顧客対応に関するQ&A

なりすまし注文・いたずら注文にご注意を!

2021.6.4
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最近、EC事業者様から、なりすまし注文・いたずら注文の被害を受けているとご相談いただくケースが増えています。

1.なりすまし注文・いたずら注文とは

「なりすまし注文」とは、実在する第三者の名前や住所、連絡先を不正に利用して注文し、当該第三者に商品を送り付けるというものです。代引きで注文し、発送先から「注文した覚えのない商品が届いたんですが...」と問い合わせが入って発覚することが多いです。この場合、発送先から商品の受取を拒否されてしまうと、EC事業者様において、送料や代金引換手数料、梱包資材料などの負担が生じるため、なりすまし注文が増えるとその経済的被害が甚大になるおそれがあります。また、仮に発送先が代金を支払ったとしても、消費者が当該商品やEC事業者様に対してマイナスイメージを抱いてしまい、クレームや顧客離れに繋がるおそれもあります。

「いたずら注文」とは、架空の名前や住所、連絡先を利用して不正に注文し、EC事業者に商品を発送させるというものです。後払い決済やクレジットカードを利用していることが多く、支払がなかったり、クレジットカードの審査が通らずに発覚することが多いです。この場合、代金先払いやクレジットカード払いにすることで、経済的被害の発生を防ぐことはできますが、与信NGの判断が出る度に対応を迫られるため、いたずら注文が増えるとEC事業者様の業務量をいたずらに増やしてしまうおそれがあります。

2.なりすまし注文・いたずら注文の目的とは

なりすまし注文・いたずら注文の主な目的としては、①特定の個人やEC事業者に対する嫌がらせ、②EC事業者が利用しているアフィリエイターが、報酬を不正に得るため、などが多く見られます。
②の場合は、アフィリエイト申請者に対して事前審査を行ったり、アフィリエイトの報酬が発生する条件を見直すことで、悪質なアフィリエイターを排除していくことが可能です。しかし、①の場合、単なる嫌がらせ目的のため、発生を防止するのが極めて難しいのが現状です。

3.なりすまし注文・いたずら注文への対処

なりすまし注文・いたずら注文は、件数が増えれば増えるほど、それに応じた経済的被害が増えるにとどまらず、その対応に追われる時間や人材にかかるコストが増大し、EC事業者の経営を圧迫します。
そのため、これに対して早めに、かつ継続的に対処していくことが大切です。

なりすまし注文・いたずら注文に関する警告文をホームページなどに掲載する

 最初に取り組んでいただきたいのは、なりすまし注文・いたずら注文に対して厳しい対応で臨む旨を、ホームページ上の消費者の目に留まりやすい場所に掲載することです。具体的には、
・高額の注文の場合、注文後に電話やメールにて確認する。
・登録された電話番号やメールアドレスに連絡が取れず、本人確認ができない場合は、注文をキャンセルする。
・過去の取引状況により、注文をキャンセルする。
・なりすまし注文・いたずら注文と判断した場合、個人情報・IPアドレスを関係機関に報告し、警察へ被害届けを提出する。
・なりすまし注文・いたずら注文を行った者に対して、損害賠償を請求する。
などを明示します。
これだけで被害の発生を完全に食い止めることはできませんが、なりすまし注文・いたずら注文に対し、事業者として厳しく臨むことを予告しておくことで、実際に被害が生じた場合にも、ここに明示したとおりの対応を進めていきやすくなります。

IPアドレスの調査、警察への被害届の提出

 なりすまし注文・いたずら注文があまりにも悪質な場合、犯人のIPアドレスを特定して、プロバイダーに個人情報を開示してもらうことも検討しましょう。IPアドレスの特定に当たっては、弁護士等から事情を説明すれば任意で開示してくれるところも増えてきました。もっとも、プロバイダーは、警察の令状や裁判所の開示命令がなければ個人情報の開示に応じないところも多く、また、情報の保存期間も2,3カ月程度と短いのが実情です。加えて、中にはIPアドレスを偽装までして注文してくる犯人もおり、その場合は犯人の特定に結び付きません。そのため、調査に要する金銭的、時間的コストと、得られる結果とを天秤にかけながら、調査を進めていく必要があります。
 また、なりすまし注文・いたずら注文は、特に嫌がらせ目的の場合、被害額が数千円程度にとどまることから、警察に相談しても動いてもらえず、結果的に泣き寝入りで終わっているケースも多いです。しかし、調査を進めてみると、同じ名前、住所、連絡先によるなりすまし注文・いたずら注文が、複数の事業者に対してなされているなど、被害が深刻化しているおそれもあります。そのため、場合によっては、同業他社とも情報を共有し、被害「社」団体を形成して、警察に被害届を提出することを検討してもよいかもしれません。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

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美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。
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