っておきたい、社会保険の適用ルールとは
事業主なら知っておきたい解雇と労働法のこと
pageTop