美容機器の製造販売における薬機法の注意点とは?

最近、エステなどに使う機器を外国から輸入して販売したいのだけど、日本ではどうしたらよいのか?といったご相談をいただくケースが増えています。このとき、注意しなければならないのは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称「薬機法」)」です。
 

1.「業として」販売するかどうか

薬機法では、「医療機器」を業として製造販売するには、厚生労働大臣から、製造販売の許可と品目ごとに個別の承認を受けなければならないとされています。これら、製造販売の許可や個別の承認を受けずに製造販売した場合、違法行為として薬機法上の罰則の対象となります。
もっとも、「業として」ではなく、個人間で転売したり譲渡する分には、薬機法上の許可や承認は不要です。しかし、転売が事業として成り立つレベルに至っていれば、それは「販売業」とみなされるおそれがあるため、注意が必要です。
先のご相談の場合も、事業者が「業として」販売することを検討しているのであれば、当該機器が薬機法上の「医療機器」に該当するかどうかが、まずは問題になります。
 

2.「医療機器」に該当するかどうか

次に、薬機法上、「医療機器」とは、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう」と定義されています。つまり、人の身体の構造や機能に影響を及ぼす機器であれば、医療用であるか否かにかかわらず、「医療機器」に該当する可能性があるわけです。
もっとも、薬機法では、そのような機器に該当するからといって、その全てを「医療機器」としているわけではなく、そのうち「政令で定めるもの」に限定しています。これを踏まえて、薬機法施行令の別表第1では、「医療機器」の範囲として、機械器具だけでも84も定められています。その中身を見ると、明らかに医療用と思われる機器が数多く列挙される中、「家庭用電気治療器」や「磁気治療器」など、判断の悩ましいものもあります。
 

3.「医療機器」に該当しなかったとしても・・・

前述のとおり、薬機法上の「医療機器」とは、人の身体の構造や機能に影響を及ぼす機器で、かつ、薬機法施行令に定めるものを指す以上、これらに該当しない限り、「医療機器」には該当しないはずですし、厚生労働大臣の許可や承認なく製造販売しても問題ないはずです。ところが、実際には、人の身体の構造や機能に影響を及ぼすと思われる機器については、薬機法施行令に定めるものに該当するか否かにかかわらず、行政指導が入っている例が散見されています。
加えて、令和3年8月1日から、医薬品や医療機器について虚偽・誇大な広告を行った者に対して、違反行為を行っていた期間(3年間を上限とする)中における対象商品の売上額の4.5%を課徴金額として課されるようになります。
そのため、薬機法上の「医療機器」については、該当する場合はもちろん、そのおそれがある場合も、行政の指導や運用に細心の注意を払っておく必要があるわけです。
 

「美容機器」か「医療機器」かに迷ったら是非相談を


取扱商品が「医療機器」に該当するかどうか相談したい、というご相談が多くなってきております。
近年では海外から美容機器を輸入しようとしているが、税関で止まってしまうか心配、もしくは止められてしまったのでどうすればいいか分からないというご相談内容です。
 

医療機器かどうかはあくまでも「行政が判断するもの」ですので、弊所で判断することはできかねますが、「あらかじめどこに確認すればよいのか」や、医療機器と判断されないために「どのような広告表現で商品を宣伝するのか」をアドバイスさせて頂いております。
輸入ができても、医療機器のような効果効能を広告すると薬機法違反となりますので、最後まで注意が必要です。
 
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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は年に4回、弊所主催のセミナーを開催しております。弊所へのご相談者含め様々な方から
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などのお声を頂戴しておりましたので、セミナーテキストの一部を抜粋したサンプルテキストを公開しております。
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オンラインサロンと特定商取引法

1 オンラインサロンとは

 最近、オンラインサロンという言葉をよく聞きませんか?オンラインサロンというのは、月額会費制のWeb上で展開されるコミュニティ(クローズド)の総称だそうです(Wikipediaより引用)。有名どころだと、堀江貴文さんの「堀江貴文イノベーション大学」やキングコングの西野亮廣さんの「西野亮廣エンタメ研究所」などが挙げられます。月額の会費を支払って、そのコミュニティの中で様々な体験を共有する、というサービスです。

2 オンラインサロンと特定商取引法

 オンラインサロンの運営方法には2種類あります。自らオンラインサロンのプラットフォームを構築して運営する方法と、運営会社のプラットフォームを利用してオンラインサロンを主催する方法です。
 前者の場合、オンラインサロンの主催者は、参加者から月額会費を徴収して、オンライン上のコミュニティで様々な価値を提供します。この場合、主催者の行為は、特定商取引に関する法律(特定商取引法)の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになりますので、同法11条以下の規定の適用を受けることになります。
 後者の場合、オンラインサロンの主催者は、運営会社のプラットフォームを利用する形になり、プラットフォームを通じて個々のオンラインサロンのサービスを提供する運営会社の行為が特定商取引法の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになります。

3 「通信販売」についての特定商取引法の規制

 オンラインサロンの主催者又は運営会社に適用され得る特定商取引法上の規制は以下のとおりです。

<行政規制>
・広告の表示(法11条)
・誇大広告等の禁止(法12条)
・未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法12条の3、12条の4)
・未承諾者に対するファクシミリ広告の提供の禁止(法12条の5)
・前払式通信販売の承諾等の通知(法13条)
・契約解除に伴う債務不履行の禁止(法14条)
・顧客の意に反して契約の申込みをさしようとする行為の禁止(法14条)
・業務改善指示(法14条)、業務停止命令(法15条)、業務禁止命令(法15条の2)
 等の行政処分及び罰則

<民事ルール>
・契約の申込の撤回又は契約の解除(法15条の3)
・事業者の行為の差止請求(法58条の19)

 特に重要なのは、法11条の広告の表示です。通信販売は、隔地者間の取引であり、消費者にとっては広告が唯一の情報源となるため、トラブルの事前防止として詳細な表示義務が規定されています。販売価格や支払時期等の取引条件はもちろん、オンラインサロンの主催者や事業者の身元を明らかにしておく必要があり、個人の場合には、その氏名、住所、電話番号の表示が必要となります。もっとも、広告態様や広告スペースは千差万別であるため、表示が要求される事項のうちの一部については、消費者からの請求があった場合に必要事項を記載した書面を遅滞なく交付する旨を表示していれば、これらの事項の表示を省略することができます。
 なお、特定商取引法では多くの取引形態についてクーリングオフ制度が導入されていますが、通信販売については、クーリングオフ制度の適用はありません。通信販売の場合には、事業者が規定した返品特約(返品の可否、条件、送料の負担の表示)に従うことになりますので、返品に関する事項については、表示の省略はできません。

4 おわりに

 以上のとおり、オンラインサロンを主催・運営する場合には、特定商取引法の通信販売の規制の適用を受けることになります。
 オンラインサロンを主催・運営してみたいけど、Web上に自分の名前や住所、電話番号といった個人情報を掲載することに抵抗がある場合には、オンラインサロンのプラットフォームを利用することを検討してみるとよいかもしれません。

弁護士による電話勧誘販売におけるチェックサービス

 電話勧誘販売を行う事業者は、特商法という電話勧誘販売特有の規制が存在するということを認識しなくてはなりません。電話勧誘販売とは、事業者から消費者の自宅や職場に電話をかけたり、消費者から電話をかけさせたりし、その電話で商品やサービス等の勧誘をして申し込みを受ける販売方法です。
 電話勧誘販売は、通常の店舗販売等とは異なり、基本的に消費者は望んでいないにもかかわらず不意に勧誘を受けるものです。そのため、消費者に断る機会を与えたり、事業者側の執拗な勧誘行為を禁止したり、口頭で申し込んだ内容を確認する機会や、申込後に契約を維持してよいかどうかの熟慮期間を設けたりする必要があります。そのため、次のような規制が存在します。
 

1.事業者の氏名等の明示(法第16条)

 事業者は、電話勧誘販売を行うときには、勧誘に先立って、消費者に対して以下の事項を告げなければなりません。

・事業者の氏名(名称)
・勧誘を行う者の氏名
・販売しようとする商品(権利、役務)の種類
・契約の締結について勧誘する目的である旨
 

2.再勧誘の禁止(法第17条)

 特定商取引法は、事業者が電話勧誘を行った際、契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。
 

3.書面の交付(法第18条、法第19条)

 特定商取引法は、事業者が契約の申込みを受けたとき、あるいは契約を締結したときには、契約書面を消費者に渡さなければならないことを定めています。
 

4.前払式電話勧誘販売における承諾等の通知(法第20条)

 商品引き渡しを受ける前に代金支払を受ける場合には、別途指定された内容を記載した書面を消費者に渡さなくてはならないことがあります。
 

5.その他禁止行為(法第21条)

・売買契約等の締結について勧誘を行う際、または締結後、申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、事実と違うことを告げること
・売買契約等の締結について勧誘を行う際、故意に事実を告げないこと
・売買契約を締結させ、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、相手を威迫して困惑させること
 

違反しないために

 特商法は、違反すると行政から指導を受けるだけでなく、業務停止命令や業務禁止命令といった強力な命令を受けることもあります。リスクは少なくありませんので、まずは規制内容を正確に理解しましょう。他にも、勧誘の際に薬機法や景表法にも注意しなくてはなりませんので、その辺りの法規制についても改めて確認しましょう。

【景表法解説】化粧品のモニター募集に謝礼を用意してもよい?

商品を買ったときに、「おまけ」がついてきたら嬉しいですよね?もし高価なおまけがついてくることが約束されていたら...商品ももちろん大事ですが、おまけにつられて商品本体を買ってしまうということもありえるのではないでしょうか。実は、そのような状態を規制するための法律があるのです。今回は、景品表示法(以下、「景表法」といいます。)における景品類規制について、お話します。
 

景表法とは

景表法上の「景品類」とは、①顧客を誘引するための手段として、②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する、③物品、金銭その他の経済上の利益のことを言います(景表法2条3項)。
 

景表法では、これらの景品類に該当するものについて、A総付景品、B一般懸賞、C共同懸賞という類型に分類した上で、提供できる限度額を設定しています。そして、その限度額を超えて景品類を提供した場合には、行政が措置命令を出すなどして、景品類の提供を禁止することなどができます。
 

景品はいくらまで大丈夫?

肝心の分類とその限度額ですが、一定の条件に該当する者全員に物品を提供する場合、「A総付景品」に該当します。
そして、「A総付景品」の場合、取引価額が1000円未満の場合は景品類の最高額は200円まで、取引価額が1000円以上の場合は景品類の最高額は取引価額の10分の2まで、という制限があります。「A総付景品」の具体例としては、「先着○名様にもれなく○○プレゼント」というようなものがあり、このパターンが最も多いです。
 

次に、くじやコンテストによって当選者や価額を定める場合、「B一般懸賞」に該当します。
そして、「B一般懸賞」の場合、取引価額が5000円未満の場合は、景品類の最高額が取引価額の20倍とされ、取引価額が5000円以上の場合は、景品類の最高額は10万円とされています。なお、景品の総額については、取引価額にかかわらず、懸賞に係る売上予定総額の2%までという制限があります。「B一般懸賞」の具体例としては、抽選券を商品に同封し、抽選で数名に景品が当たるといったものがあげられます。
 

そして、多数の事業者が共同して懸賞を行う場合、「C共同懸賞」に該当します。
この「C共同懸賞」の場合、取引価額にかかわらず、景品類の最高額は30万円、景品類の総額は懸賞に係る売上予定総額の3%とされています。「C共同懸賞」の具体例としては、商店街のイベントが考えられます。
 

化粧品モニターの場合は?

では、景表法においてこのような景品類の規制がある中で、化粧品のモニター募集をした場合に、謝礼を渡すということは認められるのでしょうか?
 

今般、口コミサイトを運営したり、メーカーが自社の宣伝をしたりするに当たり、モニターを募集するということが多く行われています。その際、モニターには、商品サンプルを渡すこととなり、そのサンプルを使ってもらって口コミを投稿してもらうこととなりますが、サンプルとは別に、謝礼を渡すことは認められるか、事業者としては気になるところです。
 

ここで、景表法上の「景品類」の定義に戻りましょう。
口コミサイト運営者にとって、募集するモニターは、いわゆる顧客とは異ります。また、メーカーがモニターを募集する場面を想定しても、モニターは純粋な顧客とは異ります。そうしますと、そもそも①顧客を誘引するための手段としてという要件(顧客誘引性)がありませんので、景表法上特段問題はないこととなります。
 

景表法規制対象外の例

また、少し脇道に逸れた話になりますが、実は、「5個買った人は、100円引き」といった値引きや、アフターサービスについては、景表法の景品類規制の対象から外れます。
 

このとき、先程紹介した「A総付景品」と混同しやすいのですが、実質的に同一の商品・サービスであれば、値引きととらえ、規制対象から外れるとされています。
そのため、例えば、「コーヒーを3杯飲んだら、1杯無料券プレゼント!」というような場合も、4杯分のコーヒーを飲んだとしたときに1杯分が安くなっている、というように整理し、トータルで少し安くなった、すなわち値引きがあったということで、規制から外れることとなります。
 

その上、「景品類」の定義をよく見てみると、②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する(取引付随性)という要件がありますが、これに当たらない場合は、当然「景品類」ではなくなりますので、景品類の規制からも外れることとなります。
具体的には、ウェブサイトなどで、商品の購入や来店を条件とせず、ウェブサイト上から申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画については、景品類規制がかかりません。このような企画は、オープン懸賞と呼ばれています。
 

このように、一見して、景表法上の規制がかかりそうに思えるものでも、よくよく検討してみれば特段景品類の規制にかかることなく実施できる企画もありますので、事業者の皆様におかれましては、いろいろとアイデアを絞ってみてはいかがでしょうか。
 

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薬機法違反をチェック!弁護士が健康食品・化粧品等の広告違反事例を解説

1薬機法とは?違反するとどうなるの?

薬機法とは、医薬品のような人体に対して強い効果をもつものについて、厚生労働省がその効果ないし副作用の有無について確認の上承認することで、国民の健康を守ろうとする法律です。そのため、そういった承認なくして、医薬品又はそれと同等の効果をもつ商品について、広告する行為は、薬機法第68条に違反します。また、効能効果に関して虚偽・誇大な広告をしてしまうと、薬機法第66条第1項に違反することになります。
薬機法に違反すると、最初は行政指導があり、その後行くところまで行くと、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金(薬機法第85条)を課せられる可能性があります。

2健康食品と薬機法

健康食品を販売する際には、医薬品と思われるような広告をしないように最大限注意しなくてはなりません。医薬品と思われる広告とは、①疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物、又は②身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物をいいます。例えば、「がんが治る」「風邪を予防する」という表現は、①にあたりますし、「免疫力向上」「疲労回復」「若返り」「鉄分の吸収を促す」といった表現は、②に当たることになります。

3化粧品と薬機法

化粧品は、薬機法上、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物をいいます。例えば、化粧水、ファンデーションといったものはもちろん、シャンプー、歯磨き粉、香水といった体につけることで、清潔にしたり、香りづけしたりする物が化粧品に当たります。
化粧品は、その表現が56種類に限られており、その範囲でしか訴求できません。56種類の他にいえることとしては、メーキャップ効果があります。これは、その商品を肌に上塗りすることで、色彩的に変化が見られる効果をいい、肌自体が変化しているわけではないため、許されております。
化粧品については、その他にもいろいろな規定があり、例えば、「美肌力No.1」など、効能効果に関する最大級表現は禁止されていたり(「売上No.1」は、事実であれば問題ありません)、医師や美容師などの専門家による推薦や、浸透表現の際には角質層までと明記しなくてはならないこと等のルールはいくつかありますが、これらの規定の詳細は、日本化粧品工業連合会という団体が出している「化粧品等の適正広告ガイドライン」を確認することになります。

4美容器具と薬機法

美容器具で重要なことは、医療機器を想起するような広告をしないことになります。医薬品と似ているのですが、①疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物、又は②身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物だと、医療機器と扱われてしまいます。
例えば、「ニキビの治療」は①にあたりますし、「シワが無くなる」「肌質が改善し、美白になる」「脂肪細胞を破壊する」は②にあたります。美容器具の広告を作成する際には、①②に該当しないように注意していただく必要があります。

5まとめ

これらは、社内の検討だけで答えが出せるものではなく、類似事例の捜索や行政への問い合わせを積み重ねて検討していく必要があります。広告に不安があるようでしたら、一度当該分野専門の法律事務所に相談に行くべきです。

弁護士による特商法解説

「特商法」という法律を聞いたことはありますか?サブスクリプション契約をはじめとするオンラインビジネスの普及に伴い、近年改正も多く、活発に議論されている分野です。今回は「特商法」とは何か?どんな法律なのか?という疑問にお答えします。
 

特商法とは

まず、「特商法」とは、「特定商取引に関する法律」の略称です。これは、事業者による悪質な勧誘行為を防止し、消費者の利益を守るために作られた法律です。そして、「特定商取引」とは何か?と言うと、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売等のことを指しています。
 

そこで、特にインターネット上で商品を販売する業者などは、この特商法の規定に沿ってウェブサイトを運用する必要があり、注目すべき法律になっています。このように、あくまでも特商法は、事業者が守るべき法律ですので、事業者側に立つ皆様にはしっかりと特商法を守った業務をしていただき、消費者側に立つ皆様にはこのような法律が消費者の安全・利益を守っていることを知っていただいて、ご自身の商品購入などの機会に悪質業者を見抜ける目を養っていただけたらと思います。
 

注意点は?

ただ、特商法の規定を守るといっても、どのようなことに気をつけなければならないか?は、特商法の条文を見るだけではわかりにくいことが多いです。そのようなときに確認すべきは、消費者庁が発表している各種ガイドラインです。
 
ガイドラインは、具体例でイラストを交えながら説明しているものもあり、比較的わかりやすく書かれていますので、判断に迷ったときは一度参照してみるとよろしいかと存じます。また、消費者庁が運営している、「特定商取引法ガイド」というウェブサイトも非常に参考になりますし、条文と向き合うよりも読みやすいかと存じますので、確認してみることをおすすめいたします。
 

サブスクリプションに関する特商法

今回は特商法の大まかなご案内なので細かな事例をご紹介することは控えますが、特商法関連で特に近年注目が集まっているのはサブスクリプションでの契約についてです。
 
サブスクリプションでの契約をすると、消費者は、商品やサービスを利用できる期間に対してお金を払い、当該期間内に当該商品やサービスを利用する権限を得ることとなります。このようなサービスは近年業種の幅が広がり、様々なものが出てきていますが、従来はそれほどポピュラーではなかったことから、サブスクリプションでの契約そのものに対する規定はありませんでした。
 
しかし、サブスクリプションでの契約の場合も、インターネット上で顧客を集めるのであれば、特商法上の「通信販売」に該当しますので、特商法上の通信販売をする場合の規定に沿ったウェブサイトの運営をする必要があります。
 

事業者が気を付けるべきこと


ここでは、簡単に事業者側でどのようなことに気をつけなければならないか?を簡単に説明しておきたいと思います。
もっとも気をつけるべきは、広告となるウェブサイトを作成する段階です。特商法の規定は、消費者に対して誤解を与えないようにするために設置されているという大原則から、広告段階で適切に取引内容を説明することが必須です。
これは景品表示法でも同じような発想がありますが、事業者の立場からすると、少しでも多くの顧客を誘引したいと思いすぎると、うっかり特商法違反と評価されうる記載をしてしまうことがあります。そのようなときに特商法違反として、消費者庁から業務停止命令等を受けてしまっては本末転倒になってしまいます。
 

そうならないためには、一度広告を作成できましたら、特商法に違反していないかご自身でもチェックしていただき、ご不明点やご自身のチェックのみではご不安だという場合には、弁護士にご相談いただければと思います。

特商法の表記にお悩みの方は薬機法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士にご相談ください


 

丸の内ソレイユ法律事務所は、2016年、弁護士業界ではいち早く美容健康分野に対するリーガルサービス提供を開始し、現在では健康博覧会、ビューティーワールド ジャパン、ダイエット&ビューティーフェアでの薬機法セミナー講師を務めるなど、美容健康業界に対する広告適正化に向けての啓蒙活動も行っている法律事務所でございます。
 

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広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
浸透表現以外にも、肌質の改善を謳ったり、若返りを暗示する表現だったりと、身体に影響を及ぼす表現は薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

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薬機法に基づく広告規制の判断枠組みについて

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づく広告規制の判断枠組みの概要を以下ご説明します。

 

1 薬機法の主な広告規制の概要

薬機法の主な広告規制は、医薬品等の虚偽誇大広告を禁止する第66条第1項及び第2項、そして、未承認医薬品等の広告を禁止する第68条の2つです。

 

(1)虚偽誇大広告の禁止(第66条第1項及び第2項)

以下の要件をみたすと、第66条第1項に違反します。

①何人も
②医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の
③名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、
④明示的であると暗示的であるとを問わず、
⑤虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

なお、第66条第2項には、医師等による効能等の保証広告を禁止する規制が、以下のとおり定められています。

①医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の
②効能、効果、性能について
③医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれのある広告

当該広告は、第66条第1項に違反するものとされます。

 

(2)未承認医薬品等の広告禁止(第68条)
以下の要件をみたすと、第68条に違反します。

①何人も
②未承認医薬品、未承認医療機器又は未承認再生医療等製品について
③名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する
④広告をしてはならない。

第66条と異なり、虚偽・誇大ではなく事実であっても直ちに違法となる点に注意が必要です。

 

2 注意すべき主なポイント

(1)主体

薬機法の広告規制の対象は「何人も」とされており、国内の製造販売事業者だけでなく、海外の製造販売事業者も規制の対象となりえます。

 

(2)医薬品等の定義

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品について、薬機法の第2条第1項から第9項に定義が定められています。「医薬品」を例にとってみると、「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが『目的』とされている物…」(同条第1項第2号)、「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが『目的』とされている物…」(同項第3号)というように、治療や予防等の効果が客観的に備わっているかどうかではなく、あくまでそういった用途で使われることが『目的』とされている物という定義になっています。

よって、事業者としては、ある商品を健康食品として販売していても、たとえば、その商品の広告に病気の治療や予防効果があると記載していると、そういった治療や予防に使われることが『目的』とされている物ということになり、当該商品は、薬機法上「医薬品」に該当するということです。

そうすると、当該事業者としては、当該商品を健康食品として販売しており、医薬品としての承認を取得していないため、当該広告は、未承認医薬品の広告となり、直ちに第68条違反になってしまいます。そして、広告の内容として、病気の治療や予防の効果がなければ、虚偽誇大広告として第66条第1項にも違反することになります。

「医薬品」に該当するか否かを判断するにあたっては、『無承認無許可医薬品の指導取締りについて』(昭和46年6月1日薬発第476号)が参考になります。このいわゆる46通知は健康食品の広告をチェックする上で、重要な通知となっています。

 

(3)広告の定義

以下の3要件全てをみたすと、薬機法第66条及び第68条の「広告」に該当します(平成10年9月29日医薬監第148号)。

①顧客を誘引する意図が明確であること(誘引性)
②特定の商品名が明らかであること(特定性)
③一般人が認知できる状態であること(認知可能性)

逆に1つでも満たなければ「広告」にはあたりませんので66条及び68条は適用されません。

「広告」の該当性に関して、①健康食品の商品名を記載したWebページ及び②特定性を排しつつ当該商品に含まれる成分等の医薬品的効能効果を記載したWebページの一体性が問題となることがあります。①だけ見れば、「広告」には該当するものの、医薬品的効能効果が記載されていないため、第68条には違反しません。また、②だけ見れば、特定性に欠けるため「広告」に該当しません。

しかし、①と②がリンクや検索誘導等によって、実質的に一体の「広告」と見ることができる場合には、全体として第68条に違反する「広告」となるおそれがあります。

 

(4)医薬品等適正広告基準

第66条に該当するか否かの判断基準を厚生労働省が具体的に示したものが、『医薬品等適正広告基準』(平成29年9月29日薬生発0929第4号)です。また、同時に『『医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について』(平成29年9月29日薬生発0929第5号)という詳細な解説が公表されており、参考になります。

景品規制の外観

1 景品とは

景品とは、①顧客を誘引する手段として②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する③物品、金銭その他の経済上の利益(以下「景品類」といいます。)のことをいいます。
簡単に言ってしまえば、商品やサービスにくっついてくるおまけのことです。
本来、事業者間の競争は、その価格や質によって行われることが消費者にとっては有益です。しかし、事業者が商品等そのものではなく、それに付けるおまけで競争をしたらどうでしょうか。
消費者は、商品・サービスそのものではなく、そのおまけに惑わされて本来購入すべきではない商品・サービスを購入してしまうかもしれませんし、事業者もその商品・サービスの質の向上や、少しでも安く消費者へ届けようとする努力をしなくなり、ひいては消費者全体の利益を害することにつながります。景品表示法は、このような事態を未然に防ぐため、事業者による景品の提供に制限を課しているのです。

事業者としては、まず、上記①~③の要件に照らし、消費者に提供しようとする経済上の利益が景表法上の「景品類」に該当するか否かの判断をする必要があります(例えば、値引きやポイントサービスに関しては、その性質上取引の本来の内容をなすものとして景品類には該当しないものとされています。)。

2 景品の種類

景品規制は、大きく分けて①懸賞による景品に関する規制と②総付景品に関する規制に分けられます。以下、簡単に内容を見てみましょう。

(1)懸賞による景品類の提供

ア 懸賞とは

「懸賞」とは、「くじその他偶然性を利用して定める方法」又は「特定の行為の優劣又は正誤によって定める方法」によって、景品類の提供の相手方又は提供する景品類の価額を定めることをいいます(懸賞制限告示第1項)。商品等を購入する消費者すべてに景品を提供する訳ではなく、抽選により提供する場合や、競技・遊戯等の優劣により提供する場合がこれに該当します。

イ 一般懸賞と共同懸賞

上記の「懸賞」のうち、「一定の地域における小売業者又はサービス事業者の相当多数が共同して行う場合」「一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合(中元・年末等の時期において年3回を限度とし、かつ、年間通算して70日の期間内で行うものに限る)」に該当するものを共同懸賞といいます。祭りの際に市の商工会議所が主催するものや、商店街の福引等をイメージしていただければよいと思います。

そして、「懸賞」のうち、「共同懸賞」に該当しないものを、特に「一般懸賞」と呼んでいます。

(2)総付景品

総付景品とは、一般消費者に対して懸賞によらずに提供する場合の景品類のことをいいます。商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する景品類が典型ですが、商品・サービスの購入の申込み順又は来店の先着順により提供される金品等も総付景品にあたるとされています。

3 景品規制の内容

景品表示法は、「カード合わせの方法による懸賞」を全面的に禁止していることを除き、景品類の提供方法ではなく、景品類の最高額、総額等を規制しています。具体的な規制内容は以下のとおりです。

(1)一般懸賞

ア最高額の制限

提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の二十倍の金額(当該金額が十万円を超える場合にあっては、十万円)を超えてはならない。

イ 総額の制限

提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の百分の二を超えてはならない。

(2)共同懸賞

ア 最高額の制限

提供する景品類の最高額は、三十万円を超えてはならない。

イ 総額の制限

提供する景品類の総額は、懸賞に係る取引の予定総額の百分の三を超えてはならない。

(3)総付景品

総付景品については、その取引価額に応じて提供する景品の最高額が定められています。

ア 取引価額が1,000円未満の場合

提供する景品類の最高額は、200円

イ 取引価額が1,000円以上の場合

提供する景品類の最高額は、取引価額の10分の2

4 「景品類の価額」と「取引の価額」

上述したように、景品規制においては「景品類の価額」及び「取引の価額」を認定することが最も大切なプロセスとなってきます。以下、それぞれの認定方法について確認してみましょう。

(1)景品類の価額

景品規制の趣旨は、一般消費者が過大な景品提供に惑わされ適切な選択ができなくなることを防ぐことにありますので、景品類の価額を認定する際には、事業者の視点ではなく、あくまでも消費者の視点で考えるというのがポイントです。

ア 景品類と同じものが市販されている場合

景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格によります。事業者が仕入れた際の原価ではありません。定価1,000円の商品をメーカーから100円で仕入れられたとしても、100円の景品として提供することはできないので注意が必要です。

イ 景品類と同じものが市販されていない場合

景品類と同じものが市販されていない場合でも、上記の景品規制の趣旨から、当該景品類が市販されていたとしたらどの程度の価値があるかということを考えることになります。そのような観点から、この場合の景品類の価額は、景品類を提供する者がそれを入手した価額、類似品の市価等を勘案して、景品類の提供を受ける者が、それ通常購入することとしたときの価額を算定し、その価額を景品類の価額とすることが定められています。もう市販されていないから、メーカーからの仕入価額とする訳にはいきません。

(2)取引の価額

取引の価額の認定についての基本的なルールは以下のとおりです。なお、前提として、「取引の価額」は、景品類の提供者が小売業者又はサービス業者である場合は、対象商品又は役務の実際の取引価額を、製造業者又は卸売業者である場合は景品類提供の実施地域における対象商品又は役務の通常の取引価額を基準とします。

ア 購入者を対象とし、購入額に応じて景品類を提供する場合

当該購入額が「取引の価額」となります。

イ 購入者を対象とするが購入額の多少を問わないで景品類を提供する場合

原則として百円となります。ただし、当該景品類提供の対象商品又は役務の取引の価額のうちの最低のものが明らかに百円を下回っていると認められるときは、当該最低のものを「取引の価額」とし、逆に、百円を超えると認められるときは、その商品又は役務の価額を「取引の価額」とすることができます。

ウ 購入を条件とせずに、店舗への入店者に対して景品類を提供する場合

原則として百円となります。ただし、当該店舗において通常行われる取引の価額のうち最低のものが百円を超えると認められるときは、当該最低のものを「取引の価額」とすることができます。

5 景品規制に違反すると

景品規制への違反に対しては、景表法上、「措置命令」という制度が用意されています。「措置命令」とは、景品規制に違反した事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることをいい、消費者庁又は都道府県知事によってなされます。
ただし、措置命令を発令するか否かは行政の裁量に委ねられており、景品規制に違反したとしても、必ず措置命令が発令される訳ではありません。
実際に、景品規制に違反したことを理由とする措置命令は、これまでに大阪府が1件発令したものがあるだけです。
そのため、行政指導として事実上の是正がされるに過ぎないことが多いと思われますが、行政指導といっても行政の監視の対象となってしますことは避けられませんので、上述した景品規制には真摯に向き合うことが必要です。

広告表現が法律に違反しているかどうかの判断手法

1 はじめに

広告を規制する法律には、景品表示法や薬機法がありますが、どのような表現が法律に違反するのかが曖昧で分かりにくいという声をよく耳にします。実際、広告表現が法律に違反しているかどうかについては、明確な基準がない場合のことが多いと言えます。そのため、広告表現が法律に違反しているかどうかを見極めるためには、判断手法の基本的な考え方を理解しておく必要があります。
 

2 個々の表現ではなく、全体の印象で判断される

それは、広告表現が法律に違反しているかどうかは、個々の表現ではなく、全体から受ける印象で判断されるということです。
 

例えば、「スッキリ」という表現は、ダイエットを謳うサプリなどの広告で、痩身効果を暗示する言葉として、よく使われます。しかし、「スッキリ」という表現は、便通の改善や整腸作用を意味する言葉としても使われることがあります。また、他にも味覚を表現する言葉として使われることもあるかもしれません。
 

このように、個々の表現だけを切り取って考えても、その言葉が何を意味しているのかははっきりしません。その言葉の意味するところを正確に理解するためには、その他の表現を含めた広告全体の中で、その言葉の意味するところを判断する必要があるのです。
 

例えば、体重計に乗ったスリム体型の人の写真があれば、「スッキリ」は痩身効果を意味している場合が多いでしょうし、両手でお腹を押さえた人の写真があれば、便通の改善や整腸効果を意味している場合が多いでしょう。
 

3 個々の表現で全体の印象が変わるわけではない

逆に考えれば、必ずしも、個々の表現で全体の印象を変えられるわけではないということでもあります。
 

例えば、健康食品で「これを飲むだけで痩せる」といった広告が、頻繁に優良誤認表示で措置命令を受けています。痩せるためには運動をするか食事制限をする必要があるからです。そのため、「運動と食事制限を組み合わせた結果です」といった記載をすることで、措置命令を免れようとする広告も見られます。
 

しかし、単に「運動」や「食事制限」といった表現を盛り込んでいても、多くの場合、広告全体を見れば、結局は「これを飲むだけで痩せる」という印象を与えてしまっています。実際に、ダイエットサプリの広告で、「運動」や「食事制限」といった表現が含まれていても、措置命令を受けたケースがあります。
 

4 最後に

このように、広告表現の適法性を判断するためには、広告全体から受ける印象を、最初に考えなければいけません。その判断をするためには、過去に措置命令などの行政処分を受けた事例を収集し、検討することで、判断のコツをつかんでいく必要があります。
 
 

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広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
化粧品や健康器具、美容機器等の広告で肌質の改善や、痩身効果、若返りを暗示する表現が多く見られますが、これらの身体に影響を及ぼす効能効果の表現は薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

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薬機法改正で導入される課徴金と措置命令

1 はじめに

薬機法が改正され、課徴金と措置命令の制度が新たに導入されることになりました。
既に、景品表示法では、平成26年11月の法改正により、既に課徴金と措置命令の制度が導入され、運用されています。
そこで、景品表示法の制度との比較も交えながら、薬機法に導入される課徴金、措置命令制度の概要について見ていくことにします。

2 制度導入の契機

改正の契機となったのは、ディオバン事件と呼ばれる臨床研究論文の不正が行われた事件です。
製薬会社のノバルティス社が、1999年に発売したディオバンという高血圧治療薬についての臨床試験が、ノバルティス社の経済的支援の下に行われました。
ところが、この臨床試験にノバルティス社の元社員が関与し、データの不正な操作を行っていたことが、2014年に発覚しました。

この臨床試験の結果は論文に投稿され、ディオバンの売上にも大きな影響を与えたと思われます。
ディオバンの売上は、年間1000億円を超えていたそうです。
しかし、そのような不正がありながらも、ノバルティス社がディオバンの販売で得た利益は何ら手付かずであり、いわば売り逃げではないかとの批判が起こりました。
そこで、そのような不当に得た利益を吐き出させる制度として、課徴金制度の導入が議論されることになったのです。

3 課徴金制度の概要

(1)対象となる行為

国会に提出された薬機法改正案によれば、課徴金の対象となる行為は、虚偽・誇大広告(薬機法第66条第1項)です。
薬機法では、他にも未承認医薬品、医療機器の広告が禁止されているのですが(薬機法第68条)、こちらは課徴金の対象とはなりませんでした。
その理由は、未承認の医薬品や医療機器を販売して得た利益は、その全額が不当なものであり、一部だけを課徴金として納めるのは不適切であるとの議論があったためのようです。

そうすると、課徴金の対象となるのは、承認を得た医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器に限られるかのようにも思えますが、そんなことはありません。
薬機法上、ただの食品や雑品でも、医薬品や医療機器のような効果があるとの広告をすれば、定義上は医薬品、医療機器に該当します。
したがって、その場合に、広告された効果が虚偽・誇大であれば、食品や雑品も課徴金の対象となる可能性があるのです。

上記のとおり、課徴金制度が導入されたそもそもの契機は、医薬品に関する不正でした。
しかし、実際の法改正の議論においては、食品や雑品に関する不当な広告を規制する目的にも明確に言及されています。
したがって、実際に制度が始まれば、食品や雑品が課徴金制度の適用第1号になる可能性も十分にあるでしょう。

4 課徴金の額

課徴金の金額は、課徴金対象期間における売上の4.5%です。
景品表示法では3%ですので、景品表示法より課徴金の金額は大きいことになります。

課徴金対象期間は、虚偽・誇大広告をしていた期間がベースになります。
ただし、虚偽・誇大広告をやめてから6か月を経過するまでの間は、虚偽・誇大広告の影響が残っていると考えられます。
したがって、虚偽・誇大広告をやめた後も販売を継続している場合、6か月を経過するまでは、最後に商品が売れた日までの期間も含まれることになっています。
ただし、6か月が経過するまでの間に、省令で定められた、虚偽・誇大広告の影響を排除するための措置を講じた場合には、その措置を講じた日までしかカウントされません。
また、課徴金対象期間の上限は3年とされています。この点は景品表示法と同じです。

また、課徴金の最低額は225万円とされています。
景品表示法では、課徴金の最低額が150万円とされていますが、いずれも、課徴金対象期間の売上で見れば、5000万円未満の場合には課徴金が課されないこととなっており、この点も同じです。

5 例外的に課徴金が課されない場合

改正法では、虚偽・誇大広告に対して、業務改善命令、新たに設けられた措置命令、製造販売等の許可の取消しや業務停止命令をする場合には、厚生労働大臣の裁量で、課徴金を課さないことができるとされました。
これは、景品表示法にはない仕組みです。
一方で、景品表示法では、優良誤認表示や有利誤認表示をしたとしても、そのことを知らず、かつ、知らないことに相当の注意を怠った者でないと認められる場合には、課徴金が課されない仕組みがあり、こちらは改正薬機法にはないものです。

6 課徴金の減額

景品表示法でも改正薬機法でも、自主的に課徴金の対象となる行為を報告した場合には、課徴金の額が半分に減額されます。

一方、景品表示法では、課徴金対象期間に販売した商品について、一定の条件の下で返金措置を講じることで、その分、課徴金が減額されますが、改正薬機法にはそのような仕組みがありません。
医薬品等の虚偽・誇大広告は、国民の健康に与える影響が大きいため、返金をすれば済む話ではないという発想なのかもしれません。

また、改正薬機法で課徴金の対象となる行為が、同時に、景品表示法でも課徴金の対象となることがあり得ます。
景品表示法の課徴金は売上の3%と、改正薬機法の課徴金よりも少ないため、景品表示法で課徴金納付命令を受けるような場合には、売上の3%分が、改正薬機法の課徴金から控除されることになります。

7 措置命令

改正薬機法では、課徴金制度と同時に、措置命令制度も新たに導入されました。
景品表示法でも取り入れられている措置命令とは、違法な広告がされた場合に、それを止めさせ、再発を防止するために必要な措置を命じる行政処分のことです。

景品表示法では、措置命令が行われた場合に、原則として必ず課徴金納付命令が行われることになっており、両者がセットになっています。
一方で、改正薬機法では、措置命令と課徴金はセットになっていません。
措置命令が行われたとしても、課徴金が課されないこともありますし、措置命令がなくても課徴金を科すことができます。
また、課徴金の対象となる行為は虚偽・誇大広告だけですが、措置命令では、虚偽・誇大広告に加え、未承認医薬品・医療機器の広告も対象に含まれています。

8 最後に

このように、改正薬機法における課徴金と措置命令の制度は、景品表示法と共通する部分もありつつ、法律の目的が異なることから、制度設計も自然と異なるものになっています。
薬機法改正案は、2019年の第198通常国会では成立せず、継続審議となりました。
今年の秋の臨時国会以降での成立が見込まれています。
改正法が成立して交付されると、そこから2年以内に施行され、実際に運用が始まることになります。今から改正に備え、準備を怠らないようにしましょう。