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メルセデス・ベンツ日本株式会社に対し、景表法違反の措置命令

2021.12.14
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消費者庁は12月10日、メルセデス・ベンツ日本(東京都品川区)に対し、車のカタログなどで、本来標準装備ではない機能が装備されているかのように記載したとして、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出しました。

>>【12億3,097万円】メルセデス・ベンツ日本株式会社に対して景品表示法に基づく課徴金納付命令

対象となったのは、同社のスポーツ用多目的車(SUV)の「GLA」と「GLB」の計4モデルです。本来標準装備ではない自動運転の機能や、オプションで別途費用がかかる「サングラスホルダー」などが、標準装備であるかのように記載されていました。


消費者庁の発表によれば、上記の表示は昨年6月から今年8月までの間、カタログなどに標準装備だと誤認させる内容で表示されていました。また、報道によると、対象車種は11月末現在で計約1万6000台を販売。同社は不注意による表記ミスであり、再発防止に努めるとのコメントが発表されています。


今回の事案について、当事務所でさまざまな広告審査を担当している中山明智弁護士の見解をまとめてみました。ご参考にしていただければ幸いです。

対象となった車のカタログに対する措置命令

媒体的にみると、カタログに関する措置命令は、やや珍しいです。というのも、近年、対象媒体の主流はウェブサイトです。


また、自動車分野の措置命令というのはあまりないように思いますので、商材的としては、かなり珍しい事例だったといえるでしょう。当事務所でも、過去のすべての措置命令を網羅しきれてはいませんが、近年の傾向として体感的に非常に稀な例といえます。

今後のカタログの記載について

今回は、メルセデス・ベンツという非常に有名かつ大企業のカタログが対象となりましたが、今後は同じようなカタログ記載についてわかりづらい企業は自らの記載について見直してみる必要があるでしょう。特に打消し表示について、消費者庁の目は厳しいという点を再確認する必要があります。

有利誤認か優良誤認か

本件は、標準価格内なのか、追加料金がかかるのかという意味では、有利誤認表示(契約条件に関する表示への規制)ともとらえうる事案でしたが、優良誤認表示(商品の品質に関する表示への規制)で措置命令が出ました(不実証広告規制の適用の有無という点で、行政からすると優良誤認表示で規制した方が有利です)。
有利誤認表示とも優良誤認表示ともいいうる表示があるということを、専門家である我々自身も考えさせられました。

・・・・

まとめ

企業が、自社のサービス・商品の訴求の為に、様々な広告、Webでの商品説明に力を入れている昨今。規制も年々細かく、厳しくなってきています。企業の皆様においては、消費者庁が出している各種「景表法ガイドライン」を参照しながら、自社の広告が景表法に違反しないかどうかを入念にチェックする必要があるでしょう。
当事務所では、広告についての専門チームを設置しています。何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せ下さい。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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