口コミで悪く書かれた!名誉棄損に当たる?

1 口コミで悪く書かれた!

 インターネット社会においては、口コミはときに致命的なダメージを与える可能性を有しています。悪い口コミのせいで客が激減して商売が立ち行かなくなるなんてこともあり得ます。
 このように、口コミで悪く書かれた場合、それが名誉棄損に当たるのであれば、口コミの削除請求をするだけでなく、口コミを書き込んだ人物を特定して名誉棄損罪で告訴したり、当該人物に対して損害賠償請求をしたりすることが考えられます。

2 名誉棄損とは

 それでは、どのような内容の口コミだと、名誉棄損に当たるのでしょうか。

(1)名誉とは

 一般に、名誉概念というのは、次の3つに分類することができます。
・内部的名誉:客観的にその人の内部に備わっている価値そのもの
・外部的名誉:その人に対する社会的評価
・名誉感情:自分自身の有する価値に対する評価
 そして、「人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価」である「名誉」を違法に侵害された場合に損害賠償請求等が可能であるというのが確立した判例の考え方ですので(最大判昭61・6・11民集40・4・872、北方ジャーナル事件判決)、名誉棄損という場合の「名誉」というのは、外部的名誉を指すということになります。

(2)名誉棄損とは

 上記のとおり、「名誉」=外部的名誉なので、「名誉棄損」というのは、端的にいえば、「社会的評価を低下させる」ということになります。
 それでは、どういうときに社会的評価を低下させたと判断するのかどうかというと、「一般読者の普通の注意と読み方を基準」として判断するというのが裁判所の考え方です(最判昭31・7・20民集10・8・1059)。   
 そこで、ある口コミが「名誉棄損」に当たるかどうかについては、その口コミがどのような事実を適示しているのか、その意味内容が社会的評価を低下させるものかどうかを「一般読者の普通の注意と読み方」を基準に判断するということになります。

(3)違法性・責任が阻却される場合

 仮に口コミの内容が社会的評価を低下させるものであったとしても、以下の要件を全て満たす場合には、違法性が阻却されます。
①公共の利害に関する事実にかかわること(公共性)
②専ら公益を図る目的であること(公益目的)
③適示された事実が真実であること(真実性)
 また、③については、仮に適示された事実が真実ではなかったとしても、真実であると信じるについて相当な理由がある場合には(真実相当性)、故意・過失が阻却されます。

(4)小括

 以上のとおり、口コミで悪く書かれた場合、それがあなたの社会的評価を低下させるような内容である場合、公共性・公益目的・真実性又は真実相当性の要件を満たすものでなければ、名誉棄損に当たることになります。

3 適切な対処を

 口コミというのは閲覧者に対する影響力が強く、悪く書かれてしまうと、顧客の減少につながるだけでなく、最悪の場合、業務の継続が不可能になるほどの打撃を受ける可能性もあります。
 悪い口コミを書かれてしまった場合には、経験豊富な弁護士に相談し、適切に対処することをおすすめいたします。

健康器具の広告・販売で注意すべき薬機法の根拠とは?

1 健康器具の広告

 健康器具というと、ウォーキングマシンやステッパーなどの運動器具から、マッサージ器具まで色々なものがありますよね。製品を広告する側としては、これらの器具を使うことによる健康効果を謳いたいと考えるのは当然ですが、なんでも自由に広告できるわけではありません。そこで、今回は健康器具の広告を行う際に注意すべき薬機法の規制についてご紹介します。

2 薬機法68条

 薬機法68条は、未承認の医療機器について、効能効果等を広告することを禁止しています。
 ここでいう医療機器とは、以下の①又は②が目的とされている機械器具等で、政令で定めるものをいいます(薬機法2条4項)。
①疾病の診断、治療又は予防に使用されること
②身体の構造又は機能に影響を及ぼすこと

 したがって、薬機法に基づく承認を取得していない健康器具について、上記①又は②に該当するような効能効果を標榜することは禁止されることになります。

3 具体例

(1)筋肉運動補助器具

 ウォーキングマシンやステッパー、エアロバイクや腹筋ローラーなど、筋肉の運動のみを目的としている器具については、基本的には医療機器には該当しませんので、運動マシンとしての効果を謳う分には、薬機法の問題は生じません。
 ただし、運動マシンとしてだけでなく、振動を利用して肩や腰のコリをほぐしたり、運動後の筋肉の疲れを和らげたりするなどの効果を謳うと、医療機器であるマッサージ器具の効能効果に該当し得るため、薬機法に抵触するおそれがあります。

(2)マッサージ器具

 電動式で、「マッサージ効果等」を謳っているものについては、医療機器に該当し得るため、承認を得ていなければ、効能効果を謳うことはできません。
 ただし、単にモーターで振動する“おもちゃ”(グッズ)については、医療機器には該当しないと解されています。
 足踏み健康器具や指圧代用器のように、単に突起物やてこ等を応用して背筋等に当てて指圧する器具類(電動式のものを除く。)については、次の範囲内の効能効果のみを謳う場合には、医療機器に該当しないとされています(昭和45年12月15日薬発第1136号)。
①あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
②健康によい
③血行をよくする
④筋肉の疲れをとる
⑤筋肉のこりをほぐす

4 総括

 以上のとおり、健康器具については、薬機法68条に抵触しないように気を付ける必要がありますが、健康器具の種類によって、広告可能な表現には差があります。広告しようとする製品に応じて、適切な表現を確認するようにしましょう。

訪問販売における特商法上の注意点

1 訪問販売について

(1)どんな販売形態か
 特商法は、訪問販売を次の2類型に分けて規定しています。
 ①販売業者又は役務提供事業者が、営業所等以外の場所で商品若しくは権利の販売又は役務の提供を行う場合
 ②販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者等に商品若しくは権利の販売又は役務の提供を行う場合

 訪問販売については、例えば消費者の自宅など、営業所等以外の場所で販売等を行う場合(①)のイメージが強いと思います。しかしながら、①だけだと営業所等以外で顧客を誘引したものの、契約の意思表示が営業所等でなされた場合(いわゆるキャッチセールスやアポイントメントセールス)が規制対象に入らないため、②が規定されています。

(2)特定権利ってなに?
 特定権利とは、以下のものをいいます。
 ①施設を利用したり、役務の提供を受ける権利のうち、国民の日常生活に関する取引において販売されるものであって以下に当たるもの
  一 保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利
    例:ゴルフ会員権、スポーツ会員権
  二 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利
    例:映画チケット、スポーツ観覧チケット
  三 語学の教授を受ける権利
    例:英会話サロン利用権
 ②社債その他の金銭債権
 ③株式会社の株式、合同会社、合名会社若しくは合資会社の社員の持分若しくはその他の社団法人の社員権又は外国法人の社員権でこれらの権利の性質を有するもの

(3)特商法の適用がないケース
 事業者間取引の場合、海外にいる顧客に対する契約の場合や従業員に対して行った販売又は役務の提供の場合など、特商法の規定が適用されないケースがあります。

2 訪問販売する際に注意が必要なことを弁護士が解説

 訪問販売を行う場合には、以下の規制に従う必要があります。
 違反すると業務停止命令や業務禁止命令の行政処分や、罰則の対象となりますので注意が必要です。

(1)事業者の氏名等の明示
 勧誘に先立って、消費者に対して以下を告げなければなりません。
 ・事業者の氏名(名称)
 ・契約の締結について勧誘をする目的であること
 ・販売しようとする商品(権利、役務)の種類

(2)再勧誘の禁止
 勧誘に先立って消費者に勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならず、消費者が契約締結の意思がないことを示したときには、そのまま勧誘を継続することやその後改めて勧誘することは禁止されています。

(3)書面の交付
 契約の申込みを受けたときや契約を結んだときには、法定の事項を記載した書面を消費者に渡す必要があります。記載事項のうち、特にクーリング・オフの事項等は赤枠の中に赤字で記載する必要があります。書面の字の大きさは8ポイント以上であることが必要です。

(4)禁止されている行為
 訪問販売において事実と違うことを告げることや故意に事実を告げないこと、相手を威迫して困惑させること等は禁止されています。

(5)その他
 上記のほか、債務の履行拒否・不当遅延や訪問販売の際の過量販売、迷惑な勧誘、つきまとい行為等については行政処分が課せられる場合があります。

3 クーリング・オフ等について

 訪問販売によって契約に至った場合でも、契約書面の受領から8日以内であれば、消費者はクーリング・オフをすることができます。なお、事業者が、クーリング・オフに関する事項につき事実と違うことを告げたり、威迫したりすることによって、消費者が誤認・困惑してクーリング・オフしなかった場合には、上記期間経過後もクーリング・オフが可能です。
 また、事業者が上記2(4)の禁止行為に違反し、消費者が誤認をして契約をした場合には、消費者が契約に関する意思表示を取り消しできる場合があります。
 せっかく獲得した顧客から契約解除等されないように、きちんと特商法で定められたルールを守って契約締結に至ることが必要です。

EMSは薬機法の規制があるか?使える広告表現とは

EMSは、身につけると筋肉に電気刺激を与える機器です。多くの製品は、美容や健康を目的として販売されており、「つけるだけで痩せる!」などのうたい文句を見かけることもあります。しかし、EMSなどの「筋肉運動補助器具」は、医薬品医療機器等法(以下「薬機法」といいます。)という法律においては、あくまでも「雑貨」であって「医療機器」ではありません。そのため、EMSを広告する際には、医療機器の定義に触れる表現を用いないよう注意する必要があります。

医療機器とは

「医療機器」とは、薬機法上、人の「疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること」や、「身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすこと」が目的とされている機械器具等と定義されています。そうすると、EMSの広告において、たとえば「おなかのぜい肉がスッキリ!」「脂肪を燃やしてウエストを細くする」「つけるだけで痩せる!」などといった表現は、「身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすこと」を目的とする機器に該当するため、薬機法上はNGと判断されてしまうことになります。「筋肉を鍛える」「トレーニングする」など、あくまでも運動を補助する範囲内で事実を述べる表現であれば、使用可能とされています。

EMSは医療機器?

なお、EMSのような電動式の雑貨の場合、その作用からつい「マッサージ効果」を表現したくなることもあります。しかし、「マッサージ」という表現も、体をほぐしたりすることを意味するので、身体の構造や機能に影響を及ぼすことを意味するもので、医療機器の定義に触れてしまいます。したがって、医療機器として承認されていない以上、「強い振動でコリをほぐす」「マッサージ効果が期待できる」などの表現も、薬機法上NGとなります。

EMSの違反例

ちなみに、最近、あるテレビショッピングで放送されていたEMS製品を販売する会社が、薬機法ではなく、景表法違反で措置命令を受けました。
具体的には、
「今回御紹介するアイテムを使えば、寸胴ボディもたった3週間でこんなすっきりくびれボディに」、
「下腹部がなんとマイナス8.5センチ」
「使用前81.0cm」、「3週間使用後72.5cm」、「下腹部-8.5cm」
などと宣言していたことについて、
「電気刺激によって腹部の筋肉が鍛えられることにより、特段の食事制限や激しい運動をすることなく、1日20分間の使用を3週間継続することで腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた」
との指摘を受けました。
この会社、宣伝中に「効果には個人差があります」「食事摂取に気を配り軽微な運動を併せて行った結果です」などの打消し表示もしていましたが、これでも不十分だと判断されました。今回は景表法違反という結果になりましたが、これらの表現は薬機法上も違反しており、注意が必要です。

健康食品の表示・広告の見方と違反事例

1 「保健機能食品制度」について

「健康食品」と呼ばれるものについて、法律上の定義はなく、広く健康の維持、増進に役立つ食品として販売、利用されているもの全般を指します。もっとも、消費者が自らの判断で安心して健康食品を選択できるようにするためには、その成分や効能が正しく表示され、適切な情報が提供されることが不可欠です。
そこで、国の制度として「保健機能食品制度」が設けられ、いわゆる健康食品のうち、有効性や安全性について国が定める一定の基準を満たす食品については、特定の保健機能を持つ「保健機能食品」として表示することが認められています。また、国の定めた栄養成分については、一定の基準を満たす場合に、その栄養成分の機能を表示することができます。

2 保健機能食品の種類と表示

食品の機能性の表示が認められている保健機能食品には、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品、の3種類があります。なお、一般食品及び保健機能食品に当たらない健康食品では、機能性の表示は認められません。

(1)機能性表示食品
販売前に、国への届出が必要です。
また、表示の対象になる成分は、体の中で成分がどのように働いているか、という仕組みが明らかになっている成分ですが、栄養成分は除かれます。
機能性の表示としては、健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表示することができます。ただし、疾病リスクの低減に資する旨の表示はできません。
(例)Aが含まれ、Bの機能があることが報告されています。

(2)栄養機能食品について
販売にあたっては、自己認証で足り、国への届出は不要です。
また、表示の対象になる成分は、ビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類です。
機能性の表示としては、栄養成分の機能を表示することができ、国が定める定型文が用いられます。
(例)カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。

(3)特定保健用食品
販売にあたっては、国による個別許可が必要です。
また、表示の対象になる成分は、体の中で成分がどのように働いているか、という仕組みが明らかになっている成分です。
機能性の表示としては、健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表示することができ、疾病リスクの低減に資する旨の表示も可能です。また、いわゆる「トクホ」マークを表示できるのも、機能性表示食品、栄養機能商品との大きな違いです。
(例)糖の吸収を穏やかにします。

3 保健機能食品の表示の見方

保健機能食品を購入する際には、キャッチコピーのみならず、パッケージの表示をしっかり確認してその機能を正しく理解することが必要です。機能性が表示されていれている食品のパッケージ上の主な記載内容は、以下とおりです。

①機能性表示食品、栄養機能食品又は特定保健用食品である旨
②機能性の内容
③1日当たりの接種目安良
④摂取する上での注意事項

4 健康食品の広告制限

健康食品の広告を規制する主な法規としては、薬機法、健康増進法、景品表示法があり、保健機能食品であっても、その他の健康食品と同様の規制を受けます。

(1)薬機法による規制
健康食品は医薬品ではありませんので、医薬品と混同されないような表示をしなければなりません。商品本体やパッケージはもちろん、チラシ、DM、CMといった媒体を問わず、全ての広告において医薬品であるかのような誤解を与える表示はできません。例えば、「便秘が治る」、「アトピー性皮膚炎が治る」というように、特定の疾患や症状名を出して効能効果をうたうことはできません。

(2)健康増進法による規制
健康増進法の目的は、国民の健康を増進することにあるため、国民が不適切な広告により健康被害を被ることがないよう、虚偽・誇大広告を禁止しています。例えば、「医者に行かなくてもがんが治る」という表現は、医師による診断、治療がなくてもがんが治るような誤解を与え、適切な治療を受ける機会を逸し、かえって病気を悪化させるおそれさえあり、許されません。

(3)景品表示法による規制
景品表示法上の優良誤認表示、有利誤認表示その他誤認されるおそれのある表示に該当する広告も禁止されます。例えば、「史上最高のダイエット食品」という表示は、ダイエット効果には個人差があり、全ての製品の中で最高に効果があることを立証するのは一般的には極めて困難であることから、このような表示は誤認を与えるものとして許されません。

化粧品等の肌への浸透表現について

化粧品等の広告を作成するにあたって、ぐんぐんと肌の奥深くまで成分が浸透することを示して、化粧品等の効果が実によく発揮されるというイメージを消費者に印象付けたいということは多いと思います。
しかしながら、肌への浸透に関する表現については、必ずしも無制限に表現できるものではありませんので、その点に注意しなければなりません。

1 化粧品における浸透表現について

(1)まず、化粧品については、化粧品等の適正広告ガイドラインにおいて、浸透といった表現は、化粧品の効能効果が確実に発生するかのような暗示や効能効果の範囲を超える効果を暗示するおそれがあるため、原則として記載しないこととされています。
例外的に認められているのは、化粧品の作用する範囲が角質層までであることが明記され、かつ、効能効果を保証したり、効能効果の範囲を逸脱したりするものではない場合です。
上記はあくまでガイドラインによる規制であり、違反したからといって直ちに薬機法違反になるものではありませんが、浸透等の表現によって肌の深部への影響を暗示すれば、やはり薬機法上違反となるおそれがあります。

(2)では、具体的にどういった表現であればリスクが小さいかというと、例えば、「角質層まで浸透する」「肌に浸透※※角質層まで」といった表現であれば、作用部分が角質層に限定されていることが明らかであり、効能効果の範囲を超えないものと考えられます。
「※角質層」と注記をしておけば、リスクがないのだと思われるかもしれませんが、そうではありません。
たとえば、「肌の奥深く※※角質層」といった表現については、角質層に限らず、真皮部分等も含め、肌の奥深くに作用する効果を暗示してしまい、医薬品的効能効果を暗示するおそれがあります。このように医薬品的効能効果を暗示することとなれば、ガイドラインとの関係だけでなく、薬機法違反となるリスクが出て来ます。

(3)また、見落としがちなのが、アニメーションによる浸透表現です。
たとえば、化粧品の成分が浸透していく様子を皮膚のアニメーションと成分を表す矢印等で示すものです。
これは浸透表現以外にも言えることですが、広告表現は個々の文章表現だけでなく広告全体の印象から法令違反の内容を暗示することも認められませんので、当然アニメーション部分で化粧品の効能効果の範囲を超えた効果を暗示してはいけません。

したがって、そういったアニメーションの場合にも、作用範囲が角質層部分までであることを明示するのが望ましいと言えます。

2 医薬部外品における肌への浸透表現について

一方で、医薬部外品の場合、事実に基づき承認を得た効能効果の範囲であれば、肌の真皮への作用を訴求することができます。
医薬部外品の場合、有効成分の作用機序について承認を得ており、その範囲で広告をすることが認められているので、承認を受けた際に真皮への作用があることが作用機序として認められている場合には、当該真皮部分への作用にも言及することができます。
もっとも、これは有効成分についての話であるため、有効成分以外の成分については、同様には考えられないことに注意が必要です。

景品表示法とアフィリエイト広告

 アフィリエイト広告という言葉を耳にすることがあるかと思います。アフィリエイト広告とは、インターネットにおける「成果報酬型の広告」であり、ある商品を売りたいと考えた企業が、自ら広告を出すのではなく、アフィリエイト・サービス・プロバイダ(以下、「ASP」といいます)に対して、広告の出稿を依頼し、ASPがアフィリエイター(アフィリエイト広告を作成して報酬を得ている人)に依頼して広告を出すというものです。

アフィリエイト広告にも規制が始まりました

 商品の販売数や広告がクリックされた数に応じて報酬額が決まるため、アフィリエイターは、顧客の目を引くために、ついつい虚偽・誇大広告やその他の法律に抵触した広告を作ってしまうという現象が起きてしまい、社会問題化されておりました。
 特に、事実と異なる表示を規制する法律として、景品表示法があります。しかし、同法の規制の対象が、商品を販売したりサービスを提供したりする企業に限定されており、このような広告を作成するASPやアフィリエイターは対象外であるために、これまでアフィリエイト広告については措置命令が出ておりませんでした。
 しかし、2016年6月30日に消費者庁が公表した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」において、アフィリエイト広告についても景品表示法の規制を受ける可能性があることが示されました。その公表資料によると、「アフィリエイトサイト上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる。」として、ASPやアフィリエイターを利用している企業が、景品表示法の規制を受けるということが明示されました。
 そこからしばらく経ち、2021年3月3日、消費者庁が初めてアフィリエイト広告について、景品表示法違反で措置命令が出されました(商品は育毛剤でした。)。
 公表された違反命令の概要を見ても、広告主はASPを通じて、「本件商品に係る本件アフィリエイトサイトの表示内容を自ら決定している」と当然に認定されて、その詳細な理由は示されておりません。一部報道にも出ておりますが、消費者庁表示対策課は、アフィリエイト広告について特別扱いをするつもりはなく、広告代理店に委託して新聞広告を出す場合と同様だと考えているとの話もあるようです。

アフィリエイト広告で注意すべきこと

 アフィリエイト広告について責任追及されないためにも、広告主側は次の点について改めて注意する必要があります。広告主がその広告の表示内容を自ら決定していると認定される場面は、大きく二つあります。
 ①アフィリエイター(又はASP)と一緒に広告を作成した場合と②広告内容をアフィリエイター(又はASP)に委ねている場合です。これらに該当しないための広告主側の対策としては、法令遵守のガイドラインを交付したり、違反広告を誘発するような素材を提供しない、適宜違法なアフィリエイト広告の取下げを求めたり、といったことが考えられます。
 ちなみに、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」といいます。)についても、アフィリエイト広告で摘発事例があります。2020年7月20日、「肝臓疾患の予防に効果がある」と表示したサプリメントのアフィリエイト広告を作成した容疑で、大阪府で逮捕者が出ました。逮捕されたのが、アフィリエイト広告を依頼した広告主だけでなく、広告代理店の従業員も含まれているという点も業界の関心を高めております。
 ちなみに、薬機法の虚偽誇大広告について、2021年8月から措置命令及び課徴金制度が実施されることとなっており、今後、景品表示法と同じように摘発事例が増えていくことが予想されるところです。
 アフィリエイト広告は、費用対効果から利用している企業が増えているところですが、思わぬ形で摘発されてしまうかもしれません。自らが作成した広告でないとしても、規制の抵触に留意しなくてはならないということを肝に銘じていただければと思います。

サブスクリプション契約

 インターネット上で、「サブスク」という言葉を聞くようになって久しくなりました。今では、Amazonプライム、Sportify、Hulu、トヨタのKINTO 等大手のサービスだけでなく、様々な種類のサブスクがあります。

「サブスク」とは

 「サブスク」とは、英語のsubscriptionに由来する言葉です。辞書を引くと、「予約購読」という日本語訳が出てきます。伝統的には、雑誌の年間購読がこれに該当します。
 これに対して、最近の「サブスク」といえば、インターネット上のサービスに対して、一定期間の利用料金として定額を支払う契約が主流になりつつあります。月額一定料金を支払うことにより、音楽をストリーミングで聞くことのできるSportifyの登場により、サブスクのイメージが広がったのではないでしょうか。
 サブスクリプション・サービスのビジネスモデルは盛んに議論されています。けれども、現時点(2021年3月31日)では、法律において、近年のサブスクリプション契約を定義したものは見当たりません。ここで注意が必要なのは、「サブスクリプション契約」「サブスク契約」とうたいつつ、その内容は、これまでの定期購入契約(販売業者が購入者に対して商品を定期的に継続して引き渡し、購入者がこれに対する代金の支払をすることとなる契約)に他ならないケースがあります。

サブスクで注意すべき点

 インターネットで定期購入契約型のサブスクを行う場合は、特商法の通信販売の規制に注意が必要です。なかでも、事業者は、「(消費者が)商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件」を広告表示する義務があります(特商法11条5号、同施行規則8条7号)。
さらに、購入者から解約の申入れがない限り契約が継続される、期間の定めのない定期購入契約になると、上記の広告表示事項のうちの「金額」は、「まとまった単位での購入価格を目安として表示する等して、当該契約の基づく商品の引渡しや代金の支払いが1回限りでないことを消費者が容易に認識できることが望ましい。」と説明されています(消費者庁取引対策課他編『特定商取引に関する法律の解説(平成28年版)』126-127頁(商事法務)2018年)。
 イメージとしては、例えば、月額980円(初年度年額10,780円、次年度以降年額11,760円)ということのようです。また、「契約期間」については、当該契約が消費者から解約通知がない限り契約が継続する無期限の契約である旨を示す必要があるとされています(同127頁)。
 サブスクのウェブサイトにおいて、月額料金の記載はあっても、半年分や1年分といった、まとまった単位の金額表示はあまり見かけません。というのも、「いつでも解約可」という契約が多く、その趣旨が「2回以上継続して締結する必要」はないということならば、そもそも上記の広告表示義務の適用がありません。
 インターネット上での定期購入契約については、特商法上その他にも留意が必要な点があります。個別のサブスク契約の法的問題点については、別途、ご相談ください。

美容機器の製造販売における薬機法の注意点とは?

 最近、エステなどに使う機器を外国から輸入して販売したいのだけど、日本ではどうしたらよいのか?といったご相談をいただくケースが増えています。このとき、注意しなければならないのは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称「薬機法」)」です。

1.「業として」販売するかどうか

 薬機法では、「医療機器」を業として製造販売するには、厚生労働大臣から、製造販売の許可と品目ごとに個別の承認を受けなければならないとされています。これら、製造販売の許可や個別の承認を受けずに製造販売した場合、違法行為として薬機法上の罰則の対象となります。
 もっとも、「業として」ではなく、個人間で転売したり譲渡する分には、薬機法上の許可や承認は不要です。しかし、転売が事業として成り立つレベルに至っていれば、それは「販売業」とみなされるおそれがあるため、注意が必要です。
 先のご相談の場合も、事業者が「業として」販売することを検討しているのであれば、当該機器が薬機法上の「医療機器」に該当するかどうかが、まずは問題になります。

2.「医療機器」に該当するかどうか

 次に、薬機法上、「医療機器」とは、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう」と定義されています。つまり、人の身体の構造や機能に影響を及ぼす機器であれば、医療用であるか否かにかかわらず、「医療機器」に該当する可能性があるわけです。
 もっとも、薬機法では、そのような機器に該当するからといって、その全てを「医療機器」としているわけではなく、そのうち「政令で定めるもの」に限定しています。これを踏まえて、薬機法施行令の別表第1では、「医療機器」の範囲として、機械器具だけでも84も定められています。その中身を見ると、明らかに医療用と思われる機器が数多く列挙される中、「家庭用電気治療器」や「磁気治療器」など、判断の悩ましいものもあります。

3.「医療機器」に該当しなかったとしても・・・

 前述のとおり、薬機法上の「医療機器」とは、人の身体の構造や機能に影響を及ぼす機器で、かつ、薬機法施行令に定めるものを指す以上、これらに該当しない限り、「医療機器」には該当しないはずですし、厚生労働大臣の許可や承認なく製造販売しても問題ないはずです。ところが、実際には、人の身体の構造や機能に影響を及ぼすと思われる機器については、薬機法施行令に定めるものに該当するか否かにかかわらず、行政指導が入っている例が散見されています。
 加えて、令和3年8月1日から、医薬品や医療機器について虚偽・誇大な広告を行った者に対して、違反行為を行っていた期間(3年間を上限とする)中における対象商品の売上額の4.5%を課徴金額として課されるようになります。
 そのため、薬機法上の「医療機器」については、該当する場合はもちろん、そのおそれがある場合も、行政の指導や運用に細心の注意を払っておく必要があるわけです。

オンラインサロンと特定商取引法

1 オンラインサロンとは

 最近、オンラインサロンという言葉をよく聞きませんか?オンラインサロンというのは、月額会費制のWeb上で展開されるコミュニティ(クローズド)の総称だそうです(Wikipediaより引用)。有名どころだと、堀江貴文さんの「堀江貴文イノベーション大学」やキングコングの西野亮廣さんの「西野亮廣エンタメ研究所」などが挙げられます。月額の会費を支払って、そのコミュニティの中で様々な体験を共有する、というサービスです。

2 オンラインサロンと特定商取引法

 オンラインサロンの運営方法には2種類あります。自らオンラインサロンのプラットフォームを構築して運営する方法と、運営会社のプラットフォームを利用してオンラインサロンを主催する方法です。
 前者の場合、オンラインサロンの主催者は、参加者から月額会費を徴収して、オンライン上のコミュニティで様々な価値を提供します。この場合、主催者の行為は、特定商取引に関する法律(特定商取引法)の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになりますので、同法11条以下の規定の適用を受けることになります。
 後者の場合、オンラインサロンの主催者は、運営会社のプラットフォームを利用する形になり、プラットフォームを通じて個々のオンラインサロンのサービスを提供する運営会社の行為が特定商取引法の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになります。

3 「通信販売」についての特定商取引法の規制

 オンラインサロンの主催者又は運営会社に適用され得る特定商取引法上の規制は以下のとおりです。

<行政規制>
・広告の表示(法11条)
・誇大広告等の禁止(法12条)
・未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法12条の3、12条の4)
・未承諾者に対するファクシミリ広告の提供の禁止(法12条の5)
・前払式通信販売の承諾等の通知(法13条)
・契約解除に伴う債務不履行の禁止(法14条)
・顧客の意に反して契約の申込みをさしようとする行為の禁止(法14条)
・業務改善指示(法14条)、業務停止命令(法15条)、業務禁止命令(法15条の2)
 等の行政処分及び罰則

<民事ルール>
・契約の申込の撤回又は契約の解除(法15条の3)
・事業者の行為の差止請求(法58条の19)

 特に重要なのは、法11条の広告の表示です。通信販売は、隔地者間の取引であり、消費者にとっては広告が唯一の情報源となるため、トラブルの事前防止として詳細な表示義務が規定されています。販売価格や支払時期等の取引条件はもちろん、オンラインサロンの主催者や事業者の身元を明らかにしておく必要があり、個人の場合には、その氏名、住所、電話番号の表示が必要となります。もっとも、広告態様や広告スペースは千差万別であるため、表示が要求される事項のうちの一部については、消費者からの請求があった場合に必要事項を記載した書面を遅滞なく交付する旨を表示していれば、これらの事項の表示を省略することができます。
 なお、特定商取引法では多くの取引形態についてクーリングオフ制度が導入されていますが、通信販売については、クーリングオフ制度の適用はありません。通信販売の場合には、事業者が規定した返品特約(返品の可否、条件、送料の負担の表示)に従うことになりますので、返品に関する事項については、表示の省略はできません。

4 おわりに

 以上のとおり、オンラインサロンを主催・運営する場合には、特定商取引法の通信販売の規制の適用を受けることになります。
 オンラインサロンを主催・運営してみたいけど、Web上に自分の名前や住所、電話番号といった個人情報を掲載することに抵抗がある場合には、オンラインサロンのプラットフォームを利用することを検討してみるとよいかもしれません。