- 2016.2.22
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- 日本の経済は「自由競争」が基本とされており、常に事業者同士競争をしています。ですがその競争は公正でなければなりません。
そして最も大事なのは消費者が平等に安心してそのサービスを受ける環境が整っているかということです。
そこで景品表示法では、消費者に適正な情報を与えるために様々な規制を事業者側に課していますが、その中でも二重価格表示というルールをご存知でしょうか?実は多くの事業主が陥りやすいものなのです。
某美容医療を提供する事業主に改善命令が下された事例
2015年の美容サービスにおける景品表示法における摘発事例の多くには、長期的なキャンペーンというものがありました。
例えば、「アンチエイジングプラン 3回通常◯◯円が50%オフの◯◯円でキャンペーン中!」というサービス内容。
キャンペーン価格での販売が常習化していて、キャンペーン価格が「通常価格」になっていたため景品表示法上の「有利誤認表示」として表示の改善命令がくだされたのです。
このような内容で多くの場合同時に摘発されやすいのが「二重価格表示」です。
景品表示法における二重価格とは?
「有利誤認表示」とは、商品やサービスの価格や取引条件について、競争事業者のものよりも著しく有利であると誤認される表示を禁止していることであり、上記事例で述べた某美容医療のキャンペーンにおいては、消費者に「限定」だと誤認を与える恐れがあるため改善命令がくだされたました。
ですが、元を辿ればそもそも1年中キャンペーンと見せかけているわけですから、通常価格が本来実在していたのか?ということが議論の対象となるのです。
価格は消費者にとって最も大事な情報の1つです。
価格表示が適正に行われていない場合には、消費者の選択を誤らせることとなります。このような観点から、価格表示に関する違反行為の未然防止と適正化を図るため、景品表示法では二重価格表示についても明確にルールを設定しています。
二重価格表示とは
販売価格以外に参考となる別の価格(比較対照価格)を同時に表示することを指します。
例:通常200,000円が50%オフの100,000円
不当な二重価格表示とは、その比較対照価格が根拠のないものや不合理な場合です。
冒頭の事例で紹介した某美容医療のキャンペーンの場合は、「通常◯◯円が50%オフの◯◯円」の部分において、通常価格にそもそも根拠があったのか、それが通常価格であるかの証明ができるのか問われます。
二重価格表示違反をすると、内閣総理大臣から措置命令が出されその命令に違反した者は2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されますので、安易にキャンペーンを行わず、きちんと法律を理解し正しく事業を進めることが必要です。それでは次に記事で、二重価格表示のルールについて詳しく解説していきます。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

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