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メーカーと卸売業者がしてはいけないこととは?独占禁止法

2016.2.22
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日本の経済は基本的に自由競争で成り立っています。自由競争とは経済学用語の一つで、「市場において国家や政府などの制限や干渉がなく、多数の販売者と需要者によって自由に経済活動が行われているような状態」のことを指しています。

自由競争を表すと

とある美容機器会社が販売しているホームケア美顔器があるとします。
それを仕入れて消費者に販売している売り手であるA社、B社、C社、D社、がいるとします。

そのとき、

A社:¥20,000
B社:¥23,500
C社:¥25,000
D社:¥22,000

で販売していたとします。すると、消費者は一番安いA社で購入したとします。
すると、A社以外は売上げがうまくいかず、値段を下げることになります。
そして、

A社:¥20,000
B社:¥19,500
C社:¥19,000
D社:¥18,000

となると今度は、一番安いD社で消費者が購入を始めます。
するとさらにまたD社以外が値下げをして…

市場で自由に競いながら物やサービスが売買される。これが日本経済における自由競争の基本です。
権力や半勢力的社会、賄賂などに縛られず、誰しもが自由に事業を平等にできる状態であり、販売者と需要者の互いがより大きな利益を得るということが事業の目的となるため、消費者は商品をより安く入手することができるというメリットも生まれます。

ただし、自由競争が進みすぎると少数の売り手だけが勝ち残ってしまい、利益を求めて競争をやめたり、既存の売り手や新規参入してくる売り手のじゃまをする場合があり、経済の発展に繋がらないことが出てきてしまいます。そのため一見自由競争とは真逆の意味でもある独占禁止法という法律も存在します。

独占禁止法とは?

基本的に大きく3つの禁止事項があります。

(1)私的独占の禁止

大きな力を持つ売り手が、他の売り手のじゃますることを禁止

例えばC社¥19,000とD社¥18,000が、A社とB社さらに新規参入してくるS社のじゃまをして、販売させないようにする行為。

(2)不当な取引の制限

競争をやめるために、売り手同士がひそかに話し合いをすることを

例えばC社¥19,000とD社¥18,000が話し合い、値段を引き上げ¥30,000で販売を開始する行為。
また、美顔器会社もそれを誘導してはいけません。

(3)不公正な取引方法の禁止

お店の人が安い値段で売る事ができないように売り手に圧力をかけること

例えばC社¥30,000とD社¥30,000が新規参入してくるS社に¥30,000以下で販売しないようにと圧力をかける行為。また、美顔器会社もそれを誘導してはいけません。

ただし、著作権法、特許法、意匠法、商標法による権利がある場合は、
独占禁止法を適用しない旨の規定がされています。(独占禁止法第23条)。

自由競争と独占禁止法は、一見真逆の法律に捉えがちですが、日本経済の平等性及び自由な発展を願うための密接な関係にある法律です。
日本の独占禁止法は「公正取引委員会」という国の役所が上記で挙げた2つの禁止行為がないように監視をしています。

独占禁止法に関しては上記はあくまで一例に過ぎず、この他事細かい禁止事項があります。自由競争または独占禁止法に違反すると犯罪行為として刑罰(懲役または罰金)を受けることがありますので、正しく運営できているか、サービスに違反性はないか、迷った時はすぐに専門家に相談するなどして対処する方がよさそうです。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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