- 2016.9.23
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払わなくてよい場合もあります。
前の記事では、「払わなければならない可能性がある」と言っておきながら、ここでは「払わなくてよい場合もある」、いったいどちらなのかと思われると思います。
ここが少し複雑なところなのですが、次の厳しい3つの条件をすべてクリアした場合には、課徴金が課せられません。
- 問題となった表示が不当表示であることを知らなかったこと
- ある程度の注意をしていたと認められること
- 不当表示をしていた全期間、①と②の要件を満たすこと
それでは、これから、これらの条件をひとつひとつ見ていきましょう。
まず、「①問題となった表示が不当表示であることを知らなかったこと」ですが、これは、事業者が行っていた表示が「不当表示」、具体的には、「優良誤認表示」や「有利誤認表示」であることを知らなかったということです。
ここで、「優良誤認表示」とは、商品やサービスの品質等が実際より著しく優れていると勘違いさせる表示等であり、「有利誤認表示」とは、商品やサービスの価格や取引条件等が実際よりも著しく有利であると勘違いさせる表示等です。和牛でないのに和牛と表示するのが「優良誤認表示」の典型例、いつも1万円なのに「今だけ半額1万円」などと表示するのが有利誤認の典型例でしたね。
次に、「②ある程度の注意をしていたと認められること」ですが、例えば、小売業者は、メーカーから提供される書類を見るなどして、おかしい点がないかどうか自ら確認していた場合には、この条件がクリアされたといえるでしょう。
Q13の例をもう一度みていただきたいのですが、この例では、小売業者Aは、卸売業者Bの説明を鵜呑みにしていますし、商品の品質も「カシミヤ100パーセント」と「ポリエステル100パーセント」では大きく違うはずなのに、なんの疑問も抱かずにそのままお客さんに販売しています。この例では、やはり「②ある程度の注意をしていた」とは認められないでしょう。
最後に、「③不当表示をしていた全期間、①と②の要件を満たすこと」についてですが、①事業者が不当表示の途中で、表示が不当であると気づいてしまっていたり、②不当表示の途中で注意をしなくなってしまった場合には、課徴金の支払いを免れないことになります。
例えば、Q13の例で、「ポリエステル100パーセント」のセーターを「カシミヤ100パーセント」と表示して販売していた小売業者Aが、顧客からのクレームをきっかけにセーターが「カシミヤ100パーセント」ではないと知ったとします。しかし、その後も「カシミヤ100パーセント」という表示を改めずに販売を継続していたとすると、販売の全期間の売上げ3パーセントの課徴金を支払わなければなりません。「カシミヤ100パーセント」であると信じて販売していた期間についても課徴金を支払わなければならなくなりますから、表示が不当表示に当たると知った時点で販売をやめるのがよいと思われます。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

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