販売・広告に関するQ&A

健康食品販売業者向け「定期購入」は特商法の制限に注意!【令和3年特定商取引法改正】

2021.10.1
このエントリーをはてなブックマークに追加

 健康食品などの通信販売でよく見られる「定期購入」。一度購入をすると、その後は自動的に一定期間ごとに商品が送られてくる契約です。消費者の側からすれば、継続的に利用する商品ならその都度購入する手間が省けるメリットがあり、事業者の側にも、顧客に商品を継続してもらいやすいというメリットがあります。

定期購入でのトラブル

 しかし、定期購入の中には、複数回の定期購入を条件としており、初回を低価格で購入することができる一方で、2回目以降が初回と比較して極めて高い価格での販売となることから、条件とされた定期購入分の支払総額が高額になるものもあります。そして、そのような定期購入の条件を分かりやすく表示していない広告が非常に多くなっています。
 そのため、消費者からは、「勝手に定期購入にされて、思った以上の料金を請求された!」「途中解約できるか分からない!」といった相談が急増しました。

定期購入契約で注意すべき点

 このような事態を避けるため、平成28年改正特定商取引法では、定期購入契約について、EC事業者に、支払総額や契約期間などの販売条件を明記することが義務化されました。
 具体的には、通信販売の広告や、申込みの最終確認画面上に、次の内容を明示することが義務付けられています。

  
・契約期間(商品の引渡しの回数、購入者から解約通知がない限り契約が継続する無期限又は自動更新のある
 契約である場合にはその旨)
・消費者が支払うこととなる金額(各回ごとの商品の代金及び送料並びに支払総額等)
・各回ごとの商品の代金の支払時期及びその他の特別の販売条件(購入者が商品を購入しなければならない
 回数が決められている場合にはその旨及びその回数並びに解約条件等)
・解約条件等の定期購入契約の主な内容に商品の引渡時期が密接に関連する場合は、各回ごとの商品の引渡時期

特商法に違反すると

 消費者庁は、実際に、2019年から2020年にかけて、特定商取引法に違反したとして、美容品や健康食品の販売を行っていた通信販売業者に対し、一部業務停止命令を出しました。この業者は、通販サイト上で、定期購入において2回目以降に引き渡される商品の代金支払時期を表示しておらず、また、定期購入であるという案内を、何度もスクロールしなければ見えない場所に小さく表示していました。
 その他にも、初回注文の際の金額は、分かりやすく大きな文字で表示していた一方で、最低4回の継続購入や、4回購入した場合の金額については、分かりづらい小さな文字で表示していました。

令和3年特定商取引法改正

 さらに、令和3年改正特定商取引法では、通信販売の「詐欺的な定期購入商法」対策を強化しています。具体的には、定期購入でないと誤認させる表示等に対して直罰規定を設けたり、この表示によってなされた申込みについては取消しを認める制度も創設されました。また、通信販売の契約解除の妨害に当たる行為も禁止されています。誤認表示や解除妨害などは、適格消費者団体の差止請求の対象に追加されました。

弁護士にご相談を

 このように、EC業界における特定商取引法に基づく対策は、年々強化されており、違反行為に対する罰則等も厳しくなっていますので、健康食品販売業者の方々も注意が必要です。弊所では通信販売のLPチェックや広告審査サービスを行っていますので、是非一度弁護士と相談されることをお勧め致します。

The following two tabs change content below.

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

販売・広告に関する最新記事

【令和6年4月】特定商取引法違反の通信販売業者 株式会社オルリンクス製薬に対する業務停止命令等の発令について 
【令和6年3月】東京都から株式会社ヘルスアップ、株式会社ニコリオに対して景品表示法に基づく措置命令が出されたことについて弁護士が解説
【令和6年3月】株式会社バウムクーヘンに対する景品表示法に基づく課徴金命令について解説 
【令和6年3月】初の特商法12条(誇大広告)違反の事例(ナンバー1表示) 
【令和6年3月】「車両用クレベリン」と称する役務の提供事業者10社に対し景表法に基づく措置命令
pageTop