販売・広告に関するQ&A

インターネット販売における「返品に関する」法律や規定は?

2016.2.22
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インターネットで販売をする際、気になる返品対応。通常エステの契約などでは「クーリングオフ」という解約制度がありますが、インターネット通販にはクーリングオフという概念はありません。ですがなんとなく返品を受け付けていませんか?そこに法律や規定はあるのかなどをご紹介します。

返品時の送料負担はどちらが負うの?

そもそも民法では、「契約は当事者の申込みと承諾によって成立」とありますので、事業主と消費者とで交わした契約内容をどちらかが一方的に変更することはできません。
要するに購入者側(お客)からの一方的な「返品」は承諾していません。ですが多くは、「誠意」や「信頼」のため、消費者の要望に答えている事業主が多いのではないでしょうか。
ただし頭に入れておきたいのは、インターネットにおける通信販売にのみお客に適用される「法定返品権」という権利が存在するということです。

特定商取引法第15条の2では、

(通信販売における契約の解除等)

      1. 第15条の2

 

      1. 通信販売をする場合の商品又は指定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該指定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者(次項において単に「購入者」という。)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。

 

    1. ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(当該売買契約が電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 (平成13年法律第95号)第2条第1項 に規定する電子消費者契約に該当する場合その他主務省令で定める場合にあっては、当該広告に表示し、かつ、広告に表示する方法以外の方法であって主務省令で定める方法により表示していた場合)には、この限りでない。
    1. 2  申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。

簡単に言うと、その契約にかかる商品の引渡し(指定権利の移転)を受けた日から数えて8日間以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。
但し返品の際の送料については、法律上明確に定められているわけではありません。

返品対応を極力減らしたい場合は?

事業者が広告であらかじめ、契約申込みの撤回や解除につき特約を表示していれば返品にまつわる対応は減らすことができます。
では実際に「法定返品権」を行使できなくなる特約を表示する場合はどのように消費者に提示すればよいのでしょうか。その内容や表示の方法は法律で明確に定められています。

    1. ① 返品を認めるか否か
    1. ② 返品を認める場合にはそれが可能である期間等の条件
    1. ③ 返品に必要な郵送料の負担の有無

特定商取引法は、その特約内容を「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」(特定商取引法主務省令第9条第3号)と要求しています。
これらを怠ると、特約の有効性はなくなりますので事前に専門家などに相談するなどして適正に行うことをおすすめします。

ノークレーム・ノーリターン表示

よくインターネットオークションのサイトなどで見たことがあるのではないでしょうか。この「ノークレーム・ノーリターン」の意味は出品者が落札者に対して、「苦情や返品は受け付けません」という意思の表示です。つまり、そのことを了承した上で、落札して購入してくださいということを示しているようです。

但し通常では、契約が成立した場合に事業主は消費者に対して「瑕疵担保責任」という責任を負うことになります。
瑕疵担保責任とは売買の目的物に瑕疵(その物が取引上普通に要求される品質が欠けていることなど、欠陥がある状態)があり、それが取引上で要求される通常の注意をしても気付かぬものである場合に、事業主が消費者に対して負う責任をいいます。

ノークレーム・ノーリターンはこの「瑕疵担保責任」はなしの前提で購入してくださいという意味でもインターネット上の取引においては一般的に使われているようですが、その効力は場合によるのでこれもまた注意して表示したいものです。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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