販売・広告に関するQ&A

美容医療クリニックが気を付けるべき広告表示の規制

2021.10.4
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新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、在宅勤務やマスク着用がニューノーマルとなった昨年来、美容医療クリニックの利用者が急増しているといわれています。
「マスクの間にシミ取りを」「在宅勤務で通勤時間がなくなった分、近所の美容クリニックに通える」など、さまざまな思いで一念発起、通院を決めた利用者が増えているとのこと。
こうした美容クリニックを選ぶ上で欠かせないのが、ウェブサイトなどに掲載される美容医療クリニックの広告表示です。こうした広告においては、「医療広告ガイドライン」を遵守した表示を行うことが求められます。ここでは、美容医療クリニックが気を付けるべき広告表示規制について、ご紹介します。

美容医療クリニックが順守すべき「医療広告ガイドライン」

医療広告については、基本的に広告可能な事項が限定されていますが、一定の条件を充足すれば、広告可能な事項以外の事項についても広告することが可能です。
もっとも、条件の充足の有無にかかわらず、常に禁止される広告があります。医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害が他の分野に比べて著しいと考えられていることから、かかる危険性を有する不当な広告については、常に禁止されることになります。
美容医療クリニックにおいても、最低限、禁止される広告は行わないよう気を付ける必要がありますので、次に具体例を交えてご説明します。(厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)に基づく)

内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)

虚偽広告については、医療法において罰則付きで禁止されています。具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

・「絶対安全な手術です!」
・「どんなに難しい症例でも必ず成功します!」
→医学上、絶対に安全な手術というものはあり得ないため、虚偽広告として取り扱われます。

・加工・修正した術前術後の写真等の掲載
→あたかも効果があるかのように見せるために加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱われます。

・「1日で全ての治療が終了します。」(治療後の定期的な処置等が必要な場合)
→治療後の定期的な処置等が必要であるにもかかわらず、全ての治療が1日で終了するといった内容の表現を掲載している場合には、虚偽広告として取り扱われます。

・「患者様満足度〇%」(根拠・調査方法の提示がないもの)
→データの根拠(具体的な調査の方法等)を明確にせず、データの結果と考えられるもののみを示すものについては、虚偽広告として取り扱われます。非常に限られた患者等を対象に実施された調査や、患者等に謝金を支払うことにより意図的に誘導された調査の結果など、公正なデータといえないものについても虚偽広告として取り扱われます。

②他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)

特定又は不特定の他の医療機関と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの病院等が他の医療機関よりも優良である旨を広告することは禁止されています。そのため、「日本一」「No.1」「最高」等の最上級の表現は、客観的な事実であったとしても、禁止される表現に該当します。
また、「プロスポーツ選手の●●選手に患者第1号になっていただきました。」「モデルの●●さんも治療の効果を実感!」等、著名人との関連を強調する表現も、患者等を不当に誘引するおそれがあるため、比較優良広告として取り扱われます。

③誇大な広告(誇大広告)

必ずしも虚偽ではないものの、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させたりするような広告も禁止されています。具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

・手術や処置等の効果又は有効性を強調するもの
→撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲載し、その効果又は有効性を強調することは、患者等を誤認させ、不当に誘引するおそれがあるため、そうした写真等については、誇大広告として取り扱われます。

・「比較的安全な手術です。」
→何と比較して安全であるか不明であり、誇大広告として取り扱われます。

・「●●の症状のある二人に一人が●●のリスクがあります。」
・「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください。」
→科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の症状に関するリスクを強調することにより、医療機関への受診を誘導するものは、誇大広告として取り扱われます。

④患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談

いわゆる口コミについては、個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあることをふまえ、医療広告としては禁止されています。

⑤治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等

いわゆるビフォーアフター写真についても、個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については、医療広告としては禁止されています。
もっとも、術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合については、医療広告として認められます。

医療広告ガイドラインの中から、特に美容医療クリニックで気を付けるべき禁止される広告について紹介してみました。医療広告ガイドラインを遵守して、適切な表現となるよう留意してください。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。
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