- 2021.12.3
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個人で商品をネット販売する際、独自のホームページを開設しなくても既存の「オンラインショッピングモール」というプラットフォームを利用すれば、だれでも商品を売ることができるようになりました。この記事ではオンラインショッピングモールに出店する際に気を付けたい景表法や売買契約について解説いたします。
プラットフォーム型のビジネス
プラットフォームという単語は、高台、舞台、(駅のプラット)ホーム等の意味を有しています。
この単語は、様々な文脈で用いられており、IT用語として用いられるときは、システム、ソフトウェア等の共通の基盤・標準環境といった意味で用いられます。
そして、ビジネス用語として用いられる場合は、【(IT技術やデータを活用して)ユーザーである個人や企業に対して、取引やコミュニケーションの場を提供する(ビジネス)】といった意味合いで用いられています。
「プラットフォーム」に含まれるビジネスモデルは多様で、「Google」、「Amazon」、「Meta(Facebook)」、「Apple」が行っているビジネスは(ビジネスモデルは大きく異なるものの)、いずれも(デジタル)プラットフォームであると言えます。
特にイメージし易いのは、例えば、「楽天市場」や「Amazonマーケットプレイス」におけるビジネスではないでしょうか。
インターネット上で商品を販売したいと考える出店者と、商品を購入したいと考えるユーザー(消費者)をつなぐ場(オンラインモール)があり、そこで取引が行われています。
近年、デジタルプラットフォームにおける取引は急増しております。
そこで、ビジネスとして、「プラットフォームで個人販売をしたい。」、「出店したい。」と考える方も多いのではないでしょうか。
まずは、出店に係る契約から(オンラインショッピングモールを前提に)
プラットフォームのビジネスモデルは多様ですが、イメージし易い、オンラインショッピングモールへの出店を見ていきましょう。
当事者としては、1.出店者(や出品者)、2.プラットフォーム事業者、3.消費者の3当事者が出てきます。
出店(出品)しようと考えた方は、まず、プラットフォーム事業者との間で、出店(出品)に係る契約を締結することになります。
この契約における各条項や、利用規約等(出店者としてのオンラインショッピングモール利用規約等)の各条項では、出店者としての禁止事項や、手数料、解約条件、免責事由等々、重要な事項が定められていますので、内容を十分に確認する必要があります。
消費者との売買契約
出店者(出品者)と消費者との間の契約は、一般的には、(ショッピングモールを介した)売買契約と考えられます。
出店者は売買契約の当事者(売主)として契約責任を負うことになります。
なお、多くの場合、プラットフォーム事業者は、取引の場を提供するにとどまり、売買契約における当事者にはなりません。
例えば、規約において、「当社プラットフォーム上で行われる、お客様とショップとの取引は、すべてお客様とショップとの間で直接に行われます。当社は、取引の当事者とならず、当該取引に関する責任は負いません。したがって、万が一、お客様とショップとの間でトラブルが生じた場合には、お客様とショップとの間で直接解決していただくことになります。」などと定められています。
景表法違反等に注意
景品表示法(景表法)は、消費者保護のため、事業者に対し、自己の供給する商品又は役務についての不当表示等を禁止しています。
例えば、商品の品質、規格などの内容につき、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良であると誤認させる表示は禁止されています(実際はブランド牛でない牛肉を「国産有名ブランド牛」の肉であるかのように表示して販売した場合、優良誤認表示に当たります。)。
また、商品の価格などの取引条件について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示も禁止されています(「今だけ半額」と表示を常時続けた場合、有利誤認表示に当たります。)。
次に、オンラインショッピングモールにおける取引は、特定商取引法上の「通信販売」に当たるため、特商法の規制も受けることになります。
特商法では、販売業者が所定の事項を表示する義務を負うことや、誇大な広告をしてはならないことを定めていますので、それらを遵守する必要があります。
その他、薬機法等の規制もありますし、広告において他人の商標を侵害すれば商標権侵害の問題が生じます。
プラットフォームにおいて個人販売をする場合には、広告等につき十分、ご注意下さい。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

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