販売・広告に関するQ&A

弁護士による電話勧誘販売におけるチェックサービス

2021.7.14
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 電話勧誘販売を行う事業者は、特商法という電話勧誘販売特有の規制が存在するということを認識しなくてはなりません。電話勧誘販売とは、事業者から消費者の自宅や職場に電話をかけたり、消費者から電話をかけさせたりし、その電話で商品やサービス等の勧誘をして申し込みを受ける販売方法です。
 電話勧誘販売は、通常の店舗販売等とは異なり、基本的に消費者は望んでいないにもかかわらず不意に勧誘を受けるものです。そのため、消費者に断る機会を与えたり、事業者側の執拗な勧誘行為を禁止したり、口頭で申し込んだ内容を確認する機会や、申込後に契約を維持してよいかどうかの熟慮期間を設けたりする必要があります。そのため、次のような規制が存在します。
 

1.事業者の氏名等の明示(法第16条)

 事業者は、電話勧誘販売を行うときには、勧誘に先立って、消費者に対して以下の事項を告げなければなりません。

・事業者の氏名(名称)
・勧誘を行う者の氏名
・販売しようとする商品(権利、役務)の種類
・契約の締結について勧誘する目的である旨
 

2.再勧誘の禁止(法第17条)

 特定商取引法は、事業者が電話勧誘を行った際、契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。
 

3.書面の交付(法第18条、法第19条)

 特定商取引法は、事業者が契約の申込みを受けたとき、あるいは契約を締結したときには、契約書面を消費者に渡さなければならないことを定めています。
 

4.前払式電話勧誘販売における承諾等の通知(法第20条)

 商品引き渡しを受ける前に代金支払を受ける場合には、別途指定された内容を記載した書面を消費者に渡さなくてはならないことがあります。
 

5.その他禁止行為(法第21条)

・売買契約等の締結について勧誘を行う際、または締結後、申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、事実と違うことを告げること
・売買契約等の締結について勧誘を行う際、故意に事実を告げないこと
・売買契約を締結させ、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、相手を威迫して困惑させること
 

違反しないために

 特商法は、違反すると行政から指導を受けるだけでなく、業務停止命令や業務禁止命令といった強力な命令を受けることもあります。リスクは少なくありませんので、まずは規制内容を正確に理解しましょう。他にも、勧誘の際に薬機法や景表法にも注意しなくてはなりませんので、その辺りの法規制についても改めて確認しましょう。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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