薬機法改正で導入される課徴金と措置命令

1 はじめに

薬機法が改正され、課徴金と措置命令の制度が新たに導入されることになりました。
既に、景品表示法では、平成26年11月の法改正により、既に課徴金と措置命令の制度が導入され、運用されています。
そこで、景品表示法の制度との比較も交えながら、薬機法に導入される課徴金、措置命令制度の概要について見ていくことにします。

2 制度導入の契機

改正の契機となったのは、ディオバン事件と呼ばれる臨床研究論文の不正が行われた事件です。
製薬会社のノバルティス社が、1999年に発売したディオバンという高血圧治療薬についての臨床試験が、ノバルティス社の経済的支援の下に行われました。
ところが、この臨床試験にノバルティス社の元社員が関与し、データの不正な操作を行っていたことが、2014年に発覚しました。

この臨床試験の結果は論文に投稿され、ディオバンの売上にも大きな影響を与えたと思われます。
ディオバンの売上は、年間1000億円を超えていたそうです。
しかし、そのような不正がありながらも、ノバルティス社がディオバンの販売で得た利益は何ら手付かずであり、いわば売り逃げではないかとの批判が起こりました。
そこで、そのような不当に得た利益を吐き出させる制度として、課徴金制度の導入が議論されることになったのです。

3 課徴金制度の概要

(1)対象となる行為

国会に提出された薬機法改正案によれば、課徴金の対象となる行為は、虚偽・誇大広告(薬機法第66条第1項)です。
薬機法では、他にも未承認医薬品、医療機器の広告が禁止されているのですが(薬機法第68条)、こちらは課徴金の対象とはなりませんでした。
その理由は、未承認の医薬品や医療機器を販売して得た利益は、その全額が不当なものであり、一部だけを課徴金として納めるのは不適切であるとの議論があったためのようです。

そうすると、課徴金の対象となるのは、承認を得た医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器に限られるかのようにも思えますが、そんなことはありません。
薬機法上、ただの食品や雑品でも、医薬品や医療機器のような効果があるとの広告をすれば、定義上は医薬品、医療機器に該当します。
したがって、その場合に、広告された効果が虚偽・誇大であれば、食品や雑品も課徴金の対象となる可能性があるのです。

上記のとおり、課徴金制度が導入されたそもそもの契機は、医薬品に関する不正でした。
しかし、実際の法改正の議論においては、食品や雑品に関する不当な広告を規制する目的にも明確に言及されています。
したがって、実際に制度が始まれば、食品や雑品が課徴金制度の適用第1号になる可能性も十分にあるでしょう。

4 課徴金の額

課徴金の金額は、課徴金対象期間における売上の4.5%です。
景品表示法では3%ですので、景品表示法より課徴金の金額は大きいことになります。

課徴金対象期間は、虚偽・誇大広告をしていた期間がベースになります。
ただし、虚偽・誇大広告をやめてから6か月を経過するまでの間は、虚偽・誇大広告の影響が残っていると考えられます。
したがって、虚偽・誇大広告をやめた後も販売を継続している場合、6か月を経過するまでは、最後に商品が売れた日までの期間も含まれることになっています。
ただし、6か月が経過するまでの間に、省令で定められた、虚偽・誇大広告の影響を排除するための措置を講じた場合には、その措置を講じた日までしかカウントされません。
また、課徴金対象期間の上限は3年とされています。この点は景品表示法と同じです。

また、課徴金の最低額は225万円とされています。
景品表示法では、課徴金の最低額が150万円とされていますが、いずれも、課徴金対象期間の売上で見れば、5000万円未満の場合には課徴金が課されないこととなっており、この点も同じです。

5 例外的に課徴金が課されない場合

改正法では、虚偽・誇大広告に対して、業務改善命令、新たに設けられた措置命令、製造販売等の許可の取消しや業務停止命令をする場合には、厚生労働大臣の裁量で、課徴金を課さないことができるとされました。
これは、景品表示法にはない仕組みです。
一方で、景品表示法では、優良誤認表示や有利誤認表示をしたとしても、そのことを知らず、かつ、知らないことに相当の注意を怠った者でないと認められる場合には、課徴金が課されない仕組みがあり、こちらは改正薬機法にはないものです。

6 課徴金の減額

景品表示法でも改正薬機法でも、自主的に課徴金の対象となる行為を報告した場合には、課徴金の額が半分に減額されます。

一方、景品表示法では、課徴金対象期間に販売した商品について、一定の条件の下で返金措置を講じることで、その分、課徴金が減額されますが、改正薬機法にはそのような仕組みがありません。
医薬品等の虚偽・誇大広告は、国民の健康に与える影響が大きいため、返金をすれば済む話ではないという発想なのかもしれません。

また、改正薬機法で課徴金の対象となる行為が、同時に、景品表示法でも課徴金の対象となることがあり得ます。
景品表示法の課徴金は売上の3%と、改正薬機法の課徴金よりも少ないため、景品表示法で課徴金納付命令を受けるような場合には、売上の3%分が、改正薬機法の課徴金から控除されることになります。

7 措置命令

改正薬機法では、課徴金制度と同時に、措置命令制度も新たに導入されました。
景品表示法でも取り入れられている措置命令とは、違法な広告がされた場合に、それを止めさせ、再発を防止するために必要な措置を命じる行政処分のことです。

景品表示法では、措置命令が行われた場合に、原則として必ず課徴金納付命令が行われることになっており、両者がセットになっています。
一方で、改正薬機法では、措置命令と課徴金はセットになっていません。
措置命令が行われたとしても、課徴金が課されないこともありますし、措置命令がなくても課徴金を科すことができます。
また、課徴金の対象となる行為は虚偽・誇大広告だけですが、措置命令では、虚偽・誇大広告に加え、未承認医薬品・医療機器の広告も対象に含まれています。

8 最後に

このように、改正薬機法における課徴金と措置命令の制度は、景品表示法と共通する部分もありつつ、法律の目的が異なることから、制度設計も自然と異なるものになっています。
薬機法改正案は、2019年の第198通常国会では成立せず、継続審議となりました。
今年の秋の臨時国会以降での成立が見込まれています。
改正法が成立して交付されると、そこから2年以内に施行され、実際に運用が始まることになります。今から改正に備え、準備を怠らないようにしましょう。

病院・クリニックのホームページでの情報提供が変わります

報道によれば、美容整形、脱毛、脂肪吸引等の美容医療については、治療を受けた患者からの苦情や相談が急増しており、これを受けて厚生労働省は、虚偽や誇大な表示を禁止する新たな規制を設ける方針を固めたようです。

(これまでの経過)

これまで、厚生労働省は、「医療広告ガイドライン」において、「インターネット上の病院等のホームページは、当該病院等の情報を得ようとの目的を有する者が、検索サイトで検索した上で閲覧するものであり、従来より情報提供や広報として扱ってきており、引き続き、原則として広告とはみなさないこととする。」としていました。

しかし、病院・クリニック等のホームページにおける不適切な情報提供が継続していたため、平成27年7月、消費者委員会は、「美容医療サービスにかかるホームページ及び事前説明・同意に関する建議」を提出し、医療機関のホームページも「広告」として扱うよう要求しました。

これを受け、厚生労働省は、医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会を開催し、この秋をめどにその方針を決する予定です。そして、8月に開催された検討会では、医療機関のホームページは、引き続き広告とはしないものの、虚偽・誇大な表示については、より強い規制を設ける方針を固めたようです。

厚生労働省が発表した資料によれば、ホームページに対する規制については、「美容医療分野を中心に、医療機関のウェブサイト等の閲覧を契機として受 診行動に至ることが一般化している中、医療機関のホームページにおける情 報提供の適正化を図る必要がある。 医療機関のウェブサイト等を、広告できる事項が限定されている医療法上 の広告とすると医療情報の提供促進に支障が生じるとの懸念が多く示されて いること等を踏まえ、引き続き医療法上の広告としては扱わないが、情報発 信の観点からも認められないような虚偽・誇大な表示等が規制されないこと は適切ではないことから、こうした不適切な表示を禁止する規制を新たに設けることとしてはどうか。」という方向性であるようです。

医療機関のホームページを巡る規制については、厳格化の方向にあるようですから、関係者の皆様は、現在のホームページに問題がないか、いまのうちからチェックしておいたほうがいいかもしれません。

(参考)

(虚偽の広告と罰則)

医療法第6条の5第3項は、内容が虚偽にわたる広告をしてはならないと定められています。医療広告ガイドラインによれば「絶対安全な手術です!」などと記載することは、虚偽広告に当たるとされています。医学上、絶対安全な手術などあり得ないからというのがその理由です。虚偽広告をした者に対しては、6月以下の懲役又は30万円以下の処罰が設けられています(医療法第73条第1項第1号)。

(誇大広告と罰則)

また、医療法施行規則第1条の9第2号には、「誇大な広告を行ってはならない」、「客観的事実であることを証明することができない内容の広告をおこなってはならない。」と規定されており、これに反すると、都道府県知事等により報告命令が出されたり、病院等への立入り検査等が行われ、その後、広告中止命令、是正命令が出されることになります。この命令に従わないと、やはり6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになります。

(誇大広告の例)

医療広告ガイドラインによれば、「誇大な広告」とは、必ずしも虚偽ではないが、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させる広告を意味するものであるとされています。具体的には、美容外科の自由診療の際の費用として、「顔面の〇〇術 1か所〇〇円」と記載されているが、この料金は、5か所をまとめて施術した場合の料金であって、1か所だけの施術だと倍以上の価格になる場合は、誇大広告となります。

(客観的事実であることを証明することができない内容の広告の例)

医療広告ガイドラインによれば、「客観的事実であることを証明することができない内容の広告」とは、患者や医療従事者の主観によるものや客観的な事実であることを証明できない事項についての広告」を意味するものであるとされています。具体的には、患者の主観を記載した体験談の紹介は、これにあたりますから、広告ができないこととなります。また、「比較的安全な手術です。」との記載も何と比較して安全であるか不明であり、客観的な事実と証明できないため、広告ができないこととなります。

(最後に)

この記事を執筆するに当たり、様々な病院、クリニックのホームページを拝見しましたが、将来、広告表現として問題となり得る記載が残念ながら非常に多い状況です。広告については、医療法のみならず、景品表示法についても問題となり、場合によっては、不当表示に関係する売上げの3パーセントという高額の課徴金を課される場合もあります。これを機に、ホームページのコンプライアンスチェックを検討されてはいかがでしょうか。

治療前、治療後の写真を宣伝に使っていいですか?

治療前、治療後の写真を宣伝に使っていいかという質問を受けることがよくあります。
答えはYesでもありNoでもあります。

例えば、料金を払って検索サイトで上位に表示されるようにしたホームページに治療前、治療後の写真を映し出すことは問題があります。しかし、来院した患者さん向けに、待合室のモニターに全く同じ条件で撮影した治療前、治療後の写真を映し出すことは問題がない場合が多いでしょう。

なにが違うのでしょうか?

医療広告については、厚生労働省が「医療広告ガイドライン」、「医療広告ガイドラインに関するQ&A」などで何が許され、何が許されないかをある程度明確にしています。そして、このガイドラインによれば、治療前、治療後の写真は、広告が禁じられている「治療の効果に関する表現」に当たり許されないとされています。治療前、治療後の写真の広告を許してしまうと、本当は治療の効果が一定ではないのに、広告を見た者が必ず写真のような効果が得られると誤解してしまう可能性があるからです。

そうすると、来院した患者さん向けに、待合室のモニターに治療前、治療後の写真を映し出すことも許されないことになりそうですが、実は、必ずしもそうではありません。先ほどの「医療広告ガイドライン」、「医療広告ガイドラインに関するQ&A」は、どちらも「広告」に関するものです。

そして、「広告」とは、「医療広告ガイドライン」によれば、①患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性) ②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療 所の名称が特定可能であること(特定性) ③一般人が認知できる状態にあること(認知性)のすべての要件を満たすものであるとされています。来院した患者さん向けに、待合室のモニターに治療前、治療後の写真を映し出すことは、これらの「広告」の要件を満たすでしょうか?

このような来院者向けの表示は、院内掲示や院内で配布するパンフレットなどと同じように、情報の受け手が、現に病院を受診している患者さんらに限られますから、③の一般人が認知できる状態にあることの要件が欠けます。ですから、待合室のモニターに治療前、治療後の写真を映し出すことは、「広告」に当たらず、単なる「情報提供」や「広報」に当たるとされ、許される可能性があるのです。

それでは、最後にこの記事を読まれている方に質問です。

歩行者が多い駅近くのクリニックの大型モニターに、治療前、治療後の写真を写していましたが、そのモニターは病院の外に向けられており、通行人もそのモニターを見ることができる状態でした。法律上、問題はないでしょうか?

もうおわかりかと思いますが、クリニック内のモニターとはいえ、それがクリニックの外の一般人に向けられていれば、広告に当たりますから、許されないということになりそうです。

このように、治療前・治療後の写真を宣伝に使ってもいいですか?という質問には、すぐにいいです、だめですと答えられない理由があるのです。

課徴金制度開始後、初の措置命令

景品表示の課徴金制度の運用が4月1日に始まりましたが、運用開始後初めての措置命令が6月28日に出されました。

消費者庁によれば、「1回の施術から効果実感、1回の施術で顔の横幅を数センチ縮める独自の小顔矯正法です。」「1回の施術後、2~3回で固定するのが特徴です。」などとして、小顔になる効果を宣伝していたサービスに対し、措置命令が出されました。

違反の時期にもよりますが、4月1日以降も不当表示を行っていたということであれば、課徴金の対象となる可能性があります。

新しく設けられた課徴金については、未だ1件も納付命令が出されておらず、その運用が注目されているところですが、本件についても、その経過を注意深く見ていく必要がありそうです。

この記事をごらんになっている方で課徴金に不安を持っていらっしゃるかたは、是非、課徴金に詳しい弁護士が所属している当事務所にお問い合わせください。

広告を間違えると売上げの3%分の課徴金?!その1

いったい何をしたらいけないの? その1~優良誤認~

してはいけない表示とは、いったいどのようなものなのでしょう。

  • 「アミノ酸一般食酢の120倍の黒酢でダイエットサポート!」
  • 「『黒酢』に含まれたアミノ酸のメラメラパワー!」
  • 「不足していたのはメラメラ力だったんですね・・・」
  • 「人より効果が出にくい私。最初からアミノ酸を使ってたら・・・」
  • 「タンスの奥のジーンズが出せた!」
  • 「運動量は変わらないのに遂に出産前のスタイルに!」

これらの表示が問題視され、2016年3月30日、九州の食品会社に措置命令が行われました。消費者庁は、これらの表示はあたかも対象商品を摂取するだけで特段の食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示すものであり、景品表示法が禁止する「優良誤認」に当たると判断しました。

 

問題とされる表示が行われたのは、課徴金制度ができる前ですから、このケースでは課徴金の支払いは問題となりませんが、今後、同じようなケースが生じた場合、課徴金の支払いが必要になる可能性があります。

ここで問題とされた優良誤認表示とは、商品の品質が実際よりもとてもいいものであるとお客様に勘違いされる表示をいいます。このような表示をホームページ、商品のパッケージ、広告等に表示をすると、今後、課徴金を課せられるリスクがあるわけです。

しかし、この表示ですが、どれを見ても「商品を摂取するだけで・・・痩身効果が得られる。」とは書いていないですよね。

「タンスの奥のジーンズが出せた!」は、奥にしまいこまれていたジーンズを取り出せたというだけで、それがはけるかどうかは直接的には書いてありませんし、「運動量は変わらないのに遂に出産前のスタイルに!」も、もしかしたら出産前のほうが体重が重かったのかもしれません。しかし、これらの表示を全体として見ると、暗にやせるかのような印象をお客様に与えてしまうことは否めません。

ただ、法的にまったく問題ないような記載では、お客様へのアピールが難しいのも事実です。当法律事務所では、ビジネスの観点から、広告の表現方法を提案するコンサルタントとも提携しておりますし、企業やビジネスの現場を経験している弁護士も所属しており、他の法律事務所とはすこし違った観点からのご助言ができるものと思います。

 

新規販売やキャンペーンを行う時に気をつけたい「価格」設定

二重価格表示とは?

そもそも二重価格表示だと認識される場合は、その価格に比較対照価格がある場合です。
例えば、「通常価格10,000円、割引率50%OFF、販売価格5,000円」
この場合、通常価格と販売価格の2つの価格がありますね。
二重価格表示違反か否かは、その比較対照価格のルールが守れているか否かということにです。
 

尚、比較対照価格には
(1)過去の販売価格
(2)他店の販売価格
(3)メーカー希望小売価格
の3種類ありますので1つ1つ紹介します。
 

(1)過去の販売価格

「通常価格」や「セール前価格」などと表示されているものは、次の場合に表示可能となります。
 

    • セール開始時点から過去8週間のうち、4週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます。
    • 販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます。

 

上記(1)や(2)を満たす場合であっても、実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の販売価格として表示することは原則としてできません。
販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは原則としてできません。
 

(2)他店の販売価格

これは、「市価」や「他店販売価格」などとして表示される価格です。以下の場合に表示することができます。
 

      • 市価を比較対照価格に用いるときは、地域内の事業者の相当数が実際に販売している価格を用いる必要があります。
      • 特定の競争事業者の販売価格と比較する場合は、その事業者の実際の販売価格及び事業者の名称を明示する必要があります。

 

(3)メーカー希望小売価格

「メーカー小売価格」などと表示されているものは、次の場合表示可能です。
 

      • メーカーや輸入元など製造事業者等が設定する希望小売価格が販売時点で有効に設定され公表されているものであれば、比較対照価格として用いることができます。

 

但し、この価格のとおりに販売するかどうかは各小売店の自由です。メーカーが希望小売価格で販売することを小売店に守らせることは、書籍など一部の商品を除いて独占禁止法で禁止されています。
 

因にオープン価格という表示を見かけた方も多いと思います。
 

オープン価格とは、メーカーが希望小売価格を示すことをやめ、販売価格の決定を完全に小売店に委ねたことを意味しています。厳密にはオープン価格には、発売当初はメーカー希望小売価格があったが途中でそれをとりやめる場合と発売当初から希望小売価格を設定しないケースがありますので注意が必要です。
 

売りたいからといって、安易に価格をつけてごまかしたり、存在しない価格をあるようにみせかけて消費者に誤認を与えないようにしましょう。という簡単なルールですが、意外に知らない方も多いようです。
 

二重価格表示違反は罰則が比較的重い法律でもありますから、今一度自社の価格やキャンペーンを見直してもいいのではないでしょうか。
 

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美容サービスにおける、2015年景品表示法違反の事例

景品表示法の管轄とは、その歴史

先ず、景品表示法という法律がどのような歴史を辿って今に至るのか簡単に説明します。

  • 2009年までは公正取引委員会が管理していましたが、同年9月に消費者庁へ移行された。
  • その際に「排除命令」は、消費者庁によって「措置命令」という名称に変更されている。
  • もともと公正取引委員会が管轄する法律には「独占禁止法」という大きな法律があり、公正取引委員会管轄の時代はこの法律を以て各業界監視を行ってきた為、景品表示法による取締件数はそれほど多くはなかった。
  • だが景品表示法が消費者庁に移行されてから、本法律による措置が増えている。

実際の摘発事例

では実際に摘発された事例を最新の2015版でご紹介します。

1)2015年3月、某大手エステサロンが自社の美顔トリートメントについて、折り込みチラシやWebサイト上で「細胞レベルでの若返り」と謳った。

エステ運営会社には改善指示。

2)2015年4月、「小顔矯正」「即効性と持続性に優れた施術」などと謳ったエステサロンが、裏付けとなる根拠を提示することができなかったとして消費者庁が措置命令

具体的には、景品表示法第4条の「優良誤認」の行為とみなし、消費者にその旨を周知すること、さらに再発防止策を講じ従業員に周知することなどを命じた。

3)2015年3月、都内の美容医療クリニック4事業者のインターネット上の広告について、消費者を誤認させるおそれのある表示であるとして、以下を景品表示法に基づき、表示の改善を指導。

「今だけ!!脂肪吸引50%OFF 11月30日まで」

11月30日まで限定の割引と思わせていたが、実際にはほとんど1年中、割引価格で提供していた。11月30日までに申し込めば割引価格が適用されるが、それを過ぎると割引価格にならないと、誤認させるおそれがあるため。

「アンチエイジング治療 3回プラン 通常価格180,000円→キャンペーン中135,000円」

キャンペーン価格での販売が常態化していて、キャンペーン価格が「通常価格」となっていた。通常、キャンペーンは短期間実施されるものであり、キャンペーンが終わる前に早く申し込まないと割引価格にならないと誤認させるおそれがあるため。

「部分痩身マシーンで1週間でウエスト-5センチメートル引き締め効果」

モニターが1回施術を受けた際の施術前後のウエスト周りのサイズを測定し、その最大減少値をもとに表示していたが、広告上にはその旨の説明はなかった。モニターのウエスト周り減少の平均値はマイナス1~2センチメートルであった。
誰でもマイナス5センチメートルが実現できると誤認させるおそれがあるため。

「10歳若い私に」という表現

老いて見える原因の一つである顔面のシワ等を薬剤注入によって見えなくし、見た目を若くする施術であるというが、見た目の年齢が10歳若くなるとは断定できないものであり、誰でも見た目年齢が10歳若返るかのように誤認させるおそれがあるため。

2015年景品表示法違反の事例:まとめ

いかがでしょうか。
意外に特別なことではなく、誰でも陥りそうな内容ではないでしょうか。
これらがどのように摘発されたのかについては開示されていませんが、インターネットなどで広く広告宣伝していると消費者庁の目にもつきやすくなります。また、消費者からの別の相談で発覚したり、または同業者からのちくりや通報といった場合も多いようです。何か心配ごとがあるなら、このタイミングで専門家に相談してみるのも手ではないでしょうか。

景品表示法における二重価格表示とは?

某美容医療を提供する事業主に改善命令が下された事例

2015年の美容サービスにおける景品表示法における摘発事例の多くには、長期的なキャンペーンというものがありました。
 

例えば、「アンチエイジングプラン 3回通常◯◯円が50%オフの◯◯円でキャンペーン中!」というサービス内容。
キャンペーン価格での販売が常習化していて、キャンペーン価格が「通常価格」になっていたため景品表示法上の「有利誤認表示」として表示の改善命令がくだされたのです。
 

このような内容で多くの場合同時に摘発されやすいのが「二重価格表示」です。
 

景品表示法における二重価格とは?

「有利誤認表示」とは、商品やサービスの価格や取引条件について、競争事業者のものよりも著しく有利であると誤認される表示を禁止していることであり、上記事例で述べた某美容医療のキャンペーンにおいては、消費者に「限定」だと誤認を与える恐れがあるため改善命令がくだされたました。
 

ですが、元を辿ればそもそも1年中キャンペーンと見せかけているわけですから、通常価格が本来実在していたのか?ということが議論の対象となるのです。
 

価格は消費者にとって最も大事な情報の1つです。
 

価格表示が適正に行われていない場合には、消費者の選択を誤らせることとなります。このような観点から、価格表示に関する違反行為の未然防止と適正化を図るため、景品表示法では二重価格表示についても明確にルールを設定しています。
 

二重価格表示とは

販売価格以外に参考となる別の価格(比較対照価格)を同時に表示することを指します。
 

例:通常200,000円が50%オフの100,000円
 

不当な二重価格表示とは、その比較対照価格が根拠のないものや不合理な場合です。
冒頭の事例で紹介した某美容医療のキャンペーンの場合は、「通常◯◯円が50%オフの◯◯円」の部分において、通常価格にそもそも根拠があったのか、それが通常価格であるかの証明ができるのか問われます。
 

二重価格表示違反をすると、内閣総理大臣から措置命令が出されその命令に違反した者は2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されますので、安易にキャンペーンを行わず、きちんと法律を理解し正しく事業を進めることが必要です。それでは次に記事で、二重価格表示のルールについて詳しく解説していきます。

「モニター募集」は景品表示法が適用になる?

モニターの定義とは?

幅広く一般的には‘放送・新聞の内容や商品の性能などについて,一般の視聴者・読者や消費者の中から選ばれて,意見や感想を述べる人。’と定義されています。 引用元:三省堂 大辞林

 

商品やサービスを無償で提供する代わりに、感想やアンケートに答えてサービス向上に役立てる業者と客との間にwin-winな取引が成立することです。
ですが、近年モニターの定義が多様化しつつあると共に、本来の意味を超えて使用される場合が多く存在しています。
そしてそこには様々な法律が複雑に絡み合うので注意が必要です。
 

景品表示法に抵触しない場合:報酬有

抵触しない場合:商品を無償で提供し、協力してくれたモニターへ謝礼を払う
 

謝礼ありきで協力してもらうモニターは仕事の‘報酬’として成り立つので、景品表示法には抵触しません。
 
 

抵触する場合:限定100名様に通常2,000円の本品を無料モニター募集

まず、「通常2,000円」に対して二重価格表示の規定を守る必要があります。二重価格表示とは過去8週間かつ直近2週間で通常価格として販売している実績が必要です。
 

次にキャンペーン期間の設定をする必要があります。キャンペーン期間を設定していないと景品表示法違反の可能性があります。
 

最後に、「通常2,000円の本品を無料」で提供する景品が下記のどの景品類に属するのか検証し、それぞれの禁止事項を守る必要があります。
 

景品類は、一般懸賞・共同懸賞・オープン懸賞・総付景品の4つです。
例えば、「通常2,000円の本品を無料モニター募集」のキャンペーンが、既に商品を購入した方のみまたは顧客のみが対象であれば、総付景品になり、
商品やサービスを利用していない方対象で、継続的取引がない前提はオープン懸賞となります。
 

その上で、設定できる金額=通常2,000円の部分が変わります。
 

キャンペーン期間なし、二重価格表示のルールを無視、提供できる景品の上限価格を超えているなど、どれか1つでも守れていない場合は景品表示法に抵触してしまいますので気をつけていただきたいところです。
 

モニター商法

消費者にとっては嬉しいモニターですが、それを逆手にとって悪徳商売をする業者もいるようです。
モニター商法とは、モニターになると商品が安くなる、モニター料といった名目で収入を得られるといった勧誘を行なう商法のことを指します。
 

この商法には2種類あり、1つ目はモニターになって商品のレポート提出、アンケートに協力、感想文の提出などをするとモニター以外の人よりも商品の代金やサービスの料金が安くなるといって勧誘すること。
 

2つ目は、モニターになると商品の代金やサービスの料金は支払う必要があるが、商品のレポート提出、アンケートに協力などをするとモニター料が得られるためすぐに支払った料金以上の収入が得られる、元が取れるなどとして勧誘すること。
 

しかし、実際にはモニターという名目の悪徳商法であり、通常購入しているのと変わらない場合があるようです。
モニターという名目で悪徳商法をすると業務提供誘引取引として、特定商取引法違反となりますので絶対にしてはいけません。
 

事業主側にとって気軽に出来るいわゆるモニターキャンペーンですが、安易に行っていると様々な法律に触れる可能性があるのできちんと理解し行っていただきたいものです。
 

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広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
近年、景品表示法に基づく措置命令や課徴金納付命令が多く出されており、ナンバーワン表記や二重価格表示、そして「飲むだけで痩せる!」などの事実と異なる表記への取り締まりが一層強くなっているのが現状です。
 
加えて、美容健康業界の企業様は、事実に反する表示での景表法違反にも注意ですが、よくご質問を頂くアンチエイジング系の若返りワードや、肌色を変える美白系のワード、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

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ネットで調べても何が正しいか分からない!自社内で審査すると時間がかかる!と広告表現についてお悩みのお客様は、是非一度弊所をご活用いただければ幸いです。

 

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【無料】セミナーテキストのサンプル版配信中!


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弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は年に4回、弊所主催のセミナーを開催しております。弊所へのご相談者含め様々な方から
・過去開催セミナーが気になる!
・どんな内容のセミナーを開催しているか知りたい
などのお声を頂戴しておりましたので、セミナーテキストの一部を抜粋したサンプルテキストを公開しております。
※あくまでセミナーテキストの一部になります。セミナー全体の内容はレポート内の目次の項目全てですので、気になる方は是非セミナーにご参加ください。

 

本セミナーテキストサンプルは2022年6月に開催いたしました、
「弁護士が解説する薬機法・景表法・特商法の基礎&特商法改正」セミナーのテキストのサンプルになります。参考用として、セミナー内で解説した薬機法・景表法・特商法の概要に加え、違反事例の解説スライドも一部お見せいたします。

今後のセミナー参加を検討するにあたっての一助になりますと幸いです。
お申し込みは下記フォームよりお願いいたします。

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景品表示法が適用にならない事例とは?

景品表示法に該当しないサービスや景品類とは

(1)取引本来の内容をなすもの

例)
宝くじの当選金、パチンコの景品、
喫茶店などでコーヒーについてくる砂糖とクリームのサービス

(2)仕事の報酬としてもらえるもの

例)モニターに対して支払われる仕事としての報酬

(3)同一商品の付加の場合

例)
この化粧品を買うと、もう1本無料でプレゼント
コーヒーを1杯頼むともう1杯サービス、
クリーニングスタンプ◯◯個でYシャツ1枚分サービスなど。
※但し以下の場合は、景品表示法に該当します。

例)
コーヒーを飲んだらジュース1杯をサービス、
ハンバーガーを買ったらフライドポテトをサービスなど、
提供した商品と別のものを景品として提供すると、同一商品の付加とはみなされず景品表示法に抵触してしまいます。

(4)商品を二つ以上組み合わせて販売することが商習慣になっている場合

例)乗用車とスペアタイヤ

(5)商品を2つ以上組み合わせることにより独自の機能効用を持つ商品

例)
菓子と玩具のおまけ付き、
パック旅行(食事付き、劇場、お土産がついてくる)など

(6)単なる値引きの場合

例)
◯◯個以上買うと、◯◯円引き、
化粧水を買うとその場で乳液を◯◯%引き、
◯◯円のお買い上げごとに、次回のお買い物から◯◯円値引き、
合計金額から◯◯%値引き、
ポイントが◯◯溜まれば◯◯円分キャッシュバック。
※但し、値引きした分の使い道をお店側が限定してしまうと、単なる値引きに該当せず景品表示法の「景品類」としてみなされます。

例)
購入商品は値引きするが、値引き分は温泉旅行費用に充てる、
携帯本体の料金は無料だけど、その分ネット通信に充当する、
このピアノを買うと10万円の値引きか招待旅行のいずれかを選択できる。などです。

景品表示法は、業界を問わずほとんどの事業主に関わるため比較的問い合わせが多い法律です。そのため、景品表示法に全く抵触しないケースでも「もしかして」と思い込み悩んでしまう事業主もたくさんいます。
少しでも心配であれば、これをきっかけに専門家などに相談してみるのもいいのではないでしょうか。