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景品規制の外観

2019.11.19
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1 景品とは

景品とは、①顧客を誘引する手段として②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する③物品、金銭その他の経済上の利益(以下「景品類」といいます。)のことをいいます。
簡単に言ってしまえば、商品やサービスにくっついてくるおまけのことです。
本来、事業者間の競争は、その価格や質によって行われることが消費者にとっては有益です。しかし、事業者が商品等そのものではなく、それに付けるおまけで競争をしたらどうでしょうか。
消費者は、商品・サービスそのものではなく、そのおまけに惑わされて本来購入すべきではない商品・サービスを購入してしまうかもしれませんし、事業者もその商品・サービスの質の向上や、少しでも安く消費者へ届けようとする努力をしなくなり、ひいては消費者全体の利益を害することにつながります。景品表示法は、このような事態を未然に防ぐため、事業者による景品の提供に制限を課しているのです。

事業者としては、まず、上記①~③の要件に照らし、消費者に提供しようとする経済上の利益が景表法上の「景品類」に該当するか否かの判断をする必要があります(例えば、値引きやポイントサービスに関しては、その性質上取引の本来の内容をなすものとして景品類には該当しないものとされています。)。

2 景品の種類

景品規制は、大きく分けて①懸賞による景品に関する規制と②総付景品に関する規制に分けられます。以下、簡単に内容を見てみましょう。

(1)懸賞による景品類の提供

ア 懸賞とは

「懸賞」とは、「くじその他偶然性を利用して定める方法」又は「特定の行為の優劣又は正誤によって定める方法」によって、景品類の提供の相手方又は提供する景品類の価額を定めることをいいます(懸賞制限告示第1項)。商品等を購入する消費者すべてに景品を提供する訳ではなく、抽選により提供する場合や、競技・遊戯等の優劣により提供する場合がこれに該当します。

イ 一般懸賞と共同懸賞

上記の「懸賞」のうち、「一定の地域における小売業者又はサービス事業者の相当多数が共同して行う場合」「一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合(中元・年末等の時期において年3回を限度とし、かつ、年間通算して70日の期間内で行うものに限る)」に該当するものを共同懸賞といいます。祭りの際に市の商工会議所が主催するものや、商店街の福引等をイメージしていただければよいと思います。

そして、「懸賞」のうち、「共同懸賞」に該当しないものを、特に「一般懸賞」と呼んでいます。

(2)総付景品

総付景品とは、一般消費者に対して懸賞によらずに提供する場合の景品類のことをいいます。商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する景品類が典型ですが、商品・サービスの購入の申込み順又は来店の先着順により提供される金品等も総付景品にあたるとされています。

3 景品規制の内容

景品表示法は、「カード合わせの方法による懸賞」を全面的に禁止していることを除き、景品類の提供方法ではなく、景品類の最高額、総額等を規制しています。具体的な規制内容は以下のとおりです。

(1)一般懸賞

ア最高額の制限

提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の二十倍の金額(当該金額が十万円を超える場合にあっては、十万円)を超えてはならない。

イ 総額の制限

提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の百分の二を超えてはならない。

(2)共同懸賞

ア 最高額の制限

提供する景品類の最高額は、三十万円を超えてはならない。

イ 総額の制限

提供する景品類の総額は、懸賞に係る取引の予定総額の百分の三を超えてはならない。

(3)総付景品

総付景品については、その取引価額に応じて提供する景品の最高額が定められています。

ア 取引価額が1,000円未満の場合

提供する景品類の最高額は、200円

イ 取引価額が1,000円以上の場合

提供する景品類の最高額は、取引価額の10分の2

4 「景品類の価額」と「取引の価額」

上述したように、景品規制においては「景品類の価額」及び「取引の価額」を認定することが最も大切なプロセスとなってきます。以下、それぞれの認定方法について確認してみましょう。

(1)景品類の価額

景品規制の趣旨は、一般消費者が過大な景品提供に惑わされ適切な選択ができなくなることを防ぐことにありますので、景品類の価額を認定する際には、事業者の視点ではなく、あくまでも消費者の視点で考えるというのがポイントです。

ア 景品類と同じものが市販されている場合

景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格によります。事業者が仕入れた際の原価ではありません。定価1,000円の商品をメーカーから100円で仕入れられたとしても、100円の景品として提供することはできないので注意が必要です。

イ 景品類と同じものが市販されていない場合

景品類と同じものが市販されていない場合でも、上記の景品規制の趣旨から、当該景品類が市販されていたとしたらどの程度の価値があるかということを考えることになります。そのような観点から、この場合の景品類の価額は、景品類を提供する者がそれを入手した価額、類似品の市価等を勘案して、景品類の提供を受ける者が、それ通常購入することとしたときの価額を算定し、その価額を景品類の価額とすることが定められています。もう市販されていないから、メーカーからの仕入価額とする訳にはいきません。

(2)取引の価額

取引の価額の認定についての基本的なルールは以下のとおりです。なお、前提として、「取引の価額」は、景品類の提供者が小売業者又はサービス業者である場合は、対象商品又は役務の実際の取引価額を、製造業者又は卸売業者である場合は景品類提供の実施地域における対象商品又は役務の通常の取引価額を基準とします。

ア 購入者を対象とし、購入額に応じて景品類を提供する場合

当該購入額が「取引の価額」となります。

イ 購入者を対象とするが購入額の多少を問わないで景品類を提供する場合

原則として百円となります。ただし、当該景品類提供の対象商品又は役務の取引の価額のうちの最低のものが明らかに百円を下回っていると認められるときは、当該最低のものを「取引の価額」とし、逆に、百円を超えると認められるときは、その商品又は役務の価額を「取引の価額」とすることができます。

ウ 購入を条件とせずに、店舗への入店者に対して景品類を提供する場合

原則として百円となります。ただし、当該店舗において通常行われる取引の価額のうち最低のものが百円を超えると認められるときは、当該最低のものを「取引の価額」とすることができます。

5 景品規制に違反すると

景品規制への違反に対しては、景表法上、「措置命令」という制度が用意されています。「措置命令」とは、景品規制に違反した事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることをいい、消費者庁又は都道府県知事によってなされます。
ただし、措置命令を発令するか否かは行政の裁量に委ねられており、景品規制に違反したとしても、必ず措置命令が発令される訳ではありません。
実際に、景品規制に違反したことを理由とする措置命令は、これまでに大阪府が1件発令したものがあるだけです。
そのため、行政指導として事実上の是正がされるに過ぎないことが多いと思われますが、行政指導といっても行政の監視の対象となってしますことは避けられませんので、上述した景品規制には真摯に向き合うことが必要です。

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