薬機・景表法等に関するQ&A

アマゾン薬局と薬局事業のDX

2022.11.25
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アマゾン薬局と薬局事業のDX

今回は最近よく耳にする“アマゾン社が薬局事業に参入する”、いわゆるアマゾン薬局に関して、お話をしたいと思います。と言っても、アマゾン薬局自体に関する説明というよりも、何故アマゾン社が日本の調剤薬局事業に参入を宣言してきたのかという背景を中心に説明をしていきます。

昨今、調剤薬局事業にもDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるよう規制緩和が進められています。2019年に認められたオンライン服薬指導を皮切りに、2021年にはオンライン資格確認、とうとう2023年1月には電子処方箋の運用が開始されることになっています。他方で同時並行的に保険医療機関でもオンライン診療、オンライン資格確認は認められており、また、電子処方箋の運用も薬局と同様に推進され、医療機関側も薬局事業と同様にDXが進められているのです。

では、薬局のDXが進むことと、アマゾン薬局が進出することに、どのような関係があるのでしょうか。それにはまず、電子処方箋の役割について、簡単に説明をしておく必要があります。

 

電子処方箋の流れ

皆さんが調剤薬局で薬を受け取るまでの流れを思い出してみてください。医療機関で診察を受けた後、紙の処方箋を受け取り、それを調剤薬局に持参して、薬が渡されるという流れが一般的かと思います。(一部では医療機関で薬まで渡されますが今回はそのケースは除きます。)

電子処方箋の運用が開始された場合には、医療機関で発行される紙の処方箋が電子処方箋として置き換わることになります。ここで電子処方箋と混同しないようにしていただきたいのが、処方箋のFAXやアプリで写真を撮って薬局に送付する場合です。

これらは、あくまで紙の処方箋の写しに過ぎないため、原本である紙の処方箋は別途薬局に渡す必要があります。一方、電子処方箋は対象の薬局に送信さえすれば、電子処方箋自体が原本となりますので、FAXやアプリと異なり薬局に行って紙の処方箋を渡す必要がなくなるのです。

 

処方箋のやり取りがオンラインで可能になるとどう変わる?

 

処方箋のやりとりがオンラインで可能になると、後は、保険証の確認や薬剤師による服薬指導の実施が問題となりますが、これらは既に行われているオンライン資格確認やオンライン服薬指導により、薬局に直接行くことなく、オンライン上で実施することができます。更に言えば、オンライン診療で診察も実施されれば、医療機関に行くことなく、電子処方箋が発行され、任意の薬局に電子処方箋を送信し、服薬指導を受け、後は薬局が薬を患者さんのご自宅に配送すれば、患者さんは自宅にいながら診察から薬の受け取りまで全てが完了できるのです。

ここでポイントとなるのが、最後の薬の配送です。ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、アマゾン社は物流に関してとても強い自社ルートがあるため、通常の薬局が宅配便等で行わなければならないところ、自社のルートを用いて配送を行うことができます。したがって、その物流の強みを活かして他の薬局にはできないようなサービスが提供可能ということで、参入を宣言したと考えられます。

 

 

 

 

 

 

アマゾン薬局の早期参入は可能?

 

それでは、アマゾン薬局が描くような全てオンラインで繋ぐような薬局事業は、市場参入し、直ぐにシェアを獲得することが可能なのでしょうか。 色々な考え方があるかと思いますが、直ぐには難しいものと考えられます。というのも、調剤薬局のオンライン化は、調剤薬局のみならず、医療機関や患者さん自身も対応する必要があります。

具体的には、医療機関側のDXが進んでいないと電子処方箋の発行以前に、オンライン診療も難しく、患者さんは来院する必要があります。しかし、来院して処方箋を受け取れば、紙の処方箋で医療機関に近い薬局に行けば済んでしまいます。そうすると電子処方箋が導入されたからと言って、すぐにオンラインを中心とした薬局が現在の薬局に取って代わるとは考え難いのです。また、患者さんの全てが電子処方箋やオンラインに対応できるかという点や検査が必要な患者さんも相当数いることを考え併せると、全てオンラインで行うことは難しく、また定着するにも時間がかかることは想像に易いのです。

 

医療機関や薬局のDXに向けて

しかし、これは現在の話に過ぎません。数年後になるかもしれませんが、医療機関や薬局のDX化が当たり前となり、医療業界でもオンラインが基本となる時代は、いつかは到来しても不思議ではありません。

 

また、今もリフィル処方等も法律的には認められており、一般的になれば、調剤薬局がDXされるだけでも、全てオンラインで対応することも可能です。このように、オンラインで対応する薬局が当たり前となり、いつか今の薬局事業のイメージが変わることも想定して準備をしていくことが必要と考えられるでしょうい。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

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美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。
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