販売・広告に関するQ&A

弁護士がアンチエイジング化粧品を製造するうえでの注意点を解説

2021.10.4
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①化粧品を製造するには「許可」が必要

化粧品を製造するには、厚生労働大臣の「許可」が必要であることが、法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(いわゆる薬機法)13条)によって定められています。
 
化粧水、香水、口紅等だけではなく、石鹸やシャンプー、ハミガキ、ボディローション、スキンケア用品、毛髪用剤なども化粧品に該当します。そのため、これらの化粧品を製造しようと思った場合、許可を得る必要があるのです。
 
なお、化粧品を「業として」製造する場合に許可が必要となりますので、例えば、「自分の趣味で、自己使用をする目的で、一度、石鹸を作ってみる」というような場合は、薬機法における許可は不要となります。

 

他方、石鹸等が、化粧品ではなく、医薬部外品や医薬品に当たる場合は、より強い規制を受けることになります。

 

②「製造販売」と「製造」

薬機法の12条において、化粧品の「製造販売」につき許可が必要であることが、薬機法の13条において、化粧品の「製造」につき許可が必要であることが定められています。
 
「製造販売」は、化粧品を製造し販売等をすることですが、ここでいう製造は、自ら製造をする場合の外、他に委託して製造する場合を含みます。
 
化粧品を製造販売するには、化粧品製造販売業許可が必要となります。
 
製造販売業者自らが製造する場合には、それに加え、次に述べる製造業許可を取っていることも必要となります(製造販売業許可だけの場合、製品を市場に出荷することはできますが、製造(包装・表示・保管のみを行う場合を含む)をすることは出来ません。)。
 
「製造」は、一般に、製品を実際に製造することですが、薬機法においては、製品の包装・表示・保管などの工程のみを行う場合も製造に当たります。
 
化粧品を製造するには、化粧品製造業許可が必要となります(但し、令和3年8月1日の法改正により、新たに「登録」の制度が設けられました。「登録」は、製造工程のうち「保管のみ」を行う製造所であって、薬機法13条の2の2に定める特定の条件に該当する場合のみ対象となります。この場合、登録をすればよく、許可までは不要となります。)。
なお、製造業者としては、製造した化粧品を市場に出荷・上市することは出来ません。

 

③製造販売を行う製品についての検討

製品を化粧品として製造販売するに当たっては、
 
(1)製品が化粧品の定義(薬機法2条3項)に合致していることの確認
(2)製品の効能が化粧品として認められている効能の範囲内であることの確認
(3)製品の配合成分が化粧品基準に適合していることの確認
 
をする必要があります。
もちろん、製品の安全性を十分に確認することも重要です。

 

④製造業の許可取得のために

化粧品の製造業の許可を取得するためには、製造所の構造設備が基準に適合していること等の条件を満たす必要があります。
 
許可申請は、製造所の構造設備の概要や、責任技術者の氏名等々の必要事項を記載した申請書を提出することによって行います。
 
申請後、書面による調査や実地の調査が行われ、条件を満たせば許可がなされることになります(許可証が交付されます。)。
 
なお、許可有効期間満了後も引き続き製造をする場合、更新手続が必要となります。
 

⑤許可以外の事項(「アンチエイジング」という表現等)について

製造販売業許可取得後、実際に製造販売を行うに当たっては、製造販売を行う製品につき、あらかじめ、届出を行う(「化粧品製造販売届書」を提出する)必要があります。
 
更に、化粧品の販売に当たり広告をしていく場合、広告規制が適用されます。「アンチエイジング」というワードは、医薬品的効能効果を指すものであるため、許可を受けた医薬品以外の商品において、商品と絡める広告などで標榜することが認められていません。「アンチエイジング」という言葉は、化粧品の効能効果として標榜することが認められていないのです。
 
したがって、販売を企図して、「(いわゆる)アンチエイジング化粧品を製造しよう」と考えた場合、実際の販売・広告の場面では、「アンチエイジング」というワードを化粧品の効能効果として標榜することが出来ない、ということを念頭において、製造につき検討すべきかも知れません。
 
このように、化粧品の製造(及び、販売、広告)の場面では、許可が必要であったり各種の規制・制限があったりしますので(輸入についても同様です。)、専門家の協力を得ながら対応していくのが良いでしょう。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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