ダイエットサプリメント(機能性表示食品)に対し消費者庁より措置命令

サプリメント(機能性表示食品)に対し消費者庁より措置命令

消費者庁は、令和5年11月27日、サプリメント販売会社が販売するサプリメント(機能性表示食品)につき、景品表示法に違反する行為(優良誤認表示)があるとして、措置命令を出しました。
 

当該商品は、ダイエット効果などをうたったサプリメントであり、機能性表示食品としての届け出がなされているものでした。
消費者庁は、今回、事前に届け出た機能性を超える、科学的根拠のない効果を広告表示しているなどとして、販売会社に対し措置命令を出しました。
なお、消費者庁は、今年の6月30日にも、機能性表示食品の届け出のある商品に対し措置命令を出しています。
 

機能性表示食品について

機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が、食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる、という制度です。
 

この制度に基づいた食品を、「機能性表示食品」といいます。
 

例えば、きちんとした科学的根拠に基づき「〇〇という成分には高めの血圧を下げる効果が報告されている」ということが言え、必要な各事項を商品販売前に届け出れば、その商品の広告において、届け出内容である「〇〇という成分には高めの血圧を下げる効果が報告されています」という内容を表示することが出来るのです。
 

また、機能性表示食品制度は、消費者庁長官の許可や認可を受けるまでは不要であり、届け出で足ります。この制度は平成27に始まったものですが、訴求効果が期待でき、また、届け出で足りることもあってか、年々、届け出件数が増えていました。
 

とはいえ、届け出で足りると言っても、事業者がその責任をもって、科学的根拠に基づいて機能性を表示する必要があります。事業者が根拠としている科学的根拠が裏付けとならないものである場合、届け出内容と合致した広告であったとしても、法律違反を指摘される可能性があります。
 

また、届け出た内容の範囲を逸脱するような表示をしてしまった場合も、法律違反を指摘される可能性がありますし、「国のお墨付き」といった表現をした場合も違反を指摘される可能性があります。
 

また、ある成分に機能があるのであり、商品自体に機能があるとの根拠を有していないにもかかわらず、商品自体に機能があるかの如く表示することも認められません。
 

上記の例で言えば、「△△(商品名)には〇〇という成分が含まれています。〇〇という成分には高めの血圧を下げる効果が報告されています。」と表示するのは良いのですが、「△△(商品名)には高めの血圧を下げる効果が報告されています。」と表示したり、単に、「高めの血圧を下げる効果が報告されています。」とだけ表示したりすることは認められません。
 

今回、何がいけなかったのか

消費者庁は、今回、①合理的な根拠なく、あたかも本件商品を摂取すれば、誰でも、容易に、外見上、身体の変化を認識できるまでの痩身効果や顔面の美白(シミが薄くなる)効果、抗アレルギー効果、アンチエイジング効果等の効果が得られるかの如く表示をしていたことや、②消費者庁や国が痩身効果を認めているかの如く表示をしていたを理由に措置命令を出しました。
 

今回の商品については、機能性表示食品としての届け出があり、届け出の内容は、「本品には、りんご由来プロシアニジンが含まれます。りんご由来プロシアニジンには肥満気味な方の体重、体脂肪、内臓脂肪、ウエストサイズの減少をサポートすることにより、高めのBMIを減らす機能が報告されています。BMIが高めの方に適した食品です。」というものでした。
 

これに対し、実際の広告においては、①段々となった腹部の肉をつまむ人物のイラスト及び細身の人物のイラストや、「モデル級の体型をGET!」、「美白効果」、「シミが薄くなっていることも確認をされました♪」、「抗アレルギー」、「アトピー性皮膚炎患者の痒み軽減効果」、「アンチエイジング」等の表示がされ、また、②「機能性表示食品とは、根拠に基づいて効果が届出されているもので国が激やせする効果を認めているんです!」、「国が痩せると認めたサプリ」、「国が痩せる効果を認めた機能性表示食品」等の表示がされていました。
 

これに対し、消費者庁より、前記の通りの指摘がなされたところとなります。
 

なお、商品の広告においては、痩身効果以外の効果につき、「※試験結果は出ておりますが機能性表示では未承認」といった記載や、商品自体の説明ではなく商品に「配合されている主成分の試験結果及び説明です」といった記載があるなどしましたが、それらの記載があるからといって、違反にならないものではありません。
 

まとめ

今回、今年の6月に続き、消費者庁が、機能性表示食品に対し措置命令を出しました。
 

当然のことではありますが、機能性表示食品であったとしても、不適切な広告をしていた場合、措置命令の対象となりますし、年々、機能性表示食品の届け出が増えていた状況もあり、消費者庁において、機能性表示食品に対してもきちんと目を光らせていると言えるでしょう。
 

機能性表示食品の広告をするにつき、合理的な根拠、科学的な根拠に基づく必要がありますし、届け出の範囲を逸脱した内容の広告をすることも出来ません。また、消費者庁や国がお墨付きを与えたような表示をすることも出来ません。
 

機能性表示食品についても、それらの点に注意しながら、適切な広告をする必要があると言えます。

腫瘍に効く水を販売したとして薬機法違反で逮捕された件について弁護士が解説

腫瘍やアレルギー、高血圧を予防できる水を販売して刑事事件に

腫瘍やアレルギー、高血圧の予防効果が期待できると称した水を販売したとして、警視庁生活環境課が、令和5年11月30日までに、薬機法違反の疑いで、東京都港区の医療機器販売会社の代表取締役ら4人を逮捕したと発表しました。また、同じ容疑で、会社についても、書類送検したとのことです。
 

薬機法における未承認医薬品の広告について

薬機法68条は、承認前の医薬品や医療機器等の効能効果の広告を禁じています。つまり、承認されていないにもかかわらず、医薬品や医療機器等に認められる効能効果(これを「医薬品的効能効果」などといいます。)を広告することは、薬機法68条に違反することとなります。そして、薬機法68条に違反すると、薬機法85条5号によって、二年以下の懲役または二百万円以下の罰金が科される可能性があります。
 

疾病の治療又は予防を目的とする効能効果は医薬品的効能効果ですので、本件も未承認医薬品の広告をしたと疑われて逮捕されたものと考えられます。腫瘍(ガン)というと疾病(病気)の代表格ですから、医薬品的効能効果の広告というのも分かるかと思います。
 

なぜ、未承認医薬品とされるのか?

ここで、水は医薬品ではないのではないか?ということから、何故、未承認医薬品の広告となるのか疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。ここにも、薬機法の解釈が関わってきます。薬機法2条に医薬品の定義が定められており、また、旧厚生省が出した「無承認無許可医薬品の指導取締まりについて」(「四六通知」と呼ばれています。)という通知が、薬機法2条の解釈について方向性を示しています。
 

薬機法2条と四六通知によると、医薬品的効能効果を広告している物(医薬品的効能効果を目的としている物)は薬機法上、医薬品に該当するものと解釈することができます。
 

したがって、水(人によって何らかの加工がなされている水のようです。)であったとしても、広告内容如何によって、薬機法上、医薬品と評価されることになります。そして、当然、当該水は、医薬品として承認されているわけではありませんので、医薬品的効能効果を広告することによって、未承認医薬品の広告、薬機法68条違反となるわけです。
 

広告内容次第で薬機法違反、刑事罰につながってしまうということに注意が必要です。
 

本件についての雑感

本件に関する報道によると、販売されていた水は、通常の飲料水の成分と変わりがないとのことです。とすると、効能効果がないにもかかわらず、販売している水に効能効果があるように装った上、購入者を騙してお金をもらっているので、詐欺ではないかと考える方もいらっしゃると思います。
 

ここで、薬機法68条違反と詐欺の違いについて少し触れておきたいと思います。
 

薬機法68条違反は、先ほども紹介したとおり、医薬品的効能効果を謳った未承認医薬品を広告することです。
 

それに対し、詐欺罪は、加害者の欺罔行為、被害者の錯誤、被害者の処分・交付行為、被害者から加害者への利益移転といった要素で構成されています。少し難しいですが、例を挙げて説明をすると、「実際には効能効果がないにもかかわらず、ガンに効く水であると広告をして購入申し込みを待つこと」(加害者の欺罔行為)、「被害者が広告を信じて、ガンに効く水と信じてしまうこと」(被害者の錯誤)、「被害者が当該水を、お金を出して購入すること」(被害者の処分・交付行為、被害者から加害者への利益移転)ということになります。
 

薬機法68条違反も、詐欺罪も、検察官が有罪であることを証拠によって立証しなければなりません。その観点から見ると、薬機法68条違反の方が詐欺罪の立証よりも難易度が低いことがよく分かります。つまり、薬機法68条違反は、あくまで未承認医薬品の広告が存在するということが中心的な立証対象です。広告が正しいか否かは問題とはなりません。しかしながら、詐欺罪の場合には、実際にはガンに効果がないことも立証対象としなければならなくなり、その立証の難易度は非常に高くなります(文系の私には、その立証方法もよく分かりません。)。
 

そういった理由もあって、警察官や検察官としても、立証しやすい薬機法68条違反(広告に着目すれば良い)を選択して逮捕に至ったのかもしれません。

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陥りやすい薬機法(薬事法)違反の例と刑罰とは?

医薬品・または医薬部外品であるかのような表現


化粧品やサプリメント、食品にはそれぞれ登録された種別により効果効能を表現できる範囲が明確に決まっています。そのため例えば化粧品を医薬品のような表現で表したり、一般食品を機能性表示食品かのように表現したりすると薬機法に抵触しているとみなされます。
 

自社ホームページ以外の場所で効果効能を表現

自社のホームページには効果効能は表現していないが、委託または提携している広告会社が行ったインターネットでの広告や紙によるちらしなどに効果効能が表現されていた場合も薬機法違反です。
 

体験談のサイトを立ち上げ、そこにリンクがされていた場合

体験談のサイトなどを自社のホームページとは別に制作し、直接的な商品名は記載されていないがリンクを入れていた場合は、その体験談の中に効果効能が表現されている場合は広告とみなされ違反となってしまいます。
また、化粧品については体験談の記載も薬機法では禁止されています。
 

海外から個人輸入した化粧品をそのまま転売

個人輸入の場合でも国内で販売を目的とすれば、化粧品製造販売業許可が必要になります。さらに、日本語で製造業者の氏名・名称・住所など定められた表示方法に従わなければなりません。
 

容器が小さくて成分の表記を略した場合

化粧品本体のサイズが小さいために、配合されている成分が全て書かれていない場合は薬機法違反です。小さくてもタグやディスプレイなどを使って表示することが定められています。尚、本体に十分な幅がありきちんと明記されていた場合でも、その本体が箱に入って消費者がすぐに確認できない状態の場合は、薬機法上その外箱にも明記することが義務づけられています。
 

ご自身の作成された広告が上記に該当している!と気がついた方は要注意です。
次に解説する薬機法に基づく広告規制をきちんと把握しましょう。
 

【薬機法に基づく広告規制の判断枠組みについて】


薬機法基づく広告規制の判断枠組みの概要を以下ご説明します。
 

薬機法の主な広告規制の概要

薬機法の主な広告規制は、医薬品等の虚偽誇大広告を禁止する第66条第1項及び第2項、そして、未承認医薬品等の広告を禁止する第68条の2つです。
 

(1)虚偽誇大広告の禁止(第66条第1項及び第2項)

以下の要件をみたすと、第66条第1項に違反します。
 

①何人も
②医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の
③名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、
④明示的であると暗示的であるとを問わず、
⑤虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布すること
 

なお、第66条第2項には、医師等による効能等の保証広告を禁止する規制が、以下のとおり定められています。
 

①医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の
②効能、効果、性能について
③医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれのある記事を広告し、記述し、又は流布すること
 

当該広告は、第66条第1項に違反するものとされます。
 

(2)未承認医薬品等の広告禁止(第68条)

以下の要件をみたすと、第68条に違反します。
 

①何人も
②未承認医薬品、未承認医療機器又は未承認再生医療等製品について
③名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する
④広告をすること
 

第66条と異なり、虚偽・誇大ではなく事実であっても直ちに違法となる点に注意が必要です。
 

注意すべき主なポイント

(1)主体

薬機法の広告規制の対象は「何人も」とされており、国内の製造販売事業者だけでなく、海外の製造販売事業者も規制の対象となりえます。
 

(2)医薬品等の定義

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品について、薬機法の第2条第1項から第9項に定義が定められています。「医薬品」を例にとってみると、「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが『目的』とされている物…」(同条第1項第2号)、「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが『目的』とされている物…」(同項第3号)というように、治療や予防等の効果が客観的に備わっているかどうかではなく、あくまでそういった用途で使われることが『目的』とされている物という定義になっています。
 

よって、事業者としては、ある商品を健康食品として販売していても、たとえば、その商品の広告に病気の治療や予防効果があると記載していると、そういった治療や予防に使われることが『目的』とされている物ということになり、当該商品は、薬機法上「医薬品」に該当するということです。
 

そうすると、当該事業者としては、当該商品を健康食品として販売しており、医薬品としての承認を取得していないため、当該広告は、未承認医薬品の広告となり、直ちに第68条違反になってしまいます。そして、病気の治療や予防の効果がなければ、虚偽誇大広告として第66条第1項にも違反することになります。
 

「医薬品」に該当するか否かを判断するにあたっては、『無承認無許可医薬品の指導取締りについて』(昭和46年6月1日薬発第476号)が参考になります。このいわゆる46通知は健康食品の広告をチェックする上で、重要な通知となっています。
 

(3)広告の定義

以下の3要件全てをみたすと、薬機法第66条及び第68条の「広告」に該当します(平成10年9月29日医薬監第148号)。
 

①顧客を誘引する意図が明確であること(誘引性)
②特定の商品名が明らかであること(特定性)
③一般人が認知できる状態であること(認知可能性)
 

逆に1つでも満たなければ「広告」にはあたりませんので66条及び68条は適用されません。
 

「広告」の該当性に関して、①健康食品の商品名を記載したWebページ及び②特定性を排しつつ当該商品に含まれる成分等の医薬品的効能効果を記載したWebページの一体性が問題となることがあります。①だけ見れば、「広告」には該当するものの、医薬品的効能効果が記載されていないため、第68条には違反しません。また、②だけ見れば、特定性に欠けるため「広告」に該当しません。
 

しかし、①と②がリンクや検索誘導等によって、実質的に一体の「広告」と見ることができる場合には、全体として第68条に違反する「広告」となるおそれがあります。
 

(4)医薬品等適正広告基準

第66条に該当するか否かの判断基準を厚生労働省が具体的に示したものが、『医薬品等適正広告基準』(平成29年9月29日薬生発0929第4号)です。また、同時に『『医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について』(平成29年9月29日薬生発0929第5号)という詳細な解説が公表されており、参考になります。
 

広告表現が法律に違反しているかどうかの判断手法


景品表示法や薬機法との関係で広告表現には注意が必要といっても、どのような表現が法律に違反するのかが曖昧で分かりにくいという声をよく耳にします。実際、広告表現がこれらの法律に違反しているかどうかについて、明確な基準はなく、広告表現が法律に違反しているかどうかを見極めるためには、判断手法の基本的な考え方を理解しておく必要があります。
 

(1)個々の表現ではなく、全体の印象で判断される

まず、広告表現が法律に違反しているかどうかは、個々の表現ではなく、全体から受ける印象で判断されます。
例えば、「スッキリ」という表現は、ダイエットを謳うサプリなどの広告で、痩身効果を暗示する言葉として、よく使われます。しかし、「スッキリ」という表現は、便通の改善や整腸作用を意味する言葉としても使われることがあります。また、他にも味覚を表現する言葉として使われることもあるかもしれません。
 

このように、個々の表現だけを切り取って考えても、その言葉が何を意味しているのかははっきりしません。その言葉の意味するところを正確に理解するためには、その他の表現を含めた広告全体の中で、その言葉の意味するところを判断する必要があるのです。
 

例えば、体重計に乗ったスリム体型の人の写真があれば、「スッキリ」は痩身効果を意味している場合が多いでしょうし、両手でお腹を押さえた人の写真があれば、便通の改善や整腸効果を意味している場合が多いでしょう。
 

(2)個々の表現で全体の印象が変わるわけではない

逆に考えれば、必ずしも、個々の表現で全体の印象を変えられるわけではないということでもあります。
 

例えば、健康食品で「これを飲むだけで痩せる」といった広告が、頻繁に優良誤認表示で措置命令を受けています。痩せるためには運動をするか食事制限をする必要があるからです。そのため、「運動と食事制限を組み合わせた結果です」といった記載をすることで、措置命令を免れようとする広告も見られます。
 

しかし、単に「運動」や「食事制限」といった表現を盛り込んでいても、多くの場合、広告全体を見れば、結局は「これを飲むだけで痩せる」という印象を与えてしまっています。実際に、ダイエットサプリの広告で、「運動」や「食事制限」といった表現が含まれていても、措置命令を受けたケースがあります。
 

(3)最後に

このように、広告表現の適法性を判断するためには、広告全体から受ける印象を考えなければいけません。その判断を適切にするためには、過去に措置命令などの行政処分を受けた事例を収集し、検討することで、判断のコツをつかんでいく必要があります。
 

商品ではなく含有成分の広告でも措置命令を受ける?


景品表示法では、「商品の」品質などについて、著しく優良であると示す表示を、優良誤認表示として禁止しています。そのため、これまで優良誤認表示を理由として措置命令が出されるのは、すべて具体的な商品についての広告でした。しかし、2019年11月1日、消費者庁は、これまでと異なり、健康食品について、具体的な商品ではなく、含有成分に関する広告に対し、措置命令を行いました。
 

(1)背景事情

このように、具体的な商品名を記載せず、含有成分についてだけ記載する表示は、非常によく見られます。その理由は、景品表示法ではなく薬機法にあります。
 

薬機法においては、健康食品について医薬品的効能効果を広告することは禁止されています。しかし、薬機法の適用対象となる広告は、上記のとおり、①誘引性、②特定性、③認知性の3つの要件を満たすものに限られます。そのため、健康食品の商品名を明らかにせずに、含有成分について医薬品的効能効果を表示しても、薬機法違反とはならないのです。
 

(2)含有成分の表示が薬機法違反となる場合

しかし、実際に事業者側が意図しているのは、含有成分の医薬品的効能効果と、具体的な健康食品の商品とを、消費者側で結び付けてもらうことにある場合がほとんどです。そのため、事業者としては、両者を結び付けるべく様々な工夫をするのですが、そのような工夫が薬機法に違反することがあります。
 

例えば、含有成分の医薬品的効能効果を記載しているウェブサイトに、当該成分を含有している健康食品の購入サイトへのリンクを張り、遷移することができるようにしていた事案において、両者が実質的には一体の広告であると判断され、薬機法違反で摘発されるということがありました。
 

(3)含有成分の表示が景品表示法違反となる場合

実は、前述した景表法に基づく措置命令も、薬機法の場合と同じように考えることができます。
 

前述の措置命令は、単に含有成分の表示だけを取り上げて優良誤認表示と判断したわけではありません。この事案では、まず、ウェブサイトにおいて「ブロリコ」という成分について、免疫力の向上や、病気の治療・予防効果があるという表示をしていました。
 

消費者は、当該ウェブサイトを通じて「ブロリコ」に関する資料請求をすることができ、資料請求があると、「ブロリコ」についてウェブサイトと同じような表示がされた冊子やチラシに加え、具体的な商品の注文はがき付きチラシと、当該商品の無料サンプルが送付されるという仕組みになっていました。
 

消費者庁は、そのような全体の仕組みを捉えて、ウェブサイトや冊子、チラシについても、具体的な商品に関する広告であると判断し、優良誤認表示と認定したのです。景品表示法においては、このような判断は初めてのものですが、薬機法の観点からは、従来から行われていた規制の延長と考えることもできるでしょう。
 

年々取り締まりが厳しくなる薬機法(旧:薬事法)。違反すると自主回収や逮捕、罰金、懲役など重い罰が科されてしまいます。一度専門家に相談してみるのがいいのではないでしょうか。
 

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若返り系のワード以外にも、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

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機能性表示食品の広告に対する注意点

機能性表示食品とは

機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。
 

この制度に基づいた食品を「機能性表示食品」といいます。
 

例えば、皆さんも、○○という成分は高めの血圧を下げる効果が報告されている、△△という成分は高めの中性脂肪を低下させる効果が報告されている(このような機能が認められている成分を機能性関与成分といいます。)などと記載されている商品を見たことがあると思います。このような内容が記載されている商品の多くは、機能性表示食品です。
 

機能性表示食品のポイントは、事業者がその責任をもって科学的根拠に基づいて機能性を表示している点です。同じ保健機能食品である特定保健用食品と異なり、機能性表示食品は、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
 

つまり、事業者が根拠としている科学的根拠が裏付けとならない場合には、届出内容と合致した広告であったとしても、景品表示法や健康増進法違反とされる可能性があります。
 

消費者庁は機能性表示食品についても摘発や指導をしている

(1)はじめに

機能性表示食品制度は、平成27年4月に始まった、比較的新しい制度です。また、機能性表示食品制度は、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるようにという趣旨で始まりました。
 

その甲斐もあってから、機能性表示食品は非常に増えてきています。そして、それとともに、不適切な広告も増えてきているようです。そのため、消費者庁は、機能性表示食品に対する景品表示法や健康増進法に基づく法適用を行ってきています。
 

以下、過去の事例とともに見ていきましょう。
 

(2)届出内容を逸脱した広告で措置命令が出た事案

平成29年11月7日に、消費者庁は、葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分として痩身効果を標ぼうする機能性表示食品の販売業者16社に対し、16社が供給する機能性表示食品の表示について、景品表示法に違反する行為(優良誤認)が認められたことを理由として、措置命令を出しました。
 

葛の花由来のイソフラボンは、肥満気味な方の体重、お腹の脂肪(内臓脂肪や皮下脂肪)、ウエスト周囲径を減らすのを助ける機能があることが報告されています。ですので、本来であれば、届出内容を基に広告をしなければなりません。
 

しかしながら、措置命令を受けた16社は、上記の届出内容を超えて、痩身効果、さらには、何もせずとも痩せるといった広告をしてしまったがために、優良誤認に該当すると判断され、措置命令が出たとされています。
 

つまり、届出内容を逸脱した広告によって措置命令が出たといえます。なお、上記の事案は、機能性表示食品に対する初の景品表示法上の措置命令で、機能性表示食品にも措置命令が出るということで、非常に騒がれました。
 

(3)根拠資料が不適切であったために措置命令が出た事案

令和5年6月30日に、消費者庁は、血圧を下げる、中性脂肪を下げる、LDLコレステロールを抑えること標ぼうする機能性表示食品の販売業社に対し、同社が供給する機能性表示食品の表示について、景品表示法に違反する行為(優良誤認)が認められたことを理由として、措置命令を出しました。
 

本件について消費者庁から公表された内容を確認すると、消費者庁が、販売業者に対し、景品表示法7条2項(不実証広告規制)に基づいて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から提出された資料が合理的な根拠を示すものであるとは認めることができないと判断したようです。
 

この内容からは、機能性関与成分の問題というよりは提出された資料に不備があったのか、そもそも機能性関与成分が機能性を有していなかったのか分かりにくいところですが、実際のところは、前者であったようです。つまり、機能性表示食品として届け出をする際に提出する科学的根拠に不備があったということが原因で優良誤認であると判断され、措置命令が出たということのようです。
 

これは、機能性表示食品に関し、根拠資料が不備であることを理由として措置命令が出たのは初めての事案となります。なお、仮に、そもそも機能性関与成分が機能性を有していなかった場合でも、優良誤認と判断されると考えられます。
 

(4)切り出し表示についても注意

令和4年3月31日、消費者庁は、認知機能に係る機能性を標ぼうする機能性表示食品の表示に関する改善指導及び一般消費者等への注意喚起についてと題して、公表資料を公表しました。
 

公表資料によると、これには2つの類型が含まれており、1つが景品表示法及び健康増進法に基づく改善指導がなされたものです。3事業者3商品あり、以下のようなものがありました。
 

①物忘れや認知症の治療や予防効果等の医薬品的効果効能が得られるかのような表示

②届出表示の一部を切り出して強調することで届出された機能性の範囲を逸脱した表示

③機能性表示食品を摂取しても解消に至らないにもかかわらず身体の組織機能等に係る不安や悩みを列挙した表示

④届出表示の内容について消費者庁の許可や承認を受けているかのような表示

⑤実験結果及びグラフを用いることにより届出された機能性の範囲を逸脱した表示
 

このような表示を改善指導に留めた理由としては、スピードを重視した(措置命令を出すとなると、調査に時間がかかり、その間に被害が出る恐れがある。)と言われていますが、表示内容を見ると、景品表示法、健康増進法、薬機法のいずれにも違反すると考えられる表示もあります。
 

また、もう1つの類型が健康増進法に基づく改善指導がなされたものです。これは、112事業者128商品があり、以下のようなものがありました。
 

①届出された機能性の科学的根拠が得られた対象者の範囲が限定されているにもかかわらず、当該対象の範囲外の者にも同様の機能性が期待できるものと訴求する表示

②届出表示の一部を切り出して強調することで、届出された機能性の範囲を逸脱した表示

③機能性表示食品を摂取しても解消に至らないにもかかわらず身体の組織機能等に係る不安や悩みを列挙した表示

④届出表示の内容について、消費者庁の許可や承認を受けているかの表示

➄実験結果及びグラフを用いることにより、届出された機能性の範囲を逸脱した表示を行う場合
 

最初の類型と重複するような内容もありますが、ここで注意をしてほしいのは、切り出し表示です。
 
広告を作成する際、届出内容をそのまま抜き出さず、訴求したい部分を強調するために切り出して表示することはよくあると思われます。
 

しかしながら、訴求部分を強調したいがために、限定された条件であったり(対象者が中高年であるにもかかわらず、全ての年代に効果があると誤認させる等)、作用機序の一部を切り出してしまったり(血流の改善から認知機能の一部を維持するという効果であるにもかかわらず、脳の血流改善と切り出す等)して、結果として違法な広告となってしまう可能性があります。
 

なお、機能性表示食品の定義を異なる形で表示して(国の商品を得た等)アピールするといった広告も散見されますが、このような広告も違法と評価される可能性が高いです。
 

まとめ

以上のとおり、消費者庁が機能性表示食品に関して、過去に摘発や指導をしてきた事案を見てきましたが、機能性表示食品については、以下のような点に注意して広告をすることを心掛けるのが良いように思います。
 


・届出内容に沿った形での広告
・機能性関与成分と根拠資料の合致を確認してから広告
・切り出し表示をする場合には、届出内容とのずれがないか確認してから広告

 

判断が難しい場合には、当事務所にご相談いただければ、適切にアドバイスをさせていただきます。
 

広告表現にお悩みの方は薬機法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士にご相談下さい


 

丸の内ソレイユ法律事務所は、2016年、弁護士業界ではいち早く美容健康分野に対するリーガルサービス提供を開始し、現在では健康博覧会、ビューティーワールド ジャパン、ダイエット&ビューティーフェアでの薬機法セミナー講師を務めるなど、美容健康業界に対する広告適正化に向けての啓蒙活動も行っている法律事務所でございます。
 

これでは何も訴求できない、どんな風に書けばいいのかわからないーそのようにお悩みの方、企業の販促・プロモーション・広告担当の方、弊所は法律に則った訴求表現のアドバイスもさせていただくことが可能ですのでぜひ一度ご相談ください。
 

広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
若返り系のワード以外にも、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

弊所では美容広告に詳しい弁護士が多数在籍しており、皆様のご不安に寄り添うことができます。
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全て弁護士がチェックしており、グレーな部分は行政へ確認を取ってからレポートをお戻ししております。

 

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ドミノ・ピザに対する景品表示法に基づく措置命令について解説

令和5年6月27日にドミノピザが景表法違反で消費者庁から、措置命令が出されています。
 

措置命令の対象となった事実として、ドミノピザが配布しているチラシに、商品の税込価格が記載されていましたが、実際に商品購入時に支払う金額には、その商品の税込価格にサービス料(6~7%)が上乗せした金額が求められています。
 

この表示内容が、景表法5条2項の有利誤認表示として、消費者庁の措置命令の対象となったのです。
 

消費者庁報道資料より

 

なお、サービス料に関しては、チラシの裏面に小さな文字で記載されていましたが、表示が目立たなかったため、打ち消し表示と認められませんでした。
 

最近ですと、商品の品質を著しく優良に表示する優良誤認表示が、措置命令の対象としては、数多く公表されている中、価格面を優良に表示する有利誤認表示での措置命令は少数派ではありましたが、今回の措置命令を皮切りに、今後同様に有利誤認の指摘事例が増える可能性もあります。
 

価格表示の方法に関しては十分に注意するようにしましょう。
 

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広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
近年、景品表示法に基づく措置命令や課徴金納付命令が多く出されており、ナンバーワン表記や二重価格表示、そして「飲むだけで痩せる!」などの事実と異なる表記への取り締まりが一層強くなっているのが現状です。
 
加えて、美容健康業界の企業様は、事実に反する表示での景表法違反にも注意ですが、よくご質問を頂くアンチエイジング系の若返りワードや、肌色を変える美白系のワード、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

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「ダイエット」の広告表現について

広告でやはりよく見受けられる表現として、「ダイエット」という表現は、事業者としては使用したい表現かと思います。そこで、このような「ダイエット」という表現は広告表現として認められるものなのでしょうか。
 

ダイエットは可能?

結論から言ってしまえば「ダイエット」という表示は、痩身効果を暗示するものであり、訴求力が強い反面、基本的にはいわゆる健康食品では表示できない、むしろ行政から良く指摘の対象となる表現となります。(ただし、食事の置き換えダイエットは除きます。)
それでは「ダイエット」という表現が認められる場合はあるのでしょうか。具体的に検討していきましょう。
 

「ダイエット」という言葉で問題となるのは、そのイメージの強さで、先に述べたとおり、痩身を暗示します。そして、痩身というのは商品によって発生する何らかの生理的な作用により、結果として「痩せる」こととなります。したがって、「ダイエット」(痩身)というのは、商品の二次的、場合によっては、三次的な効果(結果)となるため、「ダイエット」という表現は禁止されている訳です。
 

ダイエット効果を謳うには

そこで、「ダイエット」に繋がる効能効果を具体的にして表現をすることが考えられます。
 

つまり、糖質の吸収を抑えるのか、食後の血糖値の上昇を抑えるのか、脂肪の燃焼を助けるのか、脂肪の吸収を抑えるのか、BMIが減るのか、筋肉を鍛えるのか、食事の置き換えなのか等、商品の効能効果を具体的にするということです。
 

その上で、その効能効果が、商品の性質上表示できるものなのかを検討する必要があります。昨今では健康食品の中でも機能性表示食品等で、上記の例示(糖の吸収を抑える等)を挙げている商品が増えています。直接「ダイエット」という表示はできなくても、間接的な効能効果を表示することで、「ダイエット」という表示に近い訴求力を得ようという商品が多く販売されるようになってきています。
 

以上見てきたとおり、「ダイエット」という表示は基本的にできませんが、それに近い表示は認められる方法はあります。商品によって、表現できる内容は変わりますので、お悩みの際はご相談下さい。

 

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「オートファジー効果」を広告で謳うことはできる?

化粧品の広告や紹介で「オートファジー」という言葉を聞いたことはありませんか?

 

「オートファジー」とはどんな意味を持つのか

またそれを広告にうたうことは可能なのか

NGの場合どんな法律に抵触するのか

 

今回は、近年注目を集めている「オートファジー」について、このような点について解説します。

 

「オートファジー」とは?

 

オートファジーとは、細胞内の不要なタンパク質を分解し、浄化する機能のことを言います。

「オートファジー」はAutoa(自ら) Phagy(食べる)、自食作用と訳すことができ、食べたものを体内でリサイクルするという意味合いを含みます。

 

オートファジーは加齢とともに機能が低下することから、肌老化の原因につながると言われています。

逆に言えば、オートファジーの低下がおだやかになると、若々しい肌見せを保つことに期待ができます。そのため化粧品業界は、この「オートファジー」に着目し研究をしているメーカーが多く存在します。

 

食細胞のキャラクター

「オートファジー」の効果は広告で謳える?

 

「オートファジー」に着目し、化粧品の開発や販売することには何ら問題はありません。

しかし「オートファジー効果があるスキンケア」と広告に載せるのは、可能でしょうか?

 

答えはNGです。

 

「オートファジー効果」や「オートファジー機能を活性化する」などの効果を記載すると、アンチエイジングや肌再生という意味合いになるため、広告でうたうことはできません。

 

「オートファジー」は薬機法に抵触する表現

 

「オートファジー」の効果を広告に載せるのは、どのような法律に抵触するのでしょうか?

「オートファジー効果」や「オートファジー機能を活性化する」などと広告に書いた場合は、薬機法に違反する表現となります。

薬機法では化粧品の効能をPRするルールとして、うたえる内容が56項目と決まっているからです。

 

オートファジーが持つ効果「細胞内の不要なタンパク質を分解し、浄化する機能」は一般化粧品の効能56項目から逸脱した表現になります。特に肌再生やアンチエイジングなどは、一発NGになるため、「オートファジー効果」も同じく不可と言えるでしょう。

 

「オートファジーについて研究を重ねた」「オートファジーに着目した」など、直接肌効果に結びつかない表現法が望ましいと言えます。

 

自社の商品・サービスにおいて、「オートファジー」と書きたいけれど、どう書けば薬機法に違反するする可能性が少ないのかわからない。

そんなお悩みがございましたら、一度当事務所にご相談ください。

「エイジングケア」という言葉は広告に使えるか?(令和5年3月最新版)

 

「アンチエイジング」と「エイジングケア」

化粧品や健康食品、美容器具などの老化防止や抗加齢を意味する表現として、「アンチエイジング」という言葉があります。

エイジング(aging)が「加齢」や「老化」というように年をとること、アンチ(anti)は「抵抗」を表しており、アンチエイジング(anti-aging)とは「本来、年齢を重ねていくときの流れに抵抗して、いつまでも若々しくいたい」という人々の思いに訴求するキーワードといえるでしょう。
化粧品や健康食品の訴求として同様によく使われる「エイジングケア」
ここではこの広告表現について説明します。

 

アンチエイジング

「アンチエイジング」は、化粧品や健康食品の広告でよく見かける表現ですが、実際のところ、いずれの商材においても標榜することは認められていません。これらは、化粧品や健康食品で標榜することを認められた効能効果ではないからです。

 

エイジングケア

この「アンチエイジング」と同様、よく見る表現に「エイジングケア」があります。そして、その多くに※がつけられ、「年齢に応じたケアのこと」と注記がという表現があります。あまりに多く見かけますし、※で注意が書かれているので、「アンチエイジング」はNGでも、「エイジングケア」なら標榜してよいと理解している方も多いですが、ここでも注意が必要です。
たとえば、日本化粧品工業連合会が発表している化粧品等の適正広告ガイドラインでは、化粧品の広告において認められる「エイジングケア」という表現について、
年齢に応じたケアの表現であること、
化粧品等の効能効果の範囲内であること、
の2つの条件を満たすことを求めています。

 

「エイジングケア」使用上の注意点

「①年齢に応じたケアの表現であること」、すなわち、現在の肌状態を維持することまでしか認められていません。よく、実年齢よりも10歳若返る肌へ、などという表記もありますが、これは維持とはいえません。
また、「②化粧品等の効能効果の範囲内であること」も必要なため、化粧品の広告で認められている56の効能効果の範囲内でしか記載することができません。すなわち、「エイジングケア」という言葉そのものが、効能効果として認められているわけではなく、あくまでもケア(お手入れ)を指す表現でしかないのです。

そのため、化粧品の広告において「エイジングケア」という表現を使用する際、「若返るためのケア」と誤解を与えてしまう可能性があります。その前後や注意書きにおいて、「年齢を重ねた肌にうるおいを与えること」などと定義を明記しておき、事実に基づいて表記する必要があります。

つまり、

 

アンチエイジング → エイジング(加齢)に逆行する意味合いがあり、「若返り」を暗示しますので記載できません。

エイジングケア → 定義を明確にしなければ、若返り効果を暗示させ、美顔器に認めれる効能効果の範囲を逸脱する恐れがあります。

「エイジングケア」という表現を広告で使用する際には、このような広告規制に注意しながら使用する必要があるのです。

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>>化粧品等の肌への浸透表現について

>>美顔器の広告は薬機法で規制される?使用可能な表現とは
 

 

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【弁護士解説】糖質カットを謳った炊飯器の事案【手続きはどうなる?】

1 はじめに

令和5年3月15日に独立行政法人国民生活センターが、『糖質を低減できるとうたった電気炊飯器の実際』と題する報道発表資料を公表しました。そして、炊飯器の広告と実際の性能とが異なっている物があることを指摘しており、景表法に違反する(優良誤認)恐れがあると報道されています。

 

「糖質カット」などと広告されると、健康やダイエットに気を使っている人の目を引きます。また、実際に、糖尿病等で糖質制限の食事をしている人からすれば、非常に有用な商品に映ると考えられます。実際、国民生活センターには、血糖値が変わらないといった訴えや糖尿病の人が使って大丈夫なのかといった相談が寄せられていたようです。

 

今回の報道発表資料は、消費者への情報提供、事業者への要望、行政への要望といったことが記載されていますが、仮に、消費者庁が、優良誤認の可能性があると考え、措置命令・課徴金納付命令を出そうと考えた場合、どのような流れで手続が進むのでしょうか。

 

2 手続の流れ

以下の図は、消費者庁のHPに載っている、景表法違反の調査の手順です。実際の調査は、消費者庁のみならず、都道府県、公正取引委員会が関与することもあります。ちなみに、都道府県は、措置命令を出すことはできますが、課徴金納付命令を出すことはできません。ですので、課徴金納付命令を出す必要がある場合には、消費者庁が主体となって動く必要があります。

 

また、上記の図を見ると分かるとおり、措置命令を出すための手続と課徴金納付命令を出すための手続は分かれており、課徴金納付命令の前に措置命令が出るという流れになっています。実際にも、措置命令が出された後、しばらく時間が経ってから、課徴金納付命令が出ている事案があります。

調査が行われ(実際には、消費者庁等が事業者に対して、資料や広告作成のフロー等の報告をするよう求めます。)、行政指導で対応できる事案であれば、行政指導をし、事業者に改善してもらうということで終わります。行政指導では終わらず、措置命令や課徴金納付命令に相当する事案の場合、更に、手続が進んでいくこととなります。

措置命令と課徴金納付命令は、別の行政処分となりますので、それぞれ弁明の機会が与えられています。つまり、不利益処分を受けるので、事業者に十分に反論の機会を設けているということになります。

 

3 不実証広告

優良誤認の手続においては、不実証広告という優良誤認特有の制度が設けられています。措置命令に関する不実証広告は景表法7条2項、課徴金納付命令に関する不実証広告は景表法8条3項に定められています。

 

不実証広告は、消費者庁等が事業者に対し、「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めること」ができる制度のことです。そして、事業者が合理的な根拠を示すことができなかった場合、措置命令の場合には優良誤認とみなされ、課徴金納付命令の場合には優良誤認と推定されます。なお、みなされるというのは争う余地がなくなることを意味し、推定の場合には争う余地があるものの覆すのは大変です。

不実証広告における合理的根拠については、①提出された資料が客観的に実証された内容のものであること、②表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していることといった要件を満たす必要があります。上記①については、試験・調査によって得られた結果や専門家等の見解又は学術文献を根拠とする必要があります。また、上記②については、例えば、試験結果と実際に使われる状況が異なっている場合には、要件を満たさないということになります。試験結果等や学術論文等は、実際の使用状況等と合致する必要があります。

 

4 最後に

今回、優良誤認の場合における措置命令や課徴金納付命令の手続の概要を説明しました。優良誤認の場合、不実証広告の制度がありますので、事業者が広告の裏付けとなる合理的な根拠を消費者庁等に示さなければなりません。広告を作成する際に、その根拠資料を準備することは一般的だと思いますが、根拠資料については、上記のとおり、客観的に実証された内容であることや当該内容と広告内容が合致しているかを十分に確認しておくことが重要でしょう。

 

有名アーティストのライブに係る優良誤認の事案

 令和5年2月15日、消費者庁が、コンサートの提供事業者3社の役務提供(サービスの提供)の表示について、景品表示法違反(優良誤認)と認められることから、措置命令を出しました。アーティストのライブに関連するものですが、今回、優良誤認と認められたのは初めてであり、新聞等の多くの媒体でも扱われています。

どのような表示に対して措置命令が出されたか

さて、では、どのような表示が問題になって措置命令が出たのでしょうか。

消費者庁のホームページを見ると、表示と実際の対応とで、次のような違いがあったようです。もちろん、SS席がアーティストに近い最も良い席で、S席、A席の順番にアーティストから遠い席になっていきます。

 

  【表示】

あたかも、SS席を購入すれば1階アリーナ席、S席を購入すれば1階スタンド席、また、A席を購入すればバルコニー席又は2階スタンド席で有名アーティストのライブを聞くことができるような表示をしていた。

※消費者庁「コンサートの提供事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について」 の報道資料より

 

  【実際】

SS席を購入しても1階スタンド席でライブを聞くことになる場合があり、S席を購入しても主に1階スタンド席後方でしかライブを聞くことができず、かつ、バルコニー席又は2階スタンド席でライブを聞くことになる場合があり、また、A席を購入してもバルコニー席でライブを聞くことができず、かつ、主に2階スタンド席後方でしかライブを聞くことができないものであった。

 

消費者庁は、ライブ観覧のためのチケット販売の表示について、SS席というより良い席でライブを聞くことができると一般消費者に誤解させたということを理由として、優良誤認と判断したと考えられます。

なお、本来用意してあるSS席に対応するチケット数よりも多くのチケット数をSS席として売り出したことが原因であったと報道されているようです。

コメント解説

今回、有名アーティストのライブに関して、初めて景表法の適用(優良誤認、措置命令)がありました。

 

しかしながら、景表法の適用が初めてであったというだけで、景表法は商品の販売に係る表示のみならず、ライブ提供のようなサービスに係る表示も対象にしています。

消費者庁としては、一般消費者からの苦情や相談が多い事案について、法適用をするというスタンスをとっていますので、今回も、一般消費者からのクレームや苦情が多数あったものと思われます。

 

また、SS席の全てのチケットが売れてしまった後も、そのことを認識したうえで、コンサート提供事業者がSS席のチケット販売に係る表示をしていたとの一部の報道もあります。

仮に、これが事実だったとすると、消費者庁の立場からすれば、景表法のおとり広告として扱い、措置命令を出すこともできたはずです。

 

ここで、消費者庁がおとり広告と判断せずに、優良誤認と判断した明確な理由は分からないものの、理由としては2つ考え得るところです。

 

一つは、実態がおとり広告というよりは優良誤認と判断するのに適していた場合です。

そして、もう一つは、実態からすると、おとり広告、優良誤認のいずれでも判断できたが、敢えて、優良誤認と判断したという場合です。

 

ちなみに、おとり広告は課徴金納付命令の対象ではありませんが、優良誤認は課徴金納付命令の対象です。

仮に、消費者庁が、後者の考え方の下、敢えて優良誤認と判断したのであれば、今後、コンサート提供事業者に対し、課徴金納付命令が出る可能性があるでしょう。

 

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