販売・広告に関するQ&A

健康食品販売業者向け「初回購入」は特商法の制限に注意!

2021.10.1
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1「初回購入」との表示のある定期購入はトラブルが多い

 ネット通販などで、「初回購入」のみ、〇〇円(通常価格よりも安い金額)と謳って、広告をしているサイトが多く見受けられます。
 上記の「初回購入」のみ〇〇円という広告をしている場合、定期購入契約であることが多く、初回購入分は安かったとしても、2回目分、3回目分は、通常価格(初回購入分よりも相当金額が上がっていることが多いです。)となっていることが多いです。
 しかしながら、一般の方が、契約内容を理解せずに、購入契約をして、後からトラブルとなることがあります。
 このようなトラブルの中で多いのは、①そもそも、定期購入契約であることを理解せずに(初回購入分のみを購入しようと思って、購入をしてしまったというケースや②解約ができると思っていたのに、なかなか解約ができなかったというケースです。
 では、通信販売を取り扱っている会社の立場からして、どのような対応をすれば、トラブルを減らすことができるのでしょうか。

2特定商取引法上の規制

(1)特定商取引法が求める2つの事項

 通信販売に関する規制を規定している法律の一つに、特定商取引法(以下、「特商法」といいます。)があります。そして、特商法14条では、意に反して契約の申し込みをさせようとする行為を禁じています。
 つまりは、一般の方が分からない、あるいは、分かりにくいホームページ上の表示をして、契約の申し込みをさせてはならないということです。
 そして、特商法が求めているのは、大きく分けて2つで、一つは、i.申込内容の確認がきちんとできること、そして、もう一つは、ii.確認ができることを前提として、訂正の機会が設けられていることです。

(2)申込内容の確認(i)

 上記の申込内容の確認がきちんとできることについては、定期購入に関して言えば、申込みの最終段階の画面上において、定期購入契約の主な内容の全てが表示されているといことが必要となります。
 そして、定期購入契約における主な内容は、契約期間(商品の引渡し回数、解約がない限り契約が続く等)、消費者が支払うこととなる金額(各回ごとの商品の代金、送料及び支払総額)及びその他の特別の販売条件(回数の縛りや解約条件等)がある場合にはその内容のことで、この全てが表示されている、又は、容易な操作によって全てを確認できる必要があります。上記1で述べたトラブル(上記①②)に関する記載は、この定期購入契約の主な内容で表示されるべき内容となります。
 ただし、あくまで、特商法は、一般の方目線で考えられるので、定期購入契約における主な内容を全て表示していたとしても、非常に小さなフォントで記載されていたり、ずっと下にスクロールしなければ全ての内容が表示されないといった分かりにくい表示の場合には、上記の定期購入契約における主な内容が表示されたとは評価されません。
 つまりは、特商法14条に違反するという可能性が高くなりますので、注意をしてください。

(3)訂正の機会(ii)

 訂正の機会に関しては、上記の申込内容の確認ができることを前提に、容易に、その内容を訂正できる機会が設けられていることをいいます。
 具体的には、申込内容の確認画面において、「変更」、「取消し」といったボタンがある場合や「修正したい部分があれば、ブラウザの戻るボタンで前のページに戻ってください」などといった案内が表示され、容易に申込内容を訂正できる機会が設けられていることが必要となります。
 訂正の機会においても、申込内容の確認と同様、分かりにくいところにボタンがあったり、ずっと下にスクロールしなければ訂正ができないような場合には、訂正の機会が設けられているとは評価されません。
 この場合も、特商法14条に違反するという可能性が高くなりますので、注意をしてください。もちろん、訂正ボタンがない場合も特商法14条に違反するということになります。

3まとめ

 上記1で述べた一般の方とのトラブル(上記①②)は、特商法14条と関連することが多いです。もちろん、特商法14条の内容を守ることによって、トラブルが全くなくなるわけではありませんが、トラブルが減るということは確実でしょう。
 また、通信販売を取り扱っている会社からすれば、特商法14条に反しないような表示をすることが重要です。仮に、特商法14条に違反した場合、業務停止命令の行政処分を受けることもあり、会社経営上、非常に大きなダメージを受けることもあり得ます。

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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 美容広告専門チーム

美容広告専門チームは、美容業界と広告に精通した弁護士集団として、高い専門性を持ち、多くの企業の顧問弁護士を務めている。美容や広告に関するセミナーでの講演依頼を多数受け、新聞をはじめとしたメディアからも数多くの取材を受ける。

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