サブスクリプション契約と特商法

インターネット上で、「サブスク」という言葉を聞くようになって久しくなりました。今では、Amazonプライム、Sportify、Hulu、トヨタのKINTO 等大手のサービスだけでなく、様々な種類のサブスクがあります。

実はサブスクも通信販売という区分に入り、「特商法」という法律の規制を受けることになりますので注意が必要です。

「サブスク」とは

「サブスク」とは、英語のsubscriptionに由来する言葉です。辞書を引くと、「予約購読」という日本語訳が出てきます。伝統的には、雑誌の年間購読がこれに該当します。
これに対して、最近の「サブスク」といえば、インターネット上のサービスに対して、一定期間の利用料金として定額を支払う契約が主流になりつつあります。月額一定料金を支払うことにより、音楽をストリーミングで聞くことのできるSportifyの登場により、サブスクのイメージが広がったのではないでしょうか。
サブスクリプション・サービスのビジネスモデルは盛んに議論されています。けれども、現時点(2021年3月31日)では、法律において、近年のサブスクリプション契約を定義したものは見当たりません。ここで注意が必要なのは、「サブスクリプション契約」「サブスク契約」とうたいつつ、その内容は、これまでの定期購入契約(販売業者が購入者に対して商品を定期的に継続して引き渡し、購入者がこれに対する代金の支払をすることとなる契約)に他ならないケースがあります。

サブスクで注意すべき点

インターネットで定期購入契約型のサブスクを行う場合は、特商法の通信販売の規制に注意が必要です。なかでも、事業者は、「(消費者が)商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件」を広告表示する義務があります(特商法11条5号、同施行規則8条7号)。
さらに、購入者から解約の申入れがない限り契約が継続される、期間の定めのない定期購入契約になると、上記の広告表示事項のうちの「金額」は、「まとまった単位での購入価格を目安として表示する等して、当該契約の基づく商品の引渡しや代金の支払いが1回限りでないことを消費者が容易に認識できることが望ましい。」と説明されています(消費者庁取引対策課他編『特定商取引に関する法律の解説(平成28年版)』126-127頁(商事法務)2018年)。
イメージとしては、例えば、月額980円(初年度年額10,780円、次年度以降年額11,760円)ということのようです。また、「契約期間」については、当該契約が消費者から解約通知がない限り契約が継続する無期限の契約である旨を示す必要があるとされています(同127頁)。
サブスクのウェブサイトにおいて、月額料金の記載はあっても、半年分や1年分といった、まとまった単位の金額表示はあまり見かけません。というのも、「いつでも解約可」という契約が多く、その趣旨が「2回以上継続して締結する必要」はないということならば、そもそも上記の広告表示義務の適用がありません。
インターネット上での定期購入契約については、特商法上その他にも留意が必要な点があります。個別のサブスク契約の法的問題点については、別途、ご相談ください。

美容機器の製造販売における薬機法の注意点とは?

最近、エステなどに使う機器を外国から輸入して販売したいのだけど、日本ではどうしたらよいのか?といったご相談をいただくケースが増えています。このとき、注意しなければならないのは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称「薬機法」)」です。

1.「業として」販売するかどうか

薬機法では、「医療機器」を業として製造販売するには、厚生労働大臣から、製造販売の許可と品目ごとに個別の承認を受けなければならないとされています。これら、製造販売の許可や個別の承認を受けずに製造販売した場合、違法行為として薬機法上の罰則の対象となります。
もっとも、「業として」ではなく、個人間で転売したり譲渡する分には、薬機法上の許可や承認は不要です。しかし、転売が事業として成り立つレベルに至っていれば、それは「販売業」とみなされるおそれがあるため、注意が必要です。
先のご相談の場合も、事業者が「業として」販売することを検討しているのであれば、当該機器が薬機法上の「医療機器」に該当するかどうかが、まずは問題になります。

2.「医療機器」に該当するかどうか

次に、薬機法上、「医療機器」とは、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう」と定義されています。つまり、人の身体の構造や機能に影響を及ぼす機器であれば、医療用であるか否かにかかわらず、「医療機器」に該当する可能性があるわけです。
もっとも、薬機法では、そのような機器に該当するからといって、その全てを「医療機器」としているわけではなく、そのうち「政令で定めるもの」に限定しています。これを踏まえて、薬機法施行令の別表第1では、「医療機器」の範囲として、機械器具だけでも84も定められています。その中身を見ると、明らかに医療用と思われる機器が数多く列挙される中、「家庭用電気治療器」や「磁気治療器」など、判断の悩ましいものもあります。

3.「医療機器」に該当しなかったとしても・・・

前述のとおり、薬機法上の「医療機器」とは、人の身体の構造や機能に影響を及ぼす機器で、かつ、薬機法施行令に定めるものを指す以上、これらに該当しない限り、「医療機器」には該当しないはずですし、厚生労働大臣の許可や承認なく製造販売しても問題ないはずです。ところが、実際には、人の身体の構造や機能に影響を及ぼすと思われる機器については、薬機法施行令に定めるものに該当するか否かにかかわらず、行政指導が入っている例が散見されています。
加えて、令和3年8月1日から、医薬品や医療機器について虚偽・誇大な広告を行った者に対して、違反行為を行っていた期間(3年間を上限とする)中における対象商品の売上額の4.5%を課徴金額として課されるようになります。
そのため、薬機法上の「医療機器」については、該当する場合はもちろん、そのおそれがある場合も、行政の指導や運用に細心の注意を払っておく必要があるわけです。

 

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オンラインサロンと特定商取引法

1 オンラインサロンとは

 最近、オンラインサロンという言葉をよく聞きませんか?オンラインサロンというのは、月額会費制のWeb上で展開されるコミュニティ(クローズド)の総称だそうです(Wikipediaより引用)。有名どころだと、堀江貴文さんの「堀江貴文イノベーション大学」やキングコングの西野亮廣さんの「西野亮廣エンタメ研究所」などが挙げられます。月額の会費を支払って、そのコミュニティの中で様々な体験を共有する、というサービスです。

2 オンラインサロンと特定商取引法

 オンラインサロンの運営方法には2種類あります。自らオンラインサロンのプラットフォームを構築して運営する方法と、運営会社のプラットフォームを利用してオンラインサロンを主催する方法です。
 前者の場合、オンラインサロンの主催者は、参加者から月額会費を徴収して、オンライン上のコミュニティで様々な価値を提供します。この場合、主催者の行為は、特定商取引に関する法律(特定商取引法)の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになりますので、同法11条以下の規定の適用を受けることになります。
 後者の場合、オンラインサロンの主催者は、運営会社のプラットフォームを利用する形になり、プラットフォームを通じて個々のオンラインサロンのサービスを提供する運営会社の行為が特定商取引法の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになります。

3 「通信販売」についての特定商取引法の規制

 オンラインサロンの主催者又は運営会社に適用され得る特定商取引法上の規制は以下のとおりです。

<行政規制>
・広告の表示(法11条)
・誇大広告等の禁止(法12条)
・未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法12条の3、12条の4)
・未承諾者に対するファクシミリ広告の提供の禁止(法12条の5)
・前払式通信販売の承諾等の通知(法13条)
・契約解除に伴う債務不履行の禁止(法14条)
・顧客の意に反して契約の申込みをさしようとする行為の禁止(法14条)
・業務改善指示(法14条)、業務停止命令(法15条)、業務禁止命令(法15条の2)
 等の行政処分及び罰則

<民事ルール>
・契約の申込の撤回又は契約の解除(法15条の3)
・事業者の行為の差止請求(法58条の19)

 特に重要なのは、法11条の広告の表示です。通信販売は、隔地者間の取引であり、消費者にとっては広告が唯一の情報源となるため、トラブルの事前防止として詳細な表示義務が規定されています。販売価格や支払時期等の取引条件はもちろん、オンラインサロンの主催者や事業者の身元を明らかにしておく必要があり、個人の場合には、その氏名、住所、電話番号の表示が必要となります。もっとも、広告態様や広告スペースは千差万別であるため、表示が要求される事項のうちの一部については、消費者からの請求があった場合に必要事項を記載した書面を遅滞なく交付する旨を表示していれば、これらの事項の表示を省略することができます。
 なお、特定商取引法では多くの取引形態についてクーリングオフ制度が導入されていますが、通信販売については、クーリングオフ制度の適用はありません。通信販売の場合には、事業者が規定した返品特約(返品の可否、条件、送料の負担の表示)に従うことになりますので、返品に関する事項については、表示の省略はできません。

4 おわりに

 以上のとおり、オンラインサロンを主催・運営する場合には、特定商取引法の通信販売の規制の適用を受けることになります。
 オンラインサロンを主催・運営してみたいけど、Web上に自分の名前や住所、電話番号といった個人情報を掲載することに抵抗がある場合には、オンラインサロンのプラットフォームを利用することを検討してみるとよいかもしれません。

弁護士による電話勧誘販売におけるチェックサービス

 電話勧誘販売を行う事業者は、特商法という電話勧誘販売特有の規制が存在するということを認識しなくてはなりません。電話勧誘販売とは、事業者から消費者の自宅や職場に電話をかけたり、消費者から電話をかけさせたりし、その電話で商品やサービス等の勧誘をして申し込みを受ける販売方法です。
 電話勧誘販売は、通常の店舗販売等とは異なり、基本的に消費者は望んでいないにもかかわらず不意に勧誘を受けるものです。そのため、消費者に断る機会を与えたり、事業者側の執拗な勧誘行為を禁止したり、口頭で申し込んだ内容を確認する機会や、申込後に契約を維持してよいかどうかの熟慮期間を設けたりする必要があります。そのため、次のような規制が存在します。

1.事業者の氏名等の明示(法第16条)

 事業者は、電話勧誘販売を行うときには、勧誘に先立って、消費者に対して以下の事項を告げなければなりません。

・事業者の氏名(名称)
・勧誘を行う者の氏名
・販売しようとする商品(権利、役務)の種類
・契約の締結について勧誘する目的である旨

2.再勧誘の禁止(法第17条)

 特定商取引法は、事業者が電話勧誘を行った際、契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。

3.書面の交付(法第18条、法第19条)

 特定商取引法は、事業者が契約の申込みを受けたとき、あるいは契約を締結したときには、契約書面を消費者に渡さなければならないことを定めています。

4.前払式電話勧誘販売における承諾等の通知(法第20条)

 商品引き渡しを受ける前に代金支払を受ける場合には、別途指定された内容を記載した書面を消費者に渡さなくてはならないことがあります。

5.その他禁止行為(法第21条)

・売買契約等の締結について勧誘を行う際、または締結後、申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、事実と違うことを告げること
・売買契約等の締結について勧誘を行う際、故意に事実を告げないこと
・売買契約を締結させ、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、相手を威迫して困惑させること

違反しないために

 特商法は、違反すると行政から指導を受けるだけでなく、業務停止命令や業務禁止命令といった強力な命令を受けることもあります。リスクは少なくありませんので、まずは規制内容を正確に理解しましょう。他にも、勧誘の際に薬機法や景表法にも注意しなくてはなりませんので、その辺りの法規制についても改めて確認しましょう。

【景表法解説】化粧品のモニター募集に謝礼を用意してもよい?

商品を買ったときに、「おまけ」がついてきたら嬉しいですよね?もし高価なおまけがついてくることが約束されていたら...商品ももちろん大事ですが、おまけにつられて商品本体を買ってしまうということもありえるのではないでしょうか。実は、そのような状態を規制するための法律があるのです。今回は、景品表示法(以下、「景表法」といいます。)における景品類規制について、お話します。

景表法とは

景表法上の「景品類」とは、①顧客を誘引するための手段として、②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する、③物品、金銭その他の経済上の利益のことを言います(景表法2条3項)。
景表法では、これらの景品類に該当するものについて、A総付景品、B一般懸賞、C共同懸賞という類型に分類した上で、提供できる限度額を設定しています。そして、その限度額を超えて景品類を提供した場合には、行政が措置命令を出すなどして、景品類の提供を禁止することなどができます。

景品はいくらまで大丈夫?

肝心の分類とその限度額ですが、一定の条件に該当する者全員に物品を提供する場合、「A総付景品」に該当します。そして、「A総付景品」の場合、取引価額が1000円未満の場合は景品類の最高額は200円まで、取引価額が1000円以上の場合は景品類の最高額は取引価額の10分の2まで、という制限があります。「A総付景品」の具体例としては、「先着○名様にもれなく○○プレゼント」というようなものがあり、このパターンが最も多いです。
次に、くじやコンテストによって当選者や価額を定める場合、「B一般懸賞」に該当します。そして、「B一般懸賞」の場合、取引価額が5000円未満の場合は、景品類の最高額が取引価額の20倍とされ、取引価額が5000円以上の場合は、景品類の最高額は10万円とされています。なお、景品の総額については、取引価額にかかわらず、懸賞に係る売上予定総額の2%までという制限があります。「B一般懸賞」の具体例としては、抽選券を商品に同封し、抽選で数名に景品が当たるといったものがあげられます。
そして、多数の事業者が共同して懸賞を行う場合、「C共同懸賞」に該当します。この「C共同懸賞」の場合、取引価額にかかわらず、景品類の最高額は30万円、景品類の総額は懸賞に係る売上予定総額の3%とされています。「C共同懸賞」の具体例としては、商店街のイベントが考えられます。

化粧品モニターの場合は?

では、景表法においてこのような景品類の規制がある中で、化粧品のモニター募集をした場合に、謝礼を渡すということは認められるのでしょうか?今般、口コミサイトを運営したり、メーカーが自社の宣伝をしたりするに当たり、モニターを募集するということが多く行われています。その際、モニターには、商品サンプルを渡すこととなり、そのサンプルを使ってもらって口コミを投稿してもらうこととなりますが、サンプルとは別に、謝礼を渡すことは認められるか、事業者としては気になるところです。
ここで、景表法上の「景品類」の定義に戻りましょう。口コミサイト運営者にとって、募集するモニターは、いわゆる顧客とは異ります。また、メーカーがモニターを募集する場面を想定しても、モニターは純粋な顧客とは異ります。そうしますと、そもそも①顧客を誘引するための手段としてという要件(顧客誘引性)がありませんので、景表法上特段問題はないこととなります。

景表法規制対象外の例

また、少し脇道に逸れた話になりますが、実は、「5個買った人は、100円引き」といった値引きや、アフターサービスについては、景表法の景品類規制の対象から外れます。このとき、先程紹介した「A総付景品」と混同しやすいのですが、実質的に同一の商品・サービスであれば、値引きととらえ、規制対象から外れるとされています。そのため、例えば、「コーヒーを3杯飲んだら、1杯無料券プレゼント!」というような場合も、4杯分のコーヒーを飲んだとしたときに1杯分が安くなっている、というように整理し、トータルで少し安くなった、すなわち値引きがあったということで、規制から外れることとなります。
その上、「景品類」の定義をよく見てみると、②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する(取引付随性)という要件がありますが、これに当たらない場合は、当然「景品類」ではなくなりますので、景品類の規制からも外れることとなります。具体的には、ウェブサイトなどで、商品の購入や来店を条件とせず、ウェブサイト上から申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画については、景品類規制がかかりません。このような企画は、オープン懸賞と呼ばれています。
このように、一見して、景表法上の規制がかかりそうに思えるものでも、よくよく検討してみれば特段景品類の規制にかかることなく実施できる企画もありますので、事業者の皆様におかれましては、いろいろとアイデアを絞ってみてはいかがでしょうか。

薬機法違反をチェック!弁護士が健康食品・化粧品等の広告違反事例を解説

1薬機法とは?違反するとどうなるの?

薬機法とは、医薬品のような人体に対して強い効果をもつものについて、厚生労働省がその効果ないし副作用の有無について確認の上承認することで、国民の健康を守ろうとする法律です。そのため、そういった承認なくして、医薬品又はそれと同等の効果をもつ商品について、広告する行為は、薬機法第68条に違反します。また、効能効果に関して虚偽・誇大な広告をしてしまうと、薬機法第66条第1項に違反することになります。
薬機法に違反すると、最初は行政指導があり、その後行くところまで行くと、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金(薬機法第85条)を課せられる可能性があります。

2健康食品と薬機法

健康食品を販売する際には、医薬品と思われるような広告をしないように最大限注意しなくてはなりません。医薬品と思われる広告とは、①疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物、又は②身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物をいいます。例えば、「がんが治る」「風邪を予防する」という表現は、①にあたりますし、「免疫力向上」「疲労回復」「若返り」「鉄分の吸収を促す」といった表現は、②に当たることになります。

3化粧品と薬機法

化粧品は、薬機法上、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物をいいます。例えば、化粧水、ファンデーションといったものはもちろん、シャンプー、歯磨き粉、香水といった体につけることで、清潔にしたり、香りづけしたりする物が化粧品に当たります。
化粧品は、その表現が56種類に限られており、その範囲でしか訴求できません。56種類の他にいえることとしては、メーキャップ効果があります。これは、その商品を肌に上塗りすることで、色彩的に変化が見られる効果をいい、肌自体が変化しているわけではないため、許されております。
化粧品については、その他にもいろいろな規定があり、例えば、「美肌力No.1」など、効能効果に関する最大級表現は禁止されていたり(「売上No.1」は、事実であれば問題ありません)、医師や美容師などの専門家による推薦や、浸透表現の際には角質層までと明記しなくてはならないこと等のルールはいくつかありますが、これらの規定の詳細は、日本化粧品工業連合会という団体が出している「化粧品等の適正広告ガイドライン」を確認することになります。

4美容器具と薬機法

美容器具で重要なことは、医療機器を想起するような広告をしないことになります。医薬品と似ているのですが、①疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物、又は②身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物だと、医療機器と扱われてしまいます。
例えば、「ニキビの治療」は①にあたりますし、「シワが無くなる」「肌質が改善し、美白になる」「脂肪細胞を破壊する」は②にあたります。美容器具の広告を作成する際には、①②に該当しないように注意していただく必要があります。

5まとめ

これらは、社内の検討だけで答えが出せるものではなく、類似事例の捜索や行政への問い合わせを積み重ねて検討していく必要があります。広告に不安があるようでしたら、一度当該分野専門の法律事務所に相談に行くべきです。

弁護士による特商法解説

 「特商法」という法律を聞いたことはありますか?サブスクリプション契約をはじめとするオンラインビジネスの普及に伴い、近年改正も多く、活発に議論されている分野です。今回は「特商法」とは何か?どんな法律なのか?という疑問にお答えします。

特商法とは

 まず、「特商法」とは、「特定商取引に関する法律」の略称です。これは、事業者による悪質な勧誘行為を防止し、消費者の利益を守るために作られた法律です。そして、「特定商取引」とは何か?と言うと、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売等のことを指しています。
 そこで、特にインターネット上で商品を販売する業者などは、この特商法の規定に沿ってウェブサイトを運用する必要があり、注目すべき法律になっています。このように、あくまでも特商法は、事業者が守るべき法律ですので、事業者側に立つ皆様にはしっかりと特商法を守った業務をしていただき、消費者側に立つ皆様にはこのような法律が消費者の安全・利益を守っていることを知っていただいて、ご自身の商品購入などの機会に悪質業者を見抜ける目を養っていただけたらと思います。

注意点は?

 ただ、特商法の規定を守るといっても、どのようなことに気をつけなければならないか?は、特商法の条文を見るだけではわかりにくいことが多いです。そのようなときに確認すべきは、消費者庁が発表している各種ガイドラインです。
 ガイドラインは、具体例でイラストを交えながら説明しているものもあり、比較的わかりやすく書かれていますので、判断に迷ったときは一度参照してみるとよろしいかと存じます。また、消費者庁が運営している、「特定商取引法ガイド」というウェブサイトも非常に参考になりますし、条文と向き合うよりも読みやすいかと存じますので、確認してみることをおすすめいたします。

サブスクリプションに関する特商法

 今回は特商法の大まかなご案内なので細かな事例をご紹介することは控えますが、特商法関連で特に近年注目が集まっているのはサブスクリプションでの契約についてです。
 サブスクリプションでの契約をすると、消費者は、商品やサービスを利用できる期間に対してお金を払い、当該期間内に当該商品やサービスを利用する権限を得ることとなります。このようなサービスは近年業種の幅が広がり、様々なものが出てきていますが、従来はそれほどポピュラーではなかったことから、サブスクリプションでの契約そのものに対する規定はありませんでした。
 しかし、サブスクリプションでの契約の場合も、インターネット上で顧客を集めるのであれば、特商法上の「通信販売」に該当しますので、特商法上の通信販売をする場合の規定に沿ったウェブサイトの運営をする必要があります。

事業者が気を付けるべきこと

 ここでは、簡単に事業者側でどのようなことに気をつけなければならないか?を簡単に説明しておきたいと思います。
 もっとも気をつけるべきは、広告となるウェブサイトを作成する段階です。特商法の規定は、消費者に対して誤解を与えないようにするために設置されているという大原則から、広告段階で適切に取引内容を説明することが必須です。これは景品表示法でも同じような発想がありますが、事業者の立場からすると、少しでも多くの顧客を誘引したいと思いすぎると、うっかり特商法違反と評価されうる記載をしてしまうことがあります。そのようなときに特商法違反として、消費者庁から業務停止命令等を受けてしまっては本末転倒になってしまいます。
 そうならないためには、一度広告を作成できましたら、特商法に違反していないかご自身でもチェックしていただき、ご不明点やご自身のチェックのみではご不安だという場合には、弁護士にご相談いただければと思います。

なりすまし注文・いたずら注文にご注意を!

最近、EC事業者様から、なりすまし注文・いたずら注文の被害を受けているとご相談いただくケースが増えています。この記事では事例とその対処法について弁護士が解説いたします。

1.なりすまし注文・いたずら注文とは

「なりすまし注文」とは、実在する第三者の名前や住所、連絡先を不正に利用して注文し、当該第三者に商品を送り付けるというものです。代引きで注文し、発送先から「注文した覚えのない商品が届いたんですが...」と問い合わせが入って発覚することが多いです。この場合、発送先から商品の受取を拒否されてしまうと、EC事業者様において、送料や代金引換手数料、梱包資材料などの負担が生じるため、なりすまし注文が増えるとその経済的被害が甚大になるおそれがあります。また、仮に発送先が代金を支払ったとしても、消費者が当該商品やEC事業者様に対してマイナスイメージを抱いてしまい、クレームや顧客離れに繋がるおそれもあります。

「いたずら注文」とは、架空の名前や住所、連絡先を利用して不正に注文し、EC事業者に商品を発送させるというものです。後払い決済やクレジットカードを利用していることが多く、支払がなかったり、クレジットカードの審査が通らずに発覚することが多いです。この場合、代金先払いやクレジットカード払いにすることで、経済的被害の発生を防ぐことはできますが、与信NGの判断が出る度に対応を迫られるため、いたずら注文が増えるとEC事業者様の業務量をいたずらに増やしてしまうおそれがあります。

2.なりすまし注文・いたずら注文の目的とは

なりすまし注文・いたずら注文の主な目的としては、①特定の個人やEC事業者に対する嫌がらせ、②EC事業者が利用しているアフィリエイターが、報酬を不正に得るため、などが多く見られます。
②の場合は、アフィリエイト申請者に対して事前審査を行ったり、アフィリエイトの報酬が発生する条件を見直すことで、悪質なアフィリエイターを排除していくことが可能です。しかし、①の場合、単なる嫌がらせ目的のため、発生を防止するのが極めて難しいのが現状です。

3.なりすまし注文・いたずら注文への対処

なりすまし注文・いたずら注文は、件数が増えれば増えるほど、それに応じた経済的被害が増えるにとどまらず、その対応に追われる時間や人材にかかるコストが増大し、EC事業者の経営を圧迫します。
そのため、これに対して早めに、かつ継続的に対処していくことが大切です。

なりすまし注文・いたずら注文に関する警告文をホームページなどに掲載する

最初に取り組んでいただきたいのは、なりすまし注文・いたずら注文に対して厳しい対応で臨む旨を、ホームページ上の消費者の目に留まりやすい場所に掲載することです。具体的には、
・高額の注文の場合、注文後に電話やメールにて確認する。
・登録された電話番号やメールアドレスに連絡が取れず、本人確認ができない場合は、注文をキャンセルする。
・過去の取引状況により、注文をキャンセルする。
・なりすまし注文・いたずら注文と判断した場合、個人情報・IPアドレスを関係機関に報告し、警察へ被害届けを提出する。
・なりすまし注文・いたずら注文を行った者に対して、損害賠償を請求する。
などを明示します。
これだけで被害の発生を完全に食い止めることはできませんが、なりすまし注文・いたずら注文に対し、事業者として厳しく臨むことを予告しておくことで、実際に被害が生じた場合にも、ここに明示したとおりの対応を進めていきやすくなります。

IPアドレスの調査、警察への被害届の提出

なりすまし注文・いたずら注文があまりにも悪質な場合、犯人のIPアドレスを特定して、プロバイダーに個人情報を開示してもらうことも検討しましょう。IPアドレスの特定に当たっては、弁護士等から事情を説明すれば任意で開示してくれるところも増えてきました。もっとも、プロバイダーは、警察の令状や裁判所の開示命令がなければ個人情報の開示に応じないところも多く、また、情報の保存期間も2,3カ月程度と短いのが実情です。加えて、中にはIPアドレスを偽装までして注文してくる犯人もおり、その場合は犯人の特定に結び付きません。そのため、調査に要する金銭的、時間的コストと、得られる結果とを天秤にかけながら、調査を進めていく必要があります。
また、なりすまし注文・いたずら注文は、特に嫌がらせ目的の場合、被害額が数千円程度にとどまることから、警察に相談しても動いてもらえず、結果的に泣き寝入りで終わっているケースも多いです。しかし、調査を進めてみると、同じ名前、住所、連絡先によるなりすまし注文・いたずら注文が、複数の事業者に対してなされているなど、被害が深刻化しているおそれもあります。そのため、場合によっては、同業他社とも情報を共有し、被害「社」団体を形成して、警察に被害届を提出することを検討してもよいかもしれません。