投稿者: 弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム
保護中: 広告審査例(2023年7月メルマガ)血流促進
機能性表示食品の広告に対する注意点
機能性表示食品とは
機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。
この制度に基づいた食品を「機能性表示食品」といいます。
例えば、皆さんも、○○という成分は高めの血圧を下げる効果が報告されている、△△という成分は高めの中性脂肪を低下させる効果が報告されている(このような機能が認められている成分を機能性関与成分といいます。)などと記載されている商品を見たことがあると思います。このような内容が記載されている商品の多くは、機能性表示食品です。
機能性表示食品のポイントは、事業者がその責任をもって科学的根拠に基づいて機能性を表示している点です。同じ保健機能食品である特定保健用食品と異なり、機能性表示食品は、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
つまり、事業者が根拠としている科学的根拠が裏付けとならない場合には、届出内容と合致した広告であったとしても、景品表示法や健康増進法違反とされる可能性があります。
消費者庁は機能性表示食品についても摘発や指導をしている
(1)はじめに
機能性表示食品制度は、平成27年4月に始まった、比較的新しい制度です。また、機能性表示食品制度は、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるようにという趣旨で始まりました。
その甲斐もあってから、機能性表示食品は非常に増えてきています。そして、それとともに、不適切な広告も増えてきているようです。そのため、消費者庁は、機能性表示食品に対する景品表示法や健康増進法に基づく法適用を行ってきています。
以下、過去の事例とともに見ていきましょう。
(2)届出内容を逸脱した広告で措置命令が出た事案
平成29年11月7日に、消費者庁は、葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分として痩身効果を標ぼうする機能性表示食品の販売業者16社に対し、16社が供給する機能性表示食品の表示について、景品表示法に違反する行為(優良誤認)が認められたことを理由として、措置命令を出しました。
葛の花由来のイソフラボンは、肥満気味な方の体重、お腹の脂肪(内臓脂肪や皮下脂肪)、ウエスト周囲径を減らすのを助ける機能があることが報告されています。ですので、本来であれば、届出内容を基に広告をしなければなりません。
しかしながら、措置命令を受けた16社は、上記の届出内容を超えて、痩身効果、さらには、何もせずとも痩せるといった広告をしてしまったがために、優良誤認に該当すると判断され、措置命令が出たとされています。
つまり、届出内容を逸脱した広告によって措置命令が出たといえます。なお、上記の事案は、機能性表示食品に対する初の景品表示法上の措置命令で、機能性表示食品にも措置命令が出るということで、非常に騒がれました。
(3)根拠資料が不適切であったために措置命令が出た事案
令和5年6月30日に、消費者庁は、血圧を下げる、中性脂肪を下げる、LDLコレステロールを抑えること標ぼうする機能性表示食品の販売業社に対し、同社が供給する機能性表示食品の表示について、景品表示法に違反する行為(優良誤認)が認められたことを理由として、措置命令を出しました。
本件について消費者庁から公表された内容を確認すると、消費者庁が、販売業者に対し、景品表示法7条2項(不実証広告規制)に基づいて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から提出された資料が合理的な根拠を示すものであるとは認めることができないと判断したようです。
この内容からは、機能性関与成分の問題というよりは提出された資料に不備があったのか、そもそも機能性関与成分が機能性を有していなかったのか分かりにくいところですが、実際のところは、前者であったようです。つまり、機能性表示食品として届け出をする際に提出する科学的根拠に不備があったということが原因で優良誤認であると判断され、措置命令が出たということのようです。
これは、機能性表示食品に関し、根拠資料が不備であることを理由として措置命令が出たのは初めての事案となります。なお、仮に、そもそも機能性関与成分が機能性を有していなかった場合でも、優良誤認と判断されると考えられます。
(4)切り出し表示についても注意
令和4年3月31日、消費者庁は、認知機能に係る機能性を標ぼうする機能性表示食品の表示に関する改善指導及び一般消費者等への注意喚起についてと題して、公表資料を公表しました。
公表資料によると、これには2つの類型が含まれており、1つが景品表示法及び健康増進法に基づく改善指導がなされたものです。3事業者3商品あり、以下のようなものがありました。
①物忘れや認知症の治療や予防効果等の医薬品的効果効能が得られるかのような表示
②届出表示の一部を切り出して強調することで届出された機能性の範囲を逸脱した表示
③機能性表示食品を摂取しても解消に至らないにもかかわらず身体の組織機能等に係る不安や悩みを列挙した表示
④届出表示の内容について消費者庁の許可や承認を受けているかのような表示
⑤実験結果及びグラフを用いることにより届出された機能性の範囲を逸脱した表示
このような表示を改善指導に留めた理由としては、スピードを重視した(措置命令を出すとなると、調査に時間がかかり、その間に被害が出る恐れがある。)と言われていますが、表示内容を見ると、景品表示法、健康増進法、薬機法のいずれにも違反すると考えられる表示もあります。
また、もう1つの類型が健康増進法に基づく改善指導がなされたものです。これは、112事業者128商品があり、以下のようなものがありました。
①届出された機能性の科学的根拠が得られた対象者の範囲が限定されているにもかかわらず、当該対象の範囲外の者にも同様の機能性が期待できるものと訴求する表示
②届出表示の一部を切り出して強調することで、届出された機能性の範囲を逸脱した表示
③機能性表示食品を摂取しても解消に至らないにもかかわらず身体の組織機能等に係る不安や悩みを列挙した表示
④届出表示の内容について、消費者庁の許可や承認を受けているかの表示
➄実験結果及びグラフを用いることにより、届出された機能性の範囲を逸脱した表示を行う場合
最初の類型と重複するような内容もありますが、ここで注意をしてほしいのは、切り出し表示です。
広告を作成する際、届出内容をそのまま抜き出さず、訴求したい部分を強調するために切り出して表示することはよくあると思われます。
しかしながら、訴求部分を強調したいがために、限定された条件であったり(対象者が中高年であるにもかかわらず、全ての年代に効果があると誤認させる等)、作用機序の一部を切り出してしまったり(血流の改善から認知機能の一部を維持するという効果であるにもかかわらず、脳の血流改善と切り出す等)して、結果として違法な広告となってしまう可能性があります。
なお、機能性表示食品の定義を異なる形で表示して(国の商品を得た等)アピールするといった広告も散見されますが、このような広告も違法と評価される可能性が高いです。
まとめ
以上のとおり、消費者庁が機能性表示食品に関して、過去に摘発や指導をしてきた事案を見てきましたが、機能性表示食品については、以下のような点に注意して広告をすることを心掛けるのが良いように思います。
・届出内容に沿った形での広告
・機能性関与成分と根拠資料の合致を確認してから広告
・切り出し表示をする場合には、届出内容とのずれがないか確認してから広告
判断が難しい場合には、当事務所にご相談いただければ、適切にアドバイスをさせていただきます。
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ドミノ・ピザに対する景品表示法に基づく措置命令について解説
令和5年6月27日にドミノピザが景表法違反で消費者庁から、措置命令が出されています。
措置命令の対象となった事実として、ドミノピザが配布しているチラシに、商品の税込価格が記載されていましたが、実際に商品購入時に支払う金額には、その商品の税込価格にサービス料(6~7%)が上乗せした金額が求められています。
この表示内容が、景表法5条2項の有利誤認表示として、消費者庁の措置命令の対象となったのです。
なお、サービス料に関しては、チラシの裏面に小さな文字で記載されていましたが、表示が目立たなかったため、打ち消し表示と認められませんでした。
最近ですと、商品の品質を著しく優良に表示する優良誤認表示が、措置命令の対象としては、数多く公表されている中、価格面を優良に表示する有利誤認表示での措置命令は少数派ではありましたが、今回の措置命令を皮切りに、今後同様に有利誤認の指摘事例が増える可能性もあります。
価格表示の方法に関しては十分に注意するようにしましょう。
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近年、景品表示法に基づく措置命令や課徴金納付命令が多く出されており、ナンバーワン表記や二重価格表示、そして「飲むだけで痩せる!」などの事実と異なる表記への取り締まりが一層強くなっているのが現状です。
加えて、美容健康業界の企業様は、事実に反する表示での景表法違反にも注意ですが、よくご質問を頂くアンチエイジング系の若返りワードや、肌色を変える美白系のワード、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
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「ダイエット」の広告表現について
広告でやはりよく見受けられる表現として、「ダイエット」という表現は、事業者としては使用したい表現かと思います。そこで、このような「ダイエット」という表現は広告表現として認められるものなのでしょうか。
ダイエットは可能?
結論から言ってしまえば「ダイエット」という表示は、痩身効果を暗示するものであり、訴求力が強い反面、基本的にはいわゆる健康食品では表示できない、むしろ行政から良く指摘の対象となる表現となります。(ただし、食事の置き換えダイエットは除きます。)
それでは「ダイエット」という表現が認められる場合はあるのでしょうか。具体的に検討していきましょう。
「ダイエット」という言葉で問題となるのは、そのイメージの強さで、先に述べたとおり、痩身を暗示します。そして、痩身というのは商品によって発生する何らかの生理的な作用により、結果として「痩せる」こととなります。したがって、「ダイエット」(痩身)というのは、商品の二次的、場合によっては、三次的な効果(結果)となるため、「ダイエット」という表現は禁止されている訳です。
ダイエット効果を謳うには
そこで、「ダイエット」に繋がる効能効果を具体的にして表現をすることが考えられます。
つまり、糖質の吸収を抑えるのか、食後の血糖値の上昇を抑えるのか、脂肪の燃焼を助けるのか、脂肪の吸収を抑えるのか、BMIが減るのか、筋肉を鍛えるのか、食事の置き換えなのか等、商品の効能効果を具体的にするということです。
その上で、その効能効果が、商品の性質上表示できるものなのかを検討する必要があります。昨今では健康食品の中でも機能性表示食品等で、上記の例示(糖の吸収を抑える等)を挙げている商品が増えています。直接「ダイエット」という表示はできなくても、間接的な効能効果を表示することで、「ダイエット」という表示に近い訴求力を得ようという商品が多く販売されるようになってきています。
以上見てきたとおり、「ダイエット」という表示は基本的にできませんが、それに近い表示は認められる方法はあります。商品によって、表現できる内容は変わりますので、お悩みの際はご相談下さい。
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機能性表示を巡る争い【ブルーベリーは目に良いのか?】
日本アントシアニン研究会は、平成28年7月5日付けで、「八幡物産株式会社、北の国から届いたブルーベリー(機能性表示食品、届出番号A164)」について、機能性表示食品としての届出を撤回するよう申入れをしました。
「北の国から届いたブルーベリー」については、「機能性表示食品として消費者庁に届出を受理されました。機能性表示食品『北の国から届いたブルーベリー』にはビルベリー由来のアントシアニンが含まれます。
アントシアニンには、パソコン作業、事務作業など目をよく使うことによる、目の疲労感、ピント調節機能の低下を緩和することにより、目の調子を整える機能があることが報告されています。」などという広告が行われていますが、これに対し、日本アントシアニン研究会は、ビルベリー由来のアントシアニンには、「目の調子を整える機能があることを報告する文献は存在しない。」、目の疲労感の緩和についても「プラセボ群と比較したRCTにおいて、眼精疲労自覚症状について有意に改善されるという推論が否定されている。」などとして、届出表示には科学的根拠がないのではないかと主張しています。
機能性表示について、両者の主張が真っ向から対立している状況ですが、届出を受理した消費者庁は、どのように考えているのでしょうか。
科学的根拠があるかないかは、すくなからず評価の問題を含みます。誰が見ても科学的根拠がある、だれがみても科学的根拠がないと断言できる案件はそう多くなく、本件のように主張が異なる場合にどのような解決を行うのか、その仕組みづくりが必要なように思われます。
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課徴金納付命令とは
景品表示法に違反する行為に対しては、措置命令などの措置が採られます。
また、事業者が不当表示をする行為をした場合、景品表示法第5条第3号に係るものを除き、消費者庁は、その他の要件を満たす限り、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じます(課徴金納付命令)。ここでは、課徴金の納付について、よくある質問をまとめました。
まず、課徴金納付の流れは次の図の通りです。
(消費者庁サイトより)
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課徴金の納付について
「課徴金納付命令」が出された場合、例えば、課徴金を納めること自体について不服がある場合や課徴金の金額に不服がある場合には、事業者は、不服申し立てをすることができます。
不服申し立てをする方法は2つあります。
1つ目は、行政不服審査法第4条第1号に基づき、消費者庁長官に対して審査請求を行う方法です。
もう一つは、行政事件訴訟法第3条第2項に基づき、処分取消訴訟を行う方法です。
1)支払いの期限はありますか?
課徴金を課せられた事業者のところには、「課徴金納付命令書」が送られてきます。この命令書には、納めなければならない課徴金の金額、課徴金の金額の計算の根拠、課徴金の対象とされた行為、課徴金を納めなければならない期限などが書いてあります。課徴金は、この課徴金納付命令書が出された日から7か月以内に納めなければなりません。
2)期限までに支払わないとどうなりますか?
消費者庁から、督促状が送られてきます。督促状には新しい納付期限が書いてあり、その期限内に課徴金を納めるよう求められます。
3)督促状が送られるということは延滞金などのペナルティはありますか?
課徴金を納めなければならない日の翌日から、実際に課徴金を納付した日まで、年14.5パーセントの延滞金の支払い可能性があります。
というのも、景表法には、「延滞金を徴収することができる。」(景表法第18条第2項)とありますので、延滞金を必ず支払わなければならないかというと、そうではない場合もあるようです。督促が行なわれた後は、高率の延滞金を払わなければならなくなる可能性がある点は、注意が必要です
もし、この督促状に書いてある期限も守らなかった場合は、課徴金納付命令が執行される可能性があります。具体的には、課徴金納付命令を受けた者の財産が差し押さえられ、最終的には競売などの手続きを経てお金に変えられ、国に納められることになります。
なお、景表法は、事業者の資産等の調査できる権限を行政庁に与えていますから、課徴金を支払わなければならない事業者名義の資産は、照会により明らかにされることになります。
4)課徴金納付命令が出された後、別な会社と合併したらどうなりますか?
存続後の会社が課徴金を払わなければなりませんので、合併をしたとしても課徴金を払わなければいけない状況は変わりません。
5) 課徴金を損金に算入することはできますか?
課徴金を損金に算入できるとしてしまうと、実質的に事業者の経済的な不利益が小さくなってしまいます。
例えば、事業者が500万円の課徴金を支払った場合、これが損金に算入できることになれば、課税所得が減り、所得税額や法人税額が減少することになります。課徴金を課すのは、不当な表示をすることが経済的にわりに合わないと事業者に思ってもらい、不当な表示を抑止するためです。
売上額の3パーセントというのは、多くの事業者にとって、不当な表示をしたことにより得られた利益をすべて吐き出させる水準です。もし課徴金の損金算入が認められてしまうと、所得税額や法人税額の軽減を通じて、不当な表示をしたことによる利益が事業者に残ってしまうことになります。
そうすると、「課徴金を払ったとしても、不当な表示をしたほうが得だ」ということになってしまい、事業者が不当な表示を止めようと思わなくなってしまいます。そもそも、課徴金の制度が作られた理由は、課徴金を支払わせることで、不当な表示が行なわれないようにするためでしたから、この目的を達成するためには、課徴金の損金算入を認めるわけにはいかないのです。
前述の通り、課徴金納付命令が出された後も、不服申し立てをすることはできます。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所では、過去にこうした件での対応経験もありますので、お気軽にご相談ください。
「オートファジー効果」を広告で謳うことはできる?
化粧品の広告や紹介で「オートファジー」という言葉を聞いたことはありませんか?
「オートファジー」とはどんな意味を持つのか
またそれを広告にうたうことは可能なのか
NGの場合どんな法律に抵触するのか
今回は、近年注目を集めている「オートファジー」について、このような点について解説します。
「オートファジー」とは?
オートファジーとは、細胞内の不要なタンパク質を分解し、浄化する機能のことを言います。
「オートファジー」はAutoa(自ら) Phagy(食べる)、自食作用と訳すことができ、食べたものを体内でリサイクルするという意味合いを含みます。
オートファジーは加齢とともに機能が低下することから、肌老化の原因につながると言われています。
逆に言えば、オートファジーの低下がおだやかになると、若々しい肌見せを保つことに期待ができます。そのため化粧品業界は、この「オートファジー」に着目し研究をしているメーカーが多く存在します。
「オートファジー」の効果は広告で謳える?
「オートファジー」に着目し、化粧品の開発や販売することには何ら問題はありません。
しかし「オートファジー効果があるスキンケア」と広告に載せるのは、可能でしょうか?
答えはNGです。
「オートファジー効果」や「オートファジー機能を活性化する」などの効果を記載すると、アンチエイジングや肌再生という意味合いになるため、広告でうたうことはできません。
「オートファジー」は薬機法に抵触する表現
「オートファジー」の効果を広告に載せるのは、どのような法律に抵触するのでしょうか?
「オートファジー効果」や「オートファジー機能を活性化する」などと広告に書いた場合は、薬機法に違反する表現となります。
薬機法では化粧品の効能をPRするルールとして、うたえる内容が56項目と決まっているからです。
オートファジーが持つ効果「細胞内の不要なタンパク質を分解し、浄化する機能」は一般化粧品の効能56項目から逸脱した表現になります。特に肌再生やアンチエイジングなどは、一発NGになるため、「オートファジー効果」も同じく不可と言えるでしょう。
「オートファジーについて研究を重ねた」「オートファジーに着目した」など、直接肌効果に結びつかない表現法が望ましいと言えます。
自社の商品・サービスにおいて、「オートファジー」と書きたいけれど、どう書けば薬機法に違反するする可能性が少ないのかわからない。
そんなお悩みがございましたら、一度当事務所にご相談ください。