ドミノ・ピザに対する景品表示法に基づく措置命令について解説

令和5年6月27日にドミノピザが景表法違反で消費者庁から、措置命令が出されています。
 

措置命令の対象となった事実として、ドミノピザが配布しているチラシに、商品の税込価格が記載されていましたが、実際に商品購入時に支払う金額には、その商品の税込価格にサービス料(6~7%)が上乗せした金額が求められています。
 

この表示内容が、景表法5条2項の有利誤認表示として、消費者庁の措置命令の対象となったのです。
 

消費者庁報道資料より

 

なお、サービス料に関しては、チラシの裏面に小さな文字で記載されていましたが、表示が目立たなかったため、打ち消し表示と認められませんでした。
 

最近ですと、商品の品質を著しく優良に表示する優良誤認表示が、措置命令の対象としては、数多く公表されている中、価格面を優良に表示する有利誤認表示での措置命令は少数派ではありましたが、今回の措置命令を皮切りに、今後同様に有利誤認の指摘事例が増える可能性もあります。
 

価格表示の方法に関しては十分に注意するようにしましょう。
 

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丸の内ソレイユ法律事務所は、2016年、弁護士業界ではいち早く美容健康分野に対するリーガルサービス提供を開始し、現在では健康博覧会、ビューティーワールド ジャパン、ダイエット&ビューティーフェアでの薬機法セミナー講師を務めるなど、美容健康業界に対する広告適正化に向けての啓蒙活動も行っている法律事務所でございます。
 

これでは何も訴求できない、どんな風に書けばいいのかわからないーそのようにお悩みの方、企業の販促・プロモーション・広告担当の方、弊所は法律に則った訴求表現のアドバイスもさせていただくことが可能ですのでぜひ一度ご相談ください。
 

広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
近年、景品表示法に基づく措置命令や課徴金納付命令が多く出されており、ナンバーワン表記や二重価格表示、そして「飲むだけで痩せる!」などの事実と異なる表記への取り締まりが一層強くなっているのが現状です。
 
加えて、美容健康業界の企業様は、事実に反する表示での景表法違反にも注意ですが、よくご質問を頂くアンチエイジング系の若返りワードや、肌色を変える美白系のワード、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

弊所では広告・プロモーション法務に詳しい弁護士が多数在籍しており、皆様のご不安に寄り添うことができます。
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課徴金納付命令とは

景品表示法に違反する行為に対しては、措置命令などの措置が採られます。

また、事業者が不当表示をする行為をした場合、景品表示法第5条第3号に係るものを除き、消費者庁は、その他の要件を満たす限り、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じます(課徴金納付命令)。ここでは、課徴金の納付について、よくある質問をまとめました。

まず、課徴金納付の流れは次の図の通りです。

(消費者庁サイトより)

  • 課徴金の納付について

「課徴金納付命令」が出された場合、例えば、課徴金を納めること自体について不服がある場合や課徴金の金額に不服がある場合には、事業者は、不服申し立てをすることができます。

不服申し立てをする方法は2つあります。

1つ目は、行政不服審査法第4条第1号に基づき、消費者庁長官に対して審査請求を行う方法です。

もう一つは、行政事件訴訟法第3条第2項に基づき、処分取消訴訟を行う方法です。

 1)支払いの期限はありますか?

課徴金を課せられた事業者のところには、「課徴金納付命令書」が送られてきます。この命令書には、納めなければならない課徴金の金額、課徴金の金額の計算の根拠、課徴金の対象とされた行為、課徴金を納めなければならない期限などが書いてあります。課徴金は、この課徴金納付命令書が出された日から7か月以内に納めなければなりません。

 

 2)期限までに支払わないとどうなりますか?

消費者庁から、督促状が送られてきます。督促状には新しい納付期限が書いてあり、その期限内に課徴金を納めるよう求められます。

 

 3)督促状が送られるということは延滞金などのペナルティはありますか?

→ あります。

課徴金を納めなければならない日の翌日から、実際に課徴金を納付した日まで、年14.5パーセントの延滞金の支払い可能性があります。

というのも、景表法には、「延滞金を徴収することができる。」(景表法第18条第2項)とありますので、延滞金を必ず支払わなければならないかというと、そうではない場合もあるようです。督促が行なわれた後は、高率の延滞金を払わなければならなくなる可能性がある点は、注意が必要です

 

もし、この督促状に書いてある期限も守らなかった場合は、課徴金納付命令が執行される可能性があります。具体的には、課徴金納付命令を受けた者の財産が差し押さえられ、最終的には競売などの手続きを経てお金に変えられ、国に納められることになります。

なお、景表法は、事業者の資産等の調査できる権限を行政庁に与えていますから、課徴金を支払わなければならない事業者名義の資産は、照会により明らかにされることになります。

 

 4)課徴金納付命令が出された後、別な会社と合併したらどうなりますか?

存続後の会社が課徴金を払わなければなりませんので、合併をしたとしても課徴金を払わなければいけない状況は変わりません。

 

5) 課徴金を損金に算入することはできますか?

→ できません。

課徴金を損金に算入できるとしてしまうと、実質的に事業者の経済的な不利益が小さくなってしまいます。

例えば、事業者が500万円の課徴金を支払った場合、これが損金に算入できることになれば、課税所得が減り、所得税額や法人税額が減少することになります。課徴金を課すのは、不当な表示をすることが経済的にわりに合わないと事業者に思ってもらい、不当な表示を抑止するためです。

 

売上額の3パーセントというのは、多くの事業者にとって、不当な表示をしたことにより得られた利益をすべて吐き出させる水準です。もし課徴金の損金算入が認められてしまうと、所得税額や法人税額の軽減を通じて、不当な表示をしたことによる利益が事業者に残ってしまうことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうすると、「課徴金を払ったとしても、不当な表示をしたほうが得だ」ということになってしまい、事業者が不当な表示を止めようと思わなくなってしまいます。そもそも、課徴金の制度が作られた理由は、課徴金を支払わせることで、不当な表示が行なわれないようにするためでしたから、この目的を達成するためには、課徴金の損金算入を認めるわけにはいかないのです。

 

前述の通り、課徴金納付命令が出された後も、不服申し立てをすることはできます。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所では、過去にこうした件での対応経験もありますので、お気軽にご相談ください。

【弁護士解説コラム】景表法改正に向けた報告書が公表されました。

消費者庁の「景品表示法検討会」は令和5年1月、景表法の改正に向けて、確約手続きの導入や悪質業者に対する規制強化を柱とする報告書を取りまとめました。ここでは、明らかになった報告書の内容について、ポイントとなる点を説明します。


 

 

 

(消費者庁景品表示法検討会報告書)

 

 

 

 

 

「課徴金」「措置命令の対象の実質的な拡大」の2点が大きなポイント

報告書では、早期に対応すべき課題として、違反行為に対する抑止力の強化が上げられています。中でも、①課徴金の件、②措置命令の対象の実質的な拡大―が大きなポイントとなります。

 

 

課徴金について

 

まず、①の課徴金についてです。繰り返し違反行為を行う事業者に対しては、割増算定率の適用(実質的な課徴金の上乗せ)が考えられる対応として挙げられました。

また、課徴金算定のための基礎となる事実を把握できない事態等に対応するため、課徴金対象行為に係る売上額等を合理的な方法により推計できる規定の整備も挙げられています。

「課徴金に関する割増算定率の適用(実質的な課徴金の上乗せ)」も「売上額等の推計の規定」も、法律改正が必要な事項ではあるものの、景表法の実効性を高める観点からすると、大きな影響を与えるものと考えられます。

  • 独占禁止法及び金融商品取引法(昭和23年法律第25号)は、一定期間内に繰り返し違反行為を行う事業者に対しては、抑止力を高めるために原則の算定率ではなく、割り増した算定率を適用した課徴金を課すこととしている(独占禁止法第7条の3第1項、金融商品取引法第185条の7)

 

措置命令の対象の実質的な拡大

次に、②措置命令の対象の実質的な拡大についてです。法人を隠れみのとしながら、自然人が実質的には不当表示を行っている等と認められる場合に、実質的な違反行為者と評価できる当該自然人に供給主体性・表示主体性が認められるときは、当該自然人を「事業者」(景品表示法第2条第1項)として認定して措置命令・課徴金納付命令の対象とするといった対応が挙げられています。

 

 

 

 

措置命令の対象の実質的拡大(今までの運用は、法人を対象としていました。)については、運用基準の変更によって対応が可能(法律改正の必要まではない)と考えられるため、ある程度早期に実行することが可能となります。

具体的には、法人を複数持っているオーナー等が対象となると考えられますが、オーナー等が実質的な供給主体・表示主体と認定されることによって、景品表示法の実効性を高めようとしていると考えられます。

このような運用が始まると、実質的なオーナーが、複数法人を持ち、一法人に一つの商品を販売し、措置命令等を受けたら、当該法人を消滅させるといった方法はとれなくなることになります。

 

 

「確約手続きの導入」について

今回の報告書では、早期に対応すべき課題の第一番目に、確約手続の導入が挙げられました。こうした点から、消費者庁としても、確約手続の導入に意欲的だということが伺われます。

独禁法上、既に導入されている確約手続において行われることになるのは大きく次の3つです。

①   比較的軽微な行為を対象とする(入札談合や価格カルテル等は対象外

②   確約計画の策定、認定

③   行為、確約計画の内容等の公表

独禁法では、対象としない行為類型がある程度明確となっているのに対して、景品表示法では、悪質性の高い行為類型を必ずしも明確に区分けすることができません。

この点に、行政の裁量が入ることになりますが、本来であれば、対象とすべきではないような行為を対象とする、又は、その逆になるなどの課題があるように思います。

また、確約計画の策定、認定においては、事業者の負担が大きくなる可能性がありますし、せっかく、確約計画を策定して認定してもらったとしても、公表されることとなります。

 

B2Cの企業にとっては、「公表される=大きなダメージ」となりますので、公表されてまで、確約計画策定の負担を負うかというところが大きな問題になるように思われます。

 

 

「一般消費者の保護」が景表法の最終的な目標

 

 

景品表示法の最終的な目的は一般消費者の保護です。この観点から、消費者への返金を確約計画認定の要件とする場合(比較的軽微な行為に適用があると言われており、課徴金納付命令の対象とならない行為が対象になるのではないかと言われています。そうなると、金銭的な負担をしてまで対応するかというところに、少し疑問符が生じると思われます。)、公表されたうえに、金銭的な負担を負うということになります。

 

実際に、実効性のある確約手続とするためには、独禁法の手続をそのまま導入するというよりは、景品表示法やその目的に合った形での変更、導入が必要となると考えられます。

既述のように、景品表示法に確約手続を導入することには、まだ課題があるように考えられますが、事業者としては、確約手続が景品表示法に沿って、どのように変更・導入されるのか、そして、その要件や事業者へのメリット等の内容を注視することになるのではないかと思っております。

今後の課題

今回の報告書では、早期に対応すべき課題、中長期的な課題のいずれにも、景品表示法の実効性を高めるという趣旨の記載があります。このことから、景品表示法の違反は、事業者側、会社にとってメリットがないと感じるように、より法の実効性を高めていく(規制強化の方向)流れと思われます。

また、規制強化の軸となる可能性のある課徴金の強化や措置命令等の対象の実質的な拡大は、事業者にとって、大きな影響を与えることになります。今後の流れにより着目していく必要があるでしょう。

当事務所では、法改正などについても今後、随時情報を発信していく予定です。

景表法、薬機法、特商法などに関するご相談は、是非お気軽にお問合せ下さい。

 

雑誌における美容・健康の広告表現にも注意!

【雑誌の表現方法の注意点・ポイント】

 

最近は、美容の情報を簡単にSNSで収集できる時代になりましたが、まだまだ美容雑誌の需要も健在です。特に、付録に化粧品サンプルを付けて販売される雑誌などは、発売後すぐに売り切れてしまうなど、注目度の高さを感じます。そこで今回は、雑誌業界に携わる皆様のために、雑誌における、化粧品の広告表現の注意点・ポイントを解説します。

広告表現のルールを規定している薬機法

 

広告表現のルールを規定している法律はいくつかありますが、化粧品の広告を作成する際に注意すべき主な法律は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」といいます。)です。

 

薬機法においては、「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。」(薬機法第66条第1項)として、誇大広告の禁止を規定しています。また、「何人も、…医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ…承認又は…認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。」(薬機法第68条)として、未承認医薬品等の広告の禁止を規定しています。

 

 

つまり、化粧品の効能効果について、虚偽又は誇大な広告をしてはいけないし、化粧品であるにもかかわらず、医薬品的な効能効果を記載してはならない、ということです。なお、化粧品については、このような薬機法の表示ルールのガイドラインとして、日本化粧品工業連合会が、「化粧品等の適正広告ガイドライン」というものを策定しており、具体的な表示のルールを定めているので、どのような媒体であっても、化粧品の広告を作成する際には、同ガイドラインを参照し、遵守することを推奨します。

 

もう一度見直してほしい「広告3要件」

そして今回は、雑誌という媒体に焦点を当て、雑誌特有の注意点に触れたいと思います。出版社において、一つの(美容)雑誌を制作する際に、化粧品の広告として薬機法に反していないかどうかを検討するのは、企業から掲載を依頼され、具体的な商品が大きく掲載されているような、いわゆる広告ページのみなのではないでしょうか。もちろん、そのような広告ページも、薬機法に反してはいけないので、内容をチェックする必要がありますが、それだけでは足りません。薬機法における広告表現の規制対象は、広告の3要件といって、

①顧客を誘引する意図が明確(誘引性)、

②特定の商品名が明らか(特定性)、

③一般人が認知できる状態(認知可能性)

という条件をクリアしたものすべてになります。

 

美容ライター、コスメ好きが「〇〇」と語る表現はNG?

 

 

 

例えば美容雑誌の特集で、美容家がおすすめする具体的な商品に関する座談会記事などをよく見かけますが、それは、上記広告の3要件を満たしている可能性が高いです。そうであるならば、その座談会記事自体も、具体的な化粧品の広告に該当し、薬機法の広告規制を受けることとなります。薬機法の広告規制によれば、上記のとおり、医薬品的な効能効果を記載してはならないことになるので、「このクリームでシワが改善します」と言った内容を座談会記事の中に記載してはいけないこととなってしまいます。

 

今のところ、例に取り上げたような座談会記事が、薬機法違反だとして摘発されたケースはありませんが、理論上は上記のような思考過程をたどると、薬機法違反になる可能性があります。

 

実務の動きを確認しつつ対応することになろうかと存じますが、雑誌の場合、薬機法の広告記載の対象となるページは、意外と多岐にわたるのだということを、知っておいていただけたらと思います。

 

今回は、化粧品の広告の中でも、特に雑誌業界に絞った内容でお話をいたしました。適切な広告表現を心がけつつ、美容業界を盛り上げていっていただければ幸いです。

アマゾン薬局と薬局事業のDX

アマゾン薬局と薬局事業のDX

今回は最近よく耳にする“アマゾン社が薬局事業に参入する”、いわゆるアマゾン薬局に関して、お話をしたいと思います。と言っても、アマゾン薬局自体に関する説明というよりも、何故アマゾン社が日本の調剤薬局事業に参入を宣言してきたのかという背景を中心に説明をしていきます。

昨今、調剤薬局事業にもDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるよう規制緩和が進められています。2019年に認められたオンライン服薬指導を皮切りに、2021年にはオンライン資格確認、とうとう2023年1月には電子処方箋の運用が開始されることになっています。他方で同時並行的に保険医療機関でもオンライン診療、オンライン資格確認は認められており、また、電子処方箋の運用も薬局と同様に推進され、医療機関側も薬局事業と同様にDXが進められているのです。

では、薬局のDXが進むことと、アマゾン薬局が進出することに、どのような関係があるのでしょうか。それにはまず、電子処方箋の役割について、簡単に説明をしておく必要があります。

 

電子処方箋の流れ

皆さんが調剤薬局で薬を受け取るまでの流れを思い出してみてください。医療機関で診察を受けた後、紙の処方箋を受け取り、それを調剤薬局に持参して、薬が渡されるという流れが一般的かと思います。(一部では医療機関で薬まで渡されますが今回はそのケースは除きます。)

電子処方箋の運用が開始された場合には、医療機関で発行される紙の処方箋が電子処方箋として置き換わることになります。ここで電子処方箋と混同しないようにしていただきたいのが、処方箋のFAXやアプリで写真を撮って薬局に送付する場合です。

これらは、あくまで紙の処方箋の写しに過ぎないため、原本である紙の処方箋は別途薬局に渡す必要があります。一方、電子処方箋は対象の薬局に送信さえすれば、電子処方箋自体が原本となりますので、FAXやアプリと異なり薬局に行って紙の処方箋を渡す必要がなくなるのです。

 

処方箋のやり取りがオンラインで可能になるとどう変わる?

 

処方箋のやりとりがオンラインで可能になると、後は、保険証の確認や薬剤師による服薬指導の実施が問題となりますが、これらは既に行われているオンライン資格確認やオンライン服薬指導により、薬局に直接行くことなく、オンライン上で実施することができます。更に言えば、オンライン診療で診察も実施されれば、医療機関に行くことなく、電子処方箋が発行され、任意の薬局に電子処方箋を送信し、服薬指導を受け、後は薬局が薬を患者さんのご自宅に配送すれば、患者さんは自宅にいながら診察から薬の受け取りまで全てが完了できるのです。

ここでポイントとなるのが、最後の薬の配送です。ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、アマゾン社は物流に関してとても強い自社ルートがあるため、通常の薬局が宅配便等で行わなければならないところ、自社のルートを用いて配送を行うことができます。したがって、その物流の強みを活かして他の薬局にはできないようなサービスが提供可能ということで、参入を宣言したと考えられます。

 

 

 

 

 

 

アマゾン薬局の早期参入は可能?

 

それでは、アマゾン薬局が描くような全てオンラインで繋ぐような薬局事業は、市場参入し、直ぐにシェアを獲得することが可能なのでしょうか。 色々な考え方があるかと思いますが、直ぐには難しいものと考えられます。というのも、調剤薬局のオンライン化は、調剤薬局のみならず、医療機関や患者さん自身も対応する必要があります。

具体的には、医療機関側のDXが進んでいないと電子処方箋の発行以前に、オンライン診療も難しく、患者さんは来院する必要があります。しかし、来院して処方箋を受け取れば、紙の処方箋で医療機関に近い薬局に行けば済んでしまいます。そうすると電子処方箋が導入されたからと言って、すぐにオンラインを中心とした薬局が現在の薬局に取って代わるとは考え難いのです。また、患者さんの全てが電子処方箋やオンラインに対応できるかという点や検査が必要な患者さんも相当数いることを考え併せると、全てオンラインで行うことは難しく、また定着するにも時間がかかることは想像に易いのです。

 

医療機関や薬局のDXに向けて

しかし、これは現在の話に過ぎません。数年後になるかもしれませんが、医療機関や薬局のDX化が当たり前となり、医療業界でもオンラインが基本となる時代は、いつかは到来しても不思議ではありません。

 

また、今もリフィル処方等も法律的には認められており、一般的になれば、調剤薬局がDXされるだけでも、全てオンラインで対応することも可能です。このように、オンラインで対応する薬局が当たり前となり、いつか今の薬局事業のイメージが変わることも想定して準備をしていくことが必要と考えられるでしょうい。

最近話題のCBDって?~今更聞けない話題の成分を弁護士が解説~

最近よく、美容、健康に関する製品で、CBD(カンナビジオール)が配合された製品を目にしたり、耳にしたりすることはありませんか?今回はこの、CBDについてお話をしたいと思います。中学高校と化学式に苦労し、「もうこの絵は見たくない」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、お付き合いください。

 

CBDの効能効果と使用方法について

CBDとは次の化学式で表される大麻草などに含まれる成分のひとつで、抗不安、抗てんかん、神経保護、血管弛緩、抗けいれん、抗虚血、抗ガン、制吐、抗菌、抗糖尿、抗炎症、骨の成長促進等主に鎮静化作用を有するということで近年注目を集めている成分です。

 

 

このように多様な効能効果を有するCBDは、健康食品として販売されていることが多く、一方で皮膚に塗っても効果があるとして、化粧品としても販売されることもあり、日本における市場も拡大傾向にあります。

 

CBDとTHC

CBDとセットで必ずと言っても良い程耳にすることがあるのは、THC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)です。CBDとこのTHCは切っても切り離せない関係にあります。

 

THCは上の化学式で表されますが、CBDと同様に大麻草などに含まれる成分のひとつです。しかし、THCは正に大麻(マリファナ)の主成分で、精神作用と言われる中枢神経への影響が大きく、常習性も高いため、CBDとは異なりTHCが含まれる製品は大麻取締法等の法律で厳しく規制がされています。

また、CBDとTHCは同じ大麻草から抽出されますが、CBDは大麻草の種子等から抽出されるのに対し、THCは種子以外の花や葉、根等から抽出されます。そして、CBDが抽出される種子等に関しては日本の法律では規制の対象とされていません。

大麻草の種子の有名な使用例として挙げるとすれば、七味に含まれている麻の実が大麻草の種子に該当します。一方でTHCが抽出される部位は法律で規制の対象となっています。このようにTHCはその成分のみならず、原料までが規制されているのです。他方でCBDにはそのような精神作用はないため、規制の対象とはなっていないのです。

しかし、同じ大麻草から抽出されるTHCはCBD製品に混入することもあり、THCが混入したCBD製品は規制の対象になってしまうため、THCとCBDは切り離せない関係にあるのです。

 

CBDと輸入ビジネス

上記のとおり、CBDは大麻草から抽出される成分ですが、日本国内で栽培された大麻草から成分を抽出し、販売されている製品はありません。日本において、大麻草を栽培することについては、許可が必要となりますので、原料である大麻草から栽培して、CBDを抽出するというのは、今はまだ日本では行われていないのが現状です。

そのため、CBDの原料やCBD自体の入手は海外から輸入するのが主流となっていますが、輸入をする際にもTHCが問題となってきます。

 

すなわち、THCは上述したとおり、大麻取締法の範疇で規制される成分に該当します。そのため、CBD製品を輸入した際には、税関でTHCが含有されているか成分検査が行われることになります。CBD製品は、製法に応じて大きくアイソレイト、ブロードスペクトラム、フルスペクトラムと分類されていますが、アイソレイトとブロードスペクトラムは基本的にTHCフリー、フルスペクトラムはTHCを含有していることが前提となり、日本の法律と抵触するため、輸入は認められていません。

また、商品としては上記のように分類され、THCフリーを謳っていたとしても、現在輸入時には検査をされるため、THCが含有されるということになれば、その輸入しようとしているCBD製品は輸入できなくなることもあります。

 

さらに言えば、仮にTHCの含有検査の結果THCが含有されている、または、検査行われず輸入をできたとしても、後からTHCを含有しているということが発覚した場合、大麻取締法に反するとして、重い処罰を受ける可能性もありますので、十分な注意が必要となります。

 

現在でも、厚生局においてはCBD製品を輸入する際、事前に書類一式の提出を求める等事前の対策が行われたり、上記のように輸入時の検査等が課されたりする等してTHCの取り締まりを厳しくしています。

 

CBDと今後の規制

海外においてはCBDの有効性・有用性から、マーケットが急速に拡大する傾向しており、それと共に様々な商品が展開されているため、日本においても輸入をして、販売をし易い環境が醸成されつつあるという背景があります。

他方で上述してきたとおり、CBDにはTHCという規制対象となっている成分が含有されるリスクが伴います。

 

そのため、今後CBDにはより厳しい規制が敷かれる可能性があります。大麻取締法等改正にむけた検討会では必ずCBDの状況が触れられており、その有用性と共にTHCとの関係は常に議題に挙がっている状況です。

また、CBDの多様な効能効果から、海外では医薬品として用いられている例も少なくありません。日本においても、それだけの効能効果を有する成分である以上、医薬品として扱うべきだという意見も少なくありません。仮にもしCBDが医薬品として認定されるとすれば、現在健康食品や化粧品として扱われている商品が、医薬品の許認可なしでは扱えなくなることとなり、このような観点からも、引き続き規制の動向を注視していく必要があります。
 

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CBD商品でよくあるストレス解消、痛みの緩和、不眠症改善など、身体の機能を改善する表現や、効能効果を暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

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EMSよくあるNG表現例「ダイエット効果」広告審査例(2022年9月メルマガ)

2022年9月にコラム紹介メルマガでご紹介した薬機法広告審査例をご紹介します。

 

【EMSよくあるNG表現例】

 

身体の奥まで刺激し、ダイエット効果が期待できます」

リスク度:★★

 

修正案:「身体を刺激することで、筋肉トレーニングをすることができます」

 

修正理由:

痩身効果を暗示し、医薬品的効能効果に該当します。

化粧品の肌への浸透表現と同様に効果が及ぶ範囲は、「角質層まで」であることを明記する必要がありますが、EMSとの相性を考えて作用する範囲は削除しました。

 

ダイエット効果は医療機器的な効能効果を暗示する表現となりますので、ガイドラインで認められている「筋肉トレーニング」としました。

 

広告表現にお困りの方は、薬機法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所へ是非お問い合わせ下さい。

 

また、このような広告審査にまつわる情報を発信しておりますので、是非メルマガ登録も宜しくお願い致します。

「美容液が肌の奥まで浸透します」広告審査例(2022年7月メルマガ)

2022年7月コラム紹介メルマガでご紹介した薬機法広告表現NG例と言い換え表現例をご紹介します。

弊所メルマガで毎月審査例を公開しておりますので、ご興味ございましたら是非メルマガ登録をお願い致します。

 

【よくある表現例】

 

「美容液が肌の奥まで浸透します

リスク度:★★

 

修正案:「美容液が肌の角質層まで浸透します」

 

修正理由:
肌への浸透表現をする場合には、角質層までであることを明記する必要があります。
「肌の奥」という表現は、角質層の範囲を越えて浸透する印象を与えるため不適切となります。

 

 

広告表現でお困りの方は、薬機法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所へ是非ご相談下さい。

大幸薬品「クレベリン」への措置命令に対する弁護士解説

消費者庁は4月15日、二酸化塩素ガスで「空間除菌」ができるとしていた「クレベリン」シリーズの置き型タイプの2商品を展開する「大幸薬品株式会社」(大阪府吹田市)に対し、空間浮遊のウイルス・除菌には効果を裏付ける根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、措置命令を出しました。

 

 

同社の「クレベリン」シリーズについては、1月20日にも別商品「スティック ペンタイプ」「スプレー」など、4商品に対する措置命令が出されていましたが、同社は不服として「仮の差し止め申し立て」をしていました。しかしながら、4月13日、同社はこの措置命令の差し止めを求めた仮処分申し立てが東京高裁に退けられたと発表しました。

 

 

同社HPでは、今回の措置命令について「今後、措置命令の内容を精査した上で、適切な対応を検討いたします。当社商品をご愛顧いただいているお客様、お取引先様、および株主様をはじめとする関係者の皆様には、多大なご心配をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます」としています。

 

 

消費者庁の発表によると、今回の一連の流れは次のようになります。

根拠となる状況と広告表現が異なったことが問題

今回の措置命令において、裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められなかったという点について、当事務所で広告審査を担当している柳澤里衣弁護士は「今回消費者庁の発表を読む限り」と前置きした上で、「CMや広告で示されている環境、部屋の状況と、実験をしてエビデンスとして提出した環境は明らかに違う。同じ条件下でのエビデンスを取る必要があった」と解説。

「実際、広告や表示では、リビングや寝室、キッチンやトイレなどでの使用が表現されていますが、これらは実験環境と全く同じではありません」

 

 

 

 

柳澤弁護士はまた、「コロナ禍になってから、除菌や抗ウイルスなど消費者の関心やニーズにうったえかけるような商品が非常に多く出回っています。企業にとっては人々の健康のために開発・販売している商品でしょうし、消費者もそれを望んでいることではあっても、広告でうたっていいこととダメなことがあります。

今回の一件は、これからも同じような商品に対する措置が出るかもしれないという点と、こうしてニュースになることで、消費者側の意識も高めて 【広告表現には気を付けましょう】という注意喚起にもつながるのではないでしょうか」としています。

 

こんなエビデンスで、こんな広告表現をうたいたい、そのように思われた場合は、ぜひ専門家である当事務所にご相談ください。

2021年の当事務所へのご相談傾向について~薬機法相談が半数を占める

ご相談の約半数は薬機法関連、新規健康分野参入に関する問い合わせも増加傾向

2019年末に世界で初めて新型コロナウイルスが確認されてから、2年以上が経過しました。

度重なる緊急事態宣言の発出による外出自粛、マスク生活、在宅ワーク・・・ニューノーマル時代の様々な変貌を遂げた2年間。各企業様とも、新規事業を立ち上げたり、EC分野に新規参入したりと、努力を続けてこられています。



2021年の当事務所に寄せられた相談の内容を大まかに分別すると下記のようになります。
最も多くご相談を寄せられているのが「薬機法」に関する相談です。全相談のうち、半分程度を占めました。



そのほか、新規事業立ち上げ等、特商法関連(定期購入・サブスクなど)、未承認医療機器についてなどが続きます。
前年まで薬機法・景表法での広告表現に関するお問い合わせが大半を占めていましたが、2021年は、新たにECで健康分野の商品・サービスを始めようという事業立ち上げ、新規分野のスタートアップに関する相談件数も増えました。コロナ禍をビジネスチャンスにとらえようとする動きといえるでしょう。




当事務所のBAL弁護士(美容広告を専門に審査する弁護士)は、「従来別な商品を売っていた企業が新しい商材に着手する場合、パッケージを一度作ってしまうと、その後で変更したり削除・修正をしたりするのには手間がかかります。ですから、事業を走り出す前に、どのような準備が必要で、どのような関連法規があるかなどをご相談に見える方が多かったです」と分析しています。



薬機法・特商法・景表法などの関連法規に関するご相談、また、新規分野へのスタートアップ支援など、様々なご相談に対応しておりますので、是非一度、お気軽にお問合せ下さい。


初回のご相談は無料です。