インターネットで化粧品を販売!気をつけるべき特定商取引法とは

インターネット通販はクーリングオフがいつでもできる?

特定商取引法においてインターネット通販は、「通信販売」という取引類型に分類されています。通信販売とは、新聞、雑誌、インターネット等で広告し、ECサイトや郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のことです。
特定商取引法の他の取引類型、例えばエステティックサービスにはクーリングオフが認められていますが、通信販売にはありません。
そもそもクーリングオフという概念が存在しないのです。

では冒頭で述べたように、定期便や自動配送など消費者と事業主側とで長期に渡る取引が行われているのに、クーリングオフが適用にならないとはどのようなことでしょうか。

消費者が途中で解約できないわけではありません

通信販売はクーリングオフという概念ではなく、「契約の申込みの撤回または契約の解除」という法第15条の2という法律が存在します。
法第15条の2では、「通信販売により消費者が契約を申し込んだり契約をしたりした場合でも、その契約にかかる商品の引渡し(指定権利の移転)を受けた日から数えて8日間以内であれば、消費者は事業者に対して契約申込みの撤回や解除ができ消費者の送料負担で返品ができる」と定めています。
ただし、事業主側が広告やホームページなどであらかじめこの契約申込みの撤回や解除につき特約を提示しており、それを消費者が合意していた場合は「特約による」ともされています。

定期便や自動配送などで消費者とのトラブルを避けるために

事業主側があらかじめ広告やホームページでその特約を記載する場合には、特定商取引に関する法律施行規則第9 条及び第16条の2において定められている条件の2つを満たさなければなりません。

    1. ①顧客にとって見やすい箇所で明瞭に判読できるように表示する
    1. ②顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する

さらにこの表示方法にも何をどのようにどのタイミングで、どういった形式で、どのような内容で等細かく定められていますから、事業主側の勝手な憶測や判断で行ってはいけません。いくら特約を記載していたとしても、明確に定められた表示方法を怠ったたり、消費者が認識できないという場合は特約が無効となってしまう場合がありますので特に気をつけたいポイントです。

今一度、広告やホームページなどに表示している内容について見直してみるのも損ではありません。

キャンペーンを行う前に知っておきたい景品表示法とは?【金銭】編

景品表示法とは?

景表法(正式名称:不当景品類及び不. 当表示防止法)とは簡単に言うと
「消費者が誤認する表示はしてはいけません」
「消費者に提供する内容に不正があってはいけません」
という法律です。消費者の方々が安心して良い商品やサービスを、自主的かつ合理的に選べる環境を守るために制定された法律です。

景品表示法には2大禁止事項があります。

景表法の中で制定された2つの禁止事項は簡単に言うと主に言葉や表現を「禁止する不当な表示の禁止」と、主に金銭面に関わる「過大な景品提供の禁止」です。さらにこの2つの最大禁止事項からそれぞれ3つに分かれて具体的に設定されています。いずれも守る必要がありますので注意しましょう。

1:不当な表示の禁止

  • 1−①優良誤認表示の禁止
  • 1−②有利誤認表示の禁止
  • 1−③その他誤認されるおそれのある表示の禁止

2:過大な景品提供の禁止

  • 2−①一般懸賞による景品類の提供制限(最高額・総額)
  • 2−②共同懸賞による景品類の提供制限(最高額・総額)
  • 2−③総付景品の提供制限(最高額)

言葉や表現を禁止する「不当な表示の禁止」については別の記事をご覧ください。

過大な景品提供の禁止事項、エステサロンの事例

さて今回は、主に金銭面の禁止事項を事例でご紹介します。

【事例1】このエステを受けた方は今ならくじ引きで化粧品があたるキャンペーン中!

このようなキャンペーンの場合、2−①一般懸賞による景品類の提供制限(最高額・総額)が適用します。
一般懸賞とは商品の購入者やサービスの利用者に対し、くじやじゃんけんなどの偶然性、特定行為の優劣などによって提供する景品類です。それにより提供できる最高額と総額は以下の通りです。

懸賞による取引価格

【事例2】当エステサロン全店舗の共同企画!エステがあたる抽選会実施中!

このようなキャンペーンの場合2−②共同懸賞による景品類の提供制限(最高額・総額)が適用します。
一定の地域(市町村や、町内会)の小売業者またはサービス業者が共同で抽選会などを実施する場合にその景品類の提供の最高額と総額は以下の通りです。

景品類限度額

【事例3】来店しただけで10万円分のエステがもれなく当たる!

このようなキャンペーンの場合2−③総付景品の提供制限(最高額)が適用されます。これは「懸賞」によらずに提供される景品類のことです。
総付景品とは、商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する金品等を購入の申し込み順又は来店の先着順により提供されるすべてのものを指します。そして上限金額は以下の通りです。

景品類の最高額

このように景品表示法では具体的な上限金額が設定されています。事業主はその大小に関わらず、キャンペーンや割引などの行為を行う場合に守らなければならない法律です。尚、自社のホームページはもちろん、広告出稿する先にも同じく問われる法律ですので最低限の知識を持ち合わることが必要です。

エステティックサービスにおけるクーリングオフと中途契約の違いとは?

クーリングオフと中途解約の違い

エステティックサービスのクーリングオフ

提供するメニューの申し込みまたは契約書を法律で定められた書面に沿って交わした日から8日以内であれば、無条件に消費者による解約ができること

エステティックサービスの中途解約

クーリングオフの期間を過ぎてかつサービスを提供している途中でも無条件に消費者による解約ができること

要するにエステサロンはいかなる場合でもあっても消費者による解約を認めないといけないということになっています。
これは平成13年4月1日より施行された「消費者契約法」という法律で消費者のそもそもの意思が守られていることが大きく寄与しています。
そのため消費者との契約書にも「いかなる場合でもあっても解約はできない」とは記載ができません。

中途解約における、損害賠償について

ですがそうは言っても契約は契約ですよね。契約数をベースに商材を事前に仕入れていたり、予約枠を確保していたりなどの事前投資がある場合、エステサロンを運営している事業主側にとってはその損失は大きいのではないでしょうか。
消費者契約法や特定商取引法で消費者が守られていると言っても、エステサロンの事業主側が全く損になるということでもありません。
中途解約の場合は、律で定められている上限内で賠償金を消費者に請求することが可能です。

賠償金の金額とは

契約後消費者が、

  • サービスを利用する前:上限2万円まで
  • サービス利用後:未使用サービス料金の1割か2万円のいずれか低い金額まで

です。

さらに、そのサービスを遂行するために必要な物販などの関連商品がある場合は、それらも解約の対象となりますから注意が必要です。
※関連商品とは健康食品、化粧品、石けん(医薬品を除く)、浴用剤、下着類、美顔器、脱毛器などです。
ただし例外もあります。商品を買うか買わないかは本人が自由に決めることができる状況で販売している場合(該当するサービスを遂行することに関係のないもの)本人の意思により契約したものは関連商品ではなく推奨商品となり、クーリングオフや中途解約はできないことになっています。

解約時のトラブルを大きくしないために

消費者の理解を得てトラブルを事前に防ぎ賠償金や解約に関することなどを明確にするためにも、エステサロンなどの事業主側は法律で定められた義務を実行する必要があります。その義務とは「法律で定められた書面に沿って契約内容を記載した書面を消費者に渡す」ことです。
これがないと消費者と大きなトラブルになってしまう可能性がありますから、今一度その内容や渡すタイミングなど合っているのか否かを専門家に相談してみてもいいのではないでしょうか。

クーリングオフってどんなルール?

クーリングオフとは?

そもそもクーリングオフというのは、特定商取引法という法律が認めている民事ルールの1つです。エステや美容業界に関わらず、様々なサービスが提供される消費者と事業者との間のトラブルを防止し、その救済を容易にするなどの機能を強化するために「消費者による契約の解除」が無条件で出来ることを指しています。

では実際、クーリングオフはいつでもできるものなのでしょうか。
特定商取引法が認めるクーリングオフは、下記の場合が適用条件と示しています。

    1. 1、申込みまたは契約後に法律で決められた書面を消費者が受け取ってから特定商取引法で定めれた一定の期間内

      1. 2、 特定商取引法で取引類型(いわゆる取引方法)に定められた契約内容に該当する場合

消費者も事業主側も、これらの期間や契約内容をサービスや提供される商品ごとに正確に把握する必要があります。特定商取引法には取引類型(いわゆる取引方法)が7種類ありますが、1で述べた「一定の期間」がそれぞれ異なります。

訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入においては8日間
連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間
通信販売にはクーリングオフが適用されません。

そしてこの期間を定める日とは「申し込みまたは契約後に法律で決められた内容が記載された書面を交わした日」から数えます。
※事業主側は定められた法律の元で書面を作成、消費者に提示し交わすことも特定商取引法の中で義務づけられています。

エステティックサービスのクーリングオフとは?

それでは、2でのべた特定商取引法で取引類型(いわゆる取引方法)に定められた「契約内容」とはどのようなことかをエステティックサービスでご紹介します。

特定商取引法の中でエステティックサービス(いわゆる美顔・痩身・脱毛などの施術を提供するサービス)は、特定継続的役務提供という取引類型に分類されています。その取引類型ではエステティックサービスの契約内容が
「契約期間が1カ月を超え、かつ金額が5万円を超える場合」クーリングオフが適用とされています。

まとめると、

  • ✔事業主側が消費者へ提供するエステティックサービスの契約が1ヶ月を超えるものでかつ金額が5万円を超えるものは、クーリングオフの対象となる
  • ✔上記に該当するサービスを提供する場合、事業主側は消費者に対し法律で定められた書面を交わす必要がある
  • ✔上記で交わした書面がある場合、クーリングオフは申込みまたは契約後、8日間は適用されている

となります。

このクーリングオフ、今まで適用外であった美容医療サービスも来年度には施行される動きが強まっていますのでますます消費者によるクーリングオフが増えるかもしれません。後からトラブルにならないよう不安な事業主の方などは今のうちにその契約内容に明記する内容などを専門家に相談してみるといいかもしれません。

PRや広告を行う前に知っておきたい景品表示法とは?【言葉や表現】編

景品表示法とは?

景表法(正式名称:不当景品類及び不. 当表示防止法)とは簡単に言うと

  • 「消費者が誤認する表示はしてはいけません」
  • 「消費者に提供する内容に不正があってはいけません」

という法律です。

消費者の方々が安心して良い商品やサービスを、自主的かつ合理的に選べる環境を守るために制定された法律です。
そのため事業主側は景品表示法で定められた表現方法に従う必要があり、それにより消費者は誤認をせずに正確な判断でより良い製品を選べることに繋がります。

景表法の中で制定された2つの禁止事項は?

  • 主に言葉や表現を禁止する「不当な表示の禁止」
  • 主に金銭面に関わる「過大な景品提供の禁止」

です。

さらにここからそれぞれ3つに分かれて具体的に設定されています。

1:不当な表示の禁止

  • 1−①優良誤認表示の禁止
  • 1−②有利誤認表示の禁止
  • 1−③その他誤認されるおそれのある表示の禁止

2:過大な景品提供の禁止

  • 2−①一般懸賞による景品類の提供制限(最高額・総額)
  • 2−②共同懸賞による景品類の提供制限(最高額・総額)
  • 2−③総付景品の提供制限(最高額)

さてここからまず不当な表示の禁止からさらに詳しく事例を交えてご紹介します。

1:不当な表示の禁止とは?

不当な表示とは、偽装・嘘・誇大した表現のことを指しておりこれらを禁止することで商品やサービスの情報が正しくわかりやすく伝わることが目的とされています。

1−①優良誤認表示の禁止

事例:純国産のオーガニックハーブ使用化粧品は当社のみ!

この表現事例においてNGとなりうる可能性が高いポイントは
純国産とは全成分が本当に純国産なのか証明出来ない場合、
当社のである根拠を示すデータが提示できない場合です。

表現の根拠を示すデータが必要かつ、唯一!最高!当社のみなどの表現が禁止されています。

1−②有利誤認表示の禁止

事例:メーカー小売り希望価格6,000円が当社なら1,050円お得!

この表現事例においてNGとなりうる可能性が高いポイントは
メーカー小売り希望価格が架空の場合、
小売り希望価格が本当に6,000円か証明出来ない場合、
1,050円の値引きと見せかけて他社での通常価格と変わらない場合です。

※小売り希望価格を勝手に設定してはいけないことと、他社の値段と違ってはいけません。

1−③その他誤認されるおそれのある表示の禁止

事例:すべての原料、加工、製造までmade in JAPANです!

この表現事例においてNGとなりうる可能性が高いポイントは
原料の1つ1つ含め、すべてが日本産で日本の工場で
どういう過程で行われているか証明できない場合

※提示できれば大丈夫です。

以上。

景品表示法は広告宣伝だけに規制されているものではなく、自社のホームページやちらしなど全てその商品を表現するツールに適用されます。
元々は明らかな悪質業者を排除するために制定された法律ですが、他社との差別化をはかろうと実は誰でも陥ってしまいがちです。
景品表示法についての取り締まりは厳しくなる一方ですので、このタイミングで表現などを見直してみるのもいいのではないでしょうか。

※金銭面に関わる「過大な景品提供の禁止」については別記事をご覧ください。