インターネット通信販売の金銭トラブル。後払いにおける法律とは

後払いには「時効」があることを把握しましょう

事業者にとって後払いは、売掛金になります。その売掛金の未払いリスクは大小に関わらず痛手になるのではなりますよね。
法律的には売掛金の時効は2年です。2年以上にわたり遅延されると売掛金の権利が消滅してしまいそれ以上支払われることは愚か催促さえできなくなります。但し、2年後に時効期限が経過しても債務者側に支払う意志があれば債権は消滅せず、支払いを受けることが可能です。

そのため2年以内に何か対策をする必要があります。
では、それを回避するための手段を解説します。

後払いで購入した支払いが行われない場合

(1)まず支払いを消費者に承認させる

「支払い契約書」または「残高確認書」などを作成して、支払いを滞っている顧客(債務者)に対して郵送または直接渡すようにします。その書類に債務者が署名捺印した時点で債務を承認したことになり時効は中断されます。(時効はその捺印した日から2年後が新しい時効成立日となる)

例えばこれらの正式な書類無しで「払ってください」「○月○日までに払います」という口頭の交渉だけで行うと、売掛金の存在自体が明確にならないために法的には事業主側が不利になりますので要注意です。

(2)内容証明郵便で請求する

顧客(債務者)が自分の債務を認めない場合には、時効期間内に請求書を送付します。ただしその際には「内容証明郵便」として郵送しておくべきです。内容証明により債務者への請求書送付日が確定すれば、そこから6ヶ月間は時効が中断します。その6ヶ月以内に支払い交渉をすることになりますが、それでも支払ってもらえない場合には訴訟を起こすなどの強制策をとるなど考えましょう。

因に内容証明郵便は、一行20字以内、行数は26行以内で、必ず記載しなければいけない事項等の条件が細かく定められています。それらが守られていないと、内容証明として成立しないケースもありますので一度専門家に相談することをおすすめします。

インターネット通販での後払い決済については、請求書の発行から債務の代行などまで行ってくれるNP後払いという決済システムもあるようです。ですが今回述べた方法は、事業間の取引にも同じことがあてはまることですので頭に入れておくといいのではないでしょうか。

取引相手が支払いをしてくれない場合にはどう対処する?

まずは与信管理

与信管理は、信頼できる会社なのかを人を含めて見分けることを指します。
人やHP上でみかける雰囲気など、アナログな方法から初めてみるのもいいですし、商業謄本で会社の資本金があるか支払い能力があるかなどを調べるのもおすすめです。(商業謄本は誰でも法務局で取得することができます。)
また、不動産謄本の情報からはすでに債務がある会社ではないか所有者が違うのではないかなども調べることができます。
まずはあらゆる方法で事前に下調べしてみることをおすすめします。

それでも見抜けない場合

とは言え担当者の人は良さそうだし、会社の体力もありそう…と多くの方は悩んでいるうちにその判断基準でさえ分からなくなってしまうのが現状ではないでしょうか。悲しいかなその心理につけこんだ悪徳ビジネスも存在しています。

そのような時は、前払いで支払い能力があるか確かめるのもポイントです。
相手方が強い交渉をしてきたり、事業主の立場が弱い場合など特定のことがない限り、支払い方法を決める権利は事業主にある場合がほとんどです。初回は前払いで統一するなどそこから信頼できるのか判断する1つの方法です。

また、取引を開始する際に契約書でどれくらい支払いにまつわる条件を入れられるかもポイントです。提示した取引条件で相手が合意しないポイントがお金や支払いにまつわる場合、その時の反応や態度などが1つの与信判断基準になったりします。

取引内容が明記された契約書は事業主側が提出するのが一般的な筋です。ですので与信管理の意味も含めた契約書にする場合は、自社のサービスの特性と一般的な流れのちょうどよいところを弁護士などへ相談し模索した上で契約書を作成依頼するものおすすめです。多くの会社はそのような契約書を作成するための弁護士の費用を抑えようとインターネットで出回っているひな形を使用することがあるようですが、支払いトラブルを避けるためにも、サービスや商品、形態、取扱い上の注意や販売方法、ブランディングに至まで、商品にこだわりがあればあるほど契約書は個別で作成し、細かいところまでチェックするのが必要です。また、弁護士へ契約書作成の依頼をするメリットとしては何かの法律に抵触していないか確かめるのにも有効です。

契約通りに支払いが行われなかった時

いよいよ支払い日。振込確認を行うが確認がとれない場合、まずは早急に電話での確認してみましょう。相手がただ単に忘れている場合もありますので必要以上に問いたださず、まずは状況を確認してみましょう。その際、いつ支払い対応ができるか明確に訪ねるのもポイントです。

電話で催促をしても対応する気配がない場合は内容証明を送ることも可能です。さらにどんどん効力を強くすることも可能で、支払督促を申し立てたり、少額訴訟をすることも可能です。
ただし効力を増すごとに取引相手とは信頼の再建はできなくなる場合が多いのも事実ですのでどうすべきか弁護士に相談してみることもおすすめです。

いくら信じて待とうと思っても、電話での確認から再度約束した期日で支払いが行われない場合は、事は全て早めの対処が必要です。
なぜなら売掛金の支払いには時効があります。その時効は2年と意外に短いので時効にかかってその売掛金が消滅してしまわないように、早い段階から専門家に相談することもおすすめです。

エステティックサービスにおけるクーリングオフと中途契約の違いとは?

クーリングオフと中途解約の違い

エステティックサービスのクーリングオフ

提供するメニューの申し込みまたは契約書を法律で定められた書面に沿って交わした日から8日以内であれば、無条件に消費者による解約ができること

エステティックサービスの中途解約

クーリングオフの期間を過ぎてかつサービスを提供している途中でも無条件に消費者による解約ができること

要するにエステサロンはいかなる場合でもあっても消費者による解約を認めないといけないということになっています。
これは平成13年4月1日より施行された「消費者契約法」という法律で消費者のそもそもの意思が守られていることが大きく寄与しています。
そのため消費者との契約書にも「いかなる場合でもあっても解約はできない」とは記載ができません。

中途解約における、損害賠償について

ですがそうは言っても契約は契約ですよね。契約数をベースに商材を事前に仕入れていたり、予約枠を確保していたりなどの事前投資がある場合、エステサロンを運営している事業主側にとってはその損失は大きいのではないでしょうか。
消費者契約法や特定商取引法で消費者が守られていると言っても、エステサロンの事業主側が全く損になるということでもありません。
中途解約の場合は、律で定められている上限内で賠償金を消費者に請求することが可能です。

賠償金の金額とは

契約後消費者が、

  • サービスを利用する前:上限2万円まで
  • サービス利用後:未使用サービス料金の1割か2万円のいずれか低い金額まで

です。

さらに、そのサービスを遂行するために必要な物販などの関連商品がある場合は、それらも解約の対象となりますから注意が必要です。
※関連商品とは健康食品、化粧品、石けん(医薬品を除く)、浴用剤、下着類、美顔器、脱毛器などです。
ただし例外もあります。商品を買うか買わないかは本人が自由に決めることができる状況で販売している場合(該当するサービスを遂行することに関係のないもの)本人の意思により契約したものは関連商品ではなく推奨商品となり、クーリングオフや中途解約はできないことになっています。

解約時のトラブルを大きくしないために

消費者の理解を得てトラブルを事前に防ぎ賠償金や解約に関することなどを明確にするためにも、エステサロンなどの事業主側は法律で定められた義務を実行する必要があります。その義務とは「法律で定められた書面に沿って契約内容を記載した書面を消費者に渡す」ことです。
これがないと消費者と大きなトラブルになってしまう可能性がありますから、今一度その内容や渡すタイミングなど合っているのか否かを専門家に相談してみてもいいのではないでしょうか。

クーリングオフってどんなルール?

クーリングオフとは?

そもそもクーリングオフというのは、特定商取引法という法律が認めている民事ルールの1つです。エステや美容業界に関わらず、様々なサービスが提供される消費者と事業者との間のトラブルを防止し、その救済を容易にするなどの機能を強化するために「消費者による契約の解除」が無条件で出来ることを指しています。

では実際、クーリングオフはいつでもできるものなのでしょうか。
特定商取引法が認めるクーリングオフは、下記の場合が適用条件と示しています。

    1. 1、申込みまたは契約後に法律で決められた書面を消費者が受け取ってから特定商取引法で定めれた一定の期間内

      1. 2、 特定商取引法で取引類型(いわゆる取引方法)に定められた契約内容に該当する場合

消費者も事業主側も、これらの期間や契約内容をサービスや提供される商品ごとに正確に把握する必要があります。特定商取引法には取引類型(いわゆる取引方法)が7種類ありますが、1で述べた「一定の期間」がそれぞれ異なります。

訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入においては8日間
連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間
通信販売にはクーリングオフが適用されません。

そしてこの期間を定める日とは「申し込みまたは契約後に法律で決められた内容が記載された書面を交わした日」から数えます。
※事業主側は定められた法律の元で書面を作成、消費者に提示し交わすことも特定商取引法の中で義務づけられています。

エステティックサービスのクーリングオフとは?

それでは、2でのべた特定商取引法で取引類型(いわゆる取引方法)に定められた「契約内容」とはどのようなことかをエステティックサービスでご紹介します。

特定商取引法の中でエステティックサービス(いわゆる美顔・痩身・脱毛などの施術を提供するサービス)は、特定継続的役務提供という取引類型に分類されています。その取引類型ではエステティックサービスの契約内容が
「契約期間が1カ月を超え、かつ金額が5万円を超える場合」クーリングオフが適用とされています。

まとめると、

  • ✔事業主側が消費者へ提供するエステティックサービスの契約が1ヶ月を超えるものでかつ金額が5万円を超えるものは、クーリングオフの対象となる
  • ✔上記に該当するサービスを提供する場合、事業主側は消費者に対し法律で定められた書面を交わす必要がある
  • ✔上記で交わした書面がある場合、クーリングオフは申込みまたは契約後、8日間は適用されている

となります。

このクーリングオフ、今まで適用外であった美容医療サービスも来年度には施行される動きが強まっていますのでますます消費者によるクーリングオフが増えるかもしれません。後からトラブルにならないよう不安な事業主の方などは今のうちにその契約内容に明記する内容などを専門家に相談してみるといいかもしれません。