化粧品広告における用語の使用~「還元」は大丈夫?

美容の商品・サービスにおいてよく耳にする「肌の酸化」。この「酸化」とともに、最近登場するようになった「還元」という用語、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
 

 美容業界における『酸化と還元』

酸化と還元-。
 
化学が得意だった、好きだったという方ならピンと来るかもしれません。
 
簡単に言えば、酸化とは錆びること(数年前から肌サビ、というワードも流行っているよう)です。
 

肌の酸化は肌の老化を加速させると言われますが、本来、肌には酸化から肌を守る抗酸化作用などの機能があります。この抗酸化作用を高め、「酸化をなかったことにする」を謳っているのが今回テーマにする“還元”という表現です。

辞書的には「還元」には、二つの意味があります。ひとつは「根源的なものに(再び)もどす、または戻ること。」、もうひとつは、「酸化に対し、酸化物から酸素を取り去ること。更に広く、物質が水素と化合すること、または電子を得ること。」です。
 
化粧品業界では、肌の酸化こそが老化の原因であり、酸化を防ぐ=抗酸化、つまり上記ひとつめの意味で、「還元」という用語はアンチエイジングの象徴のように考えられているのです。
 

 薬機法上の広告表現における抗酸化とは

ただし、薬機法上広告表現が認められている化粧品の効能効果に、「肌の抗酸化」というものは認められていません(ある成分の配合目的を「製品の抗酸化剤」と記載することは可能ですが、その配合目的を「抗酸化」と記載することは認められていません。)。
 
なので、抗酸化を意味する「還元」という用語も使用してはいけないのではないか、という疑問が生じるのです。
 
この点、行政側としても、化粧品の広告に「還元」という用語を用いることを一律に禁止しているわけではありません。
 
あくまでその「還元」という用語がどのような意味合いで用いられているかを実質的に判断する、というのが行政の見解です。
 

 実質的に化粧品の効能効果の範囲を逸脱するかどうか

まとめますと、「還元」という用語を用いていても、例えば、実質的には「皮膚にうるおいを与える」意味で使われていると解釈可能であるような場合には、その表現は化粧品の効能効果の範囲内といえるので、特に問題視されることはありません。
 
他方で、「還元」という用語の意味合いが、その他の表現等も合わせると、肌質自体の抗酸化やアンチエイジングを意味していることが明らかである場合には、当該表現は化粧品の効能効果の範囲を逸脱するものとして許されない、ということになります。
 
以上のとおりですので、一律に「還元」という用語を用いてはならないわけではありませんが、その実質的に意味するところが、化粧品の効能効果の範囲を逸脱する場合には、「還元」という用語を用いてはいけない、ということになります。

 

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広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
肌質の改善を謳ったり、若返りを暗示する表現だったりと、身体に影響を及ぼす表現は薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

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(Q41)課徴金の納付:督促状に書いてある期限までに課徴金を支払わなかったらどうなりますか?

課徴金納付命令が執行される可能性があります。

具体的には、課徴金納付命令を受けた者の財産が差し押さえられ、最終的には競売などの手続きを経てお金に変えられ、国に納められることになります。

なお、景表法は、事業者の資産等の調査できる権限を行政庁に与えていますから、課徴金を支払わなければならない事業者名義の資産は、照会により明らかにされることになります。

(Q40)課徴金の納付:督促状を送られることによるペナルティはありますか?

あります。
課徴金を納めなければならない日の翌日から、実際に課徴金を納付した日まで、年14.5パーセントの延滞金を支払わなければならなくなる可能性があります。

景表法には、「延滞金を徴収することができる。」(景表法第18条第2項)と書いてありますので、延滞金を必ず支払わなければならないかというと、そうではない場合もあるようですが、督促が行なわれた後は、高率の延滞金を払わなければならなくなる可能性がある点は、注意が必要です。

(Q38)課徴金の納付:課徴金はいつまでに支払わなければなりませんか?

課徴金を課せられた事業者のところには、「課徴金納付命令書」が送られてきます。この命令書には、納めなければならない課徴金の金額、課徴金の金額の計算の根拠、課徴金の対象とされた行為、課徴金を納めなければならない期限などが書いてあります。課徴金は、この課徴金納付命令書が出された日から7か月以内に納めなければなりません。

(Q37)課徴金の納付:課徴金を支払ったら損金として計上することができますか?

できません。

課徴金を損金に算入できるとしてしまうと、実質的に事業者の経済的な不利益が小さくなってしまいます。

例えば、事業者が500万円の課徴金を支払った場合、これが損金に算入できることになれば、課税所得が減り、所得税額や法人税額が減少することになります。課徴金を課すのは、不当な表示をすることが経済的にわりに合わないと事業者に思ってもらい、不当な表示を抑止するためです。
Q15で詳しく説明しましたが、売上額の3パーセントというのは、多くの事業者にとって、不当な表示をしたことにより得られた利益をすべて吐き出させる水準です。もし課徴金の損金算入が認められてしまうと、所得税額や法人税額の軽減を通じて、不当な表示をしたことによる利益が事業者に残ってしまうことになります。

そうすると、「課徴金を払ったとしても、不当な表示をしたほうが得だ」ということになってしまい、事業者が不当な表示を止めようと思わなくなってしまいます。そもそも、課徴金の制度が作られた理由は、課徴金を支払わせることで、不当な表示が行なわれないようにするためでしたから、この目的を達成するためには、課徴金の損金算入を認めるわけにはいかないのです。

(Q36)課徴金額の減額:実施予定返金措置計画とはなんですか。

課徴金を減額してもらうためには、どのようにして返金をするかの計画を立てて、それを消費者庁に提出し、認定を受けなければなりません。

この計画を「実施予定返金措置計画」といいます。

(Q35)課徴金額の減額:お客さんに返金することで、どれくらい課徴金を減らしてもらえますか?

この点については、内閣府令が詳しく定めています。

具体的には、事業者が返金した金額が、返金の申出をしたお客さんが購入した商品・サービスの価格よりも多い場合は、返金の申出をしたお客さんの購入額が課徴金から減額されます。
また、事業者が返金した金額が、返金の対象となり、返金の申出をしたお客さんが購入した商品・サービスの価格以下である場合には、事業者が返金した金額が課徴金から減額されます(施行規則第16条第1項)。

具体的な例で説明しますと、中古車販売業者が、中古車のメーターを3万km分巻き戻して販売していたとします。問題となる期間は1年で、メーターを巻き戻して販売した車の代金は5億円だったとします。
そうすると、課徴金の金額は、5億円の3パーセントで1500万円になります。その後、この事業者は、適切な手続きをとって、お客さんに返金をしました。返金を申し出たお客さんが5人で、この5人に販売した車の合計額は1000万円だったとします。事業者は、これらのお客さんに対し、合計1100万円を返金したとしましょう。すると、事業者が返金した金額が返金の申出をしたお客さんが購入した商品の価格よりも多くなりますから、この場合は、返金の申出をしたお客さんの購入額である1000万円が課徴金から減額されることになり、事業者が払わなければならない課徴金は500万円になります。

また、返金を申し出たお客さんが5人で、この5人に販売した車の合計額は1000万円だったとして、事業者が返金した金額が200万円にとどまったとします。この場合には、事業者が返金した金額が、返金の申出をしたお客さんが購入した商品の価格よりも少なくなりますから、少ない金額の200万円が課徴金から減額されることになり、事業者が払わなければならない課徴金は1300万円になります。

このように、課徴金から減額できる金額の上限が決められているのは、返金の申出をしたお客さんに過大な返金を行い、その全額を課徴金から減額することを許してしまうと、被害回復を促すという課徴金減額制度の趣旨が実現できなくなってしまうからです。

(Q34)課徴金額の減額:どうして替わりの商品やサービスの提供では課徴金を減らしてもらえないのですか。

お客さんは、事業者の問題のある表示により、自由に商品・サービスを選択できる機会を奪われたわけです。そのお客さんに金銭以外の方法、例えば代わりの商品を渡したところで、お客さんが自由に商品・サービスを選べなかったことに変わりありません。

お客さんに金銭を渡せば、お客さんは、その金銭で自由に商品・サービスを選ぶことができますから、その意味で問題のある表示により自由に自分の考えで商品やサービスを選ぶことができなかったという問題は解決されたことになります。

このような考えから、課徴金の減額が認められるためには、替わりの商品やクーポンではだめで、金銭をお客さんに渡すことが必要とされたのです。

(Q33)課徴金額の減額:お客さんに不当な表示をした商品・サービスの替わりになる商品やサービスを提供したり、金券を渡したりすることで課徴金を減らしてもらうことはできますか。

できません。
課徴金を減額してもらうためには、お客さんに現金を渡したり、お客さんの銀行口座にお金を振り込んだりしなければなりません。