事業主なら知っておきたい、社会保険、労働法一般、解雇について

事業を営んでいる方が人を雇い入れる場合、社会保険や労働法の問題、場合によっては解雇の問題等がかかわってきます。
これらにつき、法律などにより様々なルールが定められておりますが、ここでは、事業主なら知っておきたい一般的な内容について見ていきたいと思います。
 

事業主なら知っておきたい、社会保険の適用ルールとは?

日本の社会保険制度においては、会社や事業主側が手続きをしたり、支払いをしたり等しなければならない部分が多々あるため、事業主側において社会保険の適用ルールを知っておく必要があります。
 

そこで、今回は、社会保険が適用になるルールなど、事業主の目線で社会保険をご紹介したいと思います。
 

社会保険とは

一般的に、社会保険とは、次の5つの保険を包括した総称のことを言います。
 

  • ・健康保険:病気やケガによる通院・入院・長期休業、出産、育児休業関係の保険
  • ・介護保険:介護ケア関係の保険
  • ・年金保険:遺族の生活保障、障害状態の生活保障、老後の生活保障関係の保険
  • ・雇用保険:失業時の生活保障、スキルアップ関係の保険
  • ・労災保険:業務にかかわる病気やケガ関係の保険
    ※なお、雇用保険と労災保険をあわせ、労働保険と呼びます。

 

これらは、加入することが国から義務付けれている保障制度であり、病気などの理由で仕事ができない状態になった時でも最低限の生活ができるように個人が国に保障されている保険と言えます。
 

事業主はこれらの社会保険の保険料を従業員の給与から計算し、会社としてあるいは従業員の代理として支払うなどします。労災保険については会社・事業主が全額負担になっており、事業主にかかる負担は大きいと言えます。
 

社会保険の適用ルールとは

社会保険の内の健康保険、年金保険について見ますに、それらの保険は会社に所属していない個人でも、保険に加入し保険料を支払っています。
 

会社に所属していない個人、または個人事業主の場合は、原則として、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになっています。加入しないと、医療費の3割負担等がなくなり全額負担になるなどします。
 

このように、本来自分で加入することができる保障制度ですが、法律により、従業員を雇用した場合において社会保険の切り替えが必要なことなどが定められています。
 

それでは、事業主側はどのような場合に社会保険に切り替えなければならないのでしょうか。
 

健康保険法第3条や厚生年金保険法第6条で、強制加入の事業所とはどのような場合かが明示されています。
 

健康保険、厚生年金保険の強制適用事業所とは下記の事業所をいいます

健康保険・厚生年金保険においては、「事業所」を一つの単位とします。
 

健康保険の適用を受ける事業所を適用事業所といい、法律によって加入が義務付けられている強制適用事業所と、任意で加入する任意適用事業所の2種類があります。
 

強制適用事業所は、次の①又は②の事業所です。
 

  1. ①次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所a製造業b土木建築業c鉱業d電気ガス事業e運送業f清掃業g物品販売業h金融保険業i保管賃貸業j媒介周旋業k集金案内広告業l教育研究調査業m医療保健業n通信報道業o士業など
  2. ②国又は法人の事業所常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

 

概ね、①は個人事業所の場合、②は法人の事業所の場合と整理できます。
 

(農林漁業、サービス業を除き)個人事業所の場合は、5人以上の従業員を常時使用する場合、強制適用事業所となります(サービス業は除きますので、個人事業の場合、飲食店や美容業等のサービス業については、従業員が何人いようと強制適用事業所にはなりません。)。
 

法人の事業所の場合ですが、代表取締役や役員も加入の対象となります。よって、法人の事業所であれば規模を問わず全ての事業所において原則加入が義務付けられます。
 

現在、個人事業主であっても、今後、従業員を雇う場合や法人に切り替えるときのために、社会保険制度についてはきちんと知っておく必要があります。
 

事業主なら知っておきたい労災について。雇用保険とその法律とは?

次に、社会保険の一つである、雇用保険について見ていきたいと思います。
 

雇用保険は国の保険制度であり、強制保険です。その役割は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うことなどです。
 

日本では、昭和22年(1947年)に失業保険法として制定され、昭和49年(1974年)に雇用保険法に改正されました。
 

事業主は労働保険料の納付、雇用保険法の規定による各種の届出等の義務を負うことになっています。
 

雇用保険の適用ルールを、分かりやすくポイントに分けて紹介します。
 

雇用保険とは

【ポイント①】

雇用保険については、(農林水産業の一部の事業を除き)業種、規模等を問わず、すべて適用事業となり強制加入が必要です。
 

雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、原則としてその意志にかかわらず当然に被保険者となります。ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満である方や同一の事業主に係属して31日以上雇用されることが見込まれない方は雇用保険の適用除外となるなど、雇用形態等により被保険者とならない場合もありますので確認が必要です。
 

【ポイント②】

1人でも従業員を雇用していれば、雇用保険加入手続きが必要となります。
 

正社員の外、パートやアルバイトであっても(適用除外になる場合を除き)雇用保険への加入が必要となります。
 

【ポイント③】

雇用保険法に基づき、適用基準を満たす労働者については、事業主や労働者の意思に関係なく、被保険者となった旨を公共職業安定所(ハローワーク)に届け出なくてはなりません。こちらの届け出は事業主が行うものとなります。具体的には次の通りです。
 

【雇用保険の加入手続き方法】

事業主は、事業を開始し労働保険の適用事業となったとき、まず、「労働保険の保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所に提出します。
 

そして、その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付することになります。
 

また、雇用保険の適用事業となった場合は、上記のほかに、「雇用保険適用事業所設置届」および「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄の公共職業安定所に提出しなければなりません。
 

その後新たに従業員を雇い入れた場合は、その都度、事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。
 

この届出によってハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」については事業主から本人に渡す必要があります。
用意する書類等については、専門家へ相談するのがいいでしょう。
 

アルバイトを雇う前に。知っておくべき雇用ルール【契約面】

雇用における法律などは、企業内における人事や法務など専門的知識を持ち合わせた人でない限り、あまり知らないというのが現状です。
 

また、アルバイトやパートタイム従業員を雇用する際、ともすれば安易に考えがちになってしまいますが、アルバイトやパートタイム従業員を雇用する際にも労働法等が適用されます。
 

そこで、ここでは、募集をかけて実際にアルバイトを採用することになった時、従業員が働く前にすべきことを、労働基準法等に基づいてご紹介します。
 

【社会保険への加入】

採用したアルバイトが事前にどんな保険に入っていたかはさておき、事業主側は以下で適用する条件に沿ってそれぞれの保険に加入する義務があります。
 

【労災保険】

雇っている人数、期間や労働時間に関係なく、1日だけの短期アルバイトも含めてすべての従業員が対象の保険です。
 

労災保険は、万一の労働災害や通勤災害の時に従業員を守るものであることはもちろん、わずかな保険料で事業主に代わって補償・給付を行う制度ですから、忘れずに加入しましょう。
 

 

【健康保険・厚生年金保険】

アルバイト等が被保険者の対象になるか否かの判断は、同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の所定労働時間および所定労働日数を基準に判断することとなります。

労働時間及び労働日数がいずれも一般社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。

その他、特定適用事業所等の場合は、4分の3未満でも該当する場合がありますので、詳細は専門家に確認するのが良いでしょう。

 

 

【雇用保険】

1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上引き続き雇用されると見込まれる従業員は、アルバイトまたはパートタイマーであっても雇用保険の対象となります(但し、学生は原則として雇用保険の適用除外となります。また、季節雇用者も適用除外になる場合があります。)。
 

雇用した際、保険に加入すると、保険料負担につき事業主側が負担する部分があり、支払っている給料以上に出費がかさむことから、これをおろそかにする事業主が少なくありません。

ですがそれは違法行為となってしまいますので、加入義務があるかを確認し、今からでもスムーズな手続きを行いましょう。

 

 

【雇用契約書を交わす】

保険等の手続きも重要ですが、実際に働く前には、働く条件等を記載した雇用契約書を従業員と結ぶなど、労働条件を明示することが必要です。
 

アルバイトなのか正社員なのか、雇用形態により契約書等で記載及び合意する事項が異なりますので注意が必要ですが、共通していることは雇用契約書や労働条件通知書などの書面で従業員に通知することが義務づけられていることです。

 

雇用契約書や労働条件通知書には、

 

  • ・労働契約の期間
  • ・仕事をする場所・仕事の内容
  • ・勤務時間、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交替制勤務の場合のローテーション
  • ・賃金の決定、計算と支払の方法、締切と支払時期
  • ・退職に関すること、解雇事由等

 

等を記載する必要があります。
 

記載すべき条件につきましては、労働基準法第15条、同法施行規則第5条、とパートタイム労働法(正式には短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の完全等に関する法律といいます。)第6条等をご確認頂ければと思います。

 

更に、労働条件の明示については改正があり、2024年4月から労働条件明示のルールが変わることになります。

 

それまでは、「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容を明示するだけでよかったのですが、改正により、これらの「変更の範囲」についても明示することが必要になりました(変更の範囲とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。)。

 

そのほかにも明示する事項が増えるなどしていますので、改正後のルールについてもご注意下さい。

 

【解雇に関して】

解雇に関してのトラブルは後を絶ちません。

アルバイトやパートタイムであっても、解雇条件は正社員と同等の条件が適用されます。
 

法律により解雇が禁止されている場合(労働基準法第19条外)では、

 

  • ・業務上の傷病により休業している期間と、その後30日間の解雇
  • ・産前産後の休業している期間と、その後30日間の解雇
  • ・女性であること、あるいは女性が結婚、妊娠、出産、産前産後の休業をしたという理由による解雇
  • ・国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
  • ・労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇

 

などは禁止されていますが、これらはアルバイトであっても異なりません。
 

アルバイトを雇う前に。知っておくべき雇用ルール【労働基準法・時間と金銭面】

一見、簡単に雇えそうなアルバイトやパートタイムなどの短時間労働の雇用ですが、アルバイトもパートタイマーも、法律上、会社が雇用している「労働者」として定義されており、労働基準法等による規律があります。

 

今回は、アルバイトの雇用前に知っておきたい条件、特に時間や金銭面に焦点をあててご紹介します。
 

まず最低労働賃金を確かめよう!

短時間労働が前提のアルバイトやパートタイムの雇用は、時給制を導入するのが一般的です。時給の金額は地域により最低労働賃金が定められています。その上、一部の業種や特定の職種でも最低賃金が異なりますので、地域と職種から提示するべき時給の金額を確かめる必要があります。

 

労働時間と休憩時間とは?

アルバイトまたはパートタイムの労働時間は、休憩時間を除き原則として1週間40時間、1日8時間までと決められています。
 
休憩時間は1日の労働時間により、以下の時間が労働基準法で定められており、この時間(以上)の休憩時間を設けることが義務となります。

1日の労働時間が

6時間まで ⇒ なし
6時間を超え8時間まで ⇒ 45分以上
8時間超 ⇒ 60分以上

 

有給について

給料をもらいながら休める有給制度。一見、正社員や契約社員のような長期的な雇用形態だけが適用する制度のようにもイメージしてしまいがちですが、アルバイトやパートタイムでも採用から6か月を経過した場合は適用になります(但し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して与えるものとなります。)。さらにその後1年を経過するごとに取得できる有給日数が異なります。
 

雇用しようと思っているあるアルバイトまたはパートタイム従業員の勤続日数が6ヶ月を超えるのか否かでまず有給適用になるか否かが分かれますので、事前に頭に入れておくべきでしょう
 

尚、例えば契約更新をしてトータルで6ヶ月を超える場合にも、同条件が適用になります。

 

残業代について

残業代や深夜手当などの割増手当は、雇用形態を問わずすべての従業員に適用されます。時給にも最低賃金があるように、残業代や深夜手当の金額にも最低支払わないといけない額が定められています。アルバイトまたはパートタイムに関しては以下のとおり計算をしなければなりません。

 

 

時間外(時間外手当・残業手当)

1日8時間・週40時間を超えたときは25%以上(1か月に60時間を超える時間外労働の割増率は、50%以上

 

休日労働(休日手当)

法定休日(週1日)に勤務させたときは35%以上

 

深夜労働(深夜手当)

22時から5時までの間に勤務させたときは25%以上

雇用形態の多様化で、アルバイトやパートタイム従業員は会社にとっては欠かせない存在となっています。当事者にも責任を持って働いてもらえるようにするためにも、労働条件をきちんと確認した上で提示し、お互い気持ちよい関係性が築ければいいですね。

 

事業主なら知っておきたい解雇と労働法のこと

日本では、解雇にまつわる問題はとても敏感です。なぜなら、労働者は労働法規により働く権利が強く保護されているからです。
 
とはいえ、現実的に雇い入れた従業員がすべて適合しているかと言われれば疑問が残る場合もあるのではないでしょうか。そこで今回は労働法と解雇についてご紹介します。

 

 

労働法とは

「労働法」という名称の法律はなく、労働法は、労働関係および労働者の地位の保護・向上を規整する法の総称です。代表的なものとして、労働基準法などがあります。

 

労働問題に関する様々な法律をひとまとめにして労働法と呼んでいて、そのは、労働基準法や労働組合法をはじめ、男女雇用機会均等法、最低賃金法といった様々な法律が含まれています。

 

労働法設定の背景は、近代以降の資本主義の展開にともない、事業主と労働者との関係に自由平等を原則とするよう設定されました。そのため、雇用される従業員はこの法律に守られているといっても過言ではありません。

そのため、事業主都合による勝手な解雇などもしにくいというのが現状なのです。

 

労働契約法第16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とすると定めています。

いわゆる解雇権濫用法理を明文化したものとなります。

 

労働契約法第17条

期間の定めのある雇用契約(有期労働契約)では、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、その労働期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができないことを定めています。

 

解雇とは

そもそも解雇とは、事業主の一方的な意思表示による労働契約の解除のことを指しています。解除に当たり労働者の合意がないものです。

 

そのため、労働者の生活を断ち切ってしまうことにもなるので、不意打ちのような形で行われることがないよう、各種の法制で規制が設けられています。

 

解雇をすることができる条件として、客観的・合理的理由が必要です。

 

例えば、経営不振による解雇(整理解雇)、長期的な入院や病気、不良な勤務態度や勤務状況、労働能力の欠如、経歴詐称などですが、解雇するに足る正当な理由があるか否かについては、先に述べたように客観的・合理的理由が必要です。

 

勤務態度で言えば、解雇に値する程度の勤務不良が必要となります。その外、それまでに注意していたか、それまでに戒告等をしていたか、弁明の機会を与えたか等々も加味して、解雇が有効か無効か、判断されることになります。

 

不当解雇を行った場合は、解雇が無効となったり、損害賠償責任が問われたりする可能性がありますので詳しいことについては専門家に相談するのが安心です。

 

解雇方法

労働契約法第20条第1項では、事業主が労働者を解雇しようとする場合は、労働者に、少なくとも30日前の予告をしなければならないことが定められています。予告をする際は、解雇日について、何年何月何日というように特定しておかなければなりません。

 

なお、予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することが出来るとされています。

 

30日分の賃金を払えば30日まるまる短縮できますし、10日分を払えば予告期間は20日で良いことになります。

 

解雇トラブルは後を絶ちませんので、法律等をよくご確認頂き、実際に解雇していいのか悩ましい場合は、専門家に相談するなどしましょう。

機能性表示食品の広告に対する注意点

機能性表示食品とは

機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。
 

この制度に基づいた食品を「機能性表示食品」といいます。
 

例えば、皆さんも、○○という成分は高めの血圧を下げる効果が報告されている、△△という成分は高めの中性脂肪を低下させる効果が報告されている(このような機能が認められている成分を機能性関与成分といいます。)などと記載されている商品を見たことがあると思います。このような内容が記載されている商品の多くは、機能性表示食品です。
 

機能性表示食品のポイントは、事業者がその責任をもって科学的根拠に基づいて機能性を表示している点です。同じ保健機能食品である特定保健用食品と異なり、機能性表示食品は、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
 

つまり、事業者が根拠としている科学的根拠が裏付けとならない場合には、届出内容と合致した広告であったとしても、景品表示法や健康増進法違反とされる可能性があります。
 

消費者庁は機能性表示食品についても摘発や指導をしている

(1)はじめに

機能性表示食品制度は、平成27年4月に始まった、比較的新しい制度です。また、機能性表示食品制度は、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるようにという趣旨で始まりました。
 

その甲斐もあってから、機能性表示食品は非常に増えてきています。そして、それとともに、不適切な広告も増えてきているようです。そのため、消費者庁は、機能性表示食品に対する景品表示法や健康増進法に基づく法適用を行ってきています。
 

以下、過去の事例とともに見ていきましょう。
 

(2)届出内容を逸脱した広告で措置命令が出た事案

平成29年11月7日に、消費者庁は、葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分として痩身効果を標ぼうする機能性表示食品の販売業者16社に対し、16社が供給する機能性表示食品の表示について、景品表示法に違反する行為(優良誤認)が認められたことを理由として、措置命令を出しました。
 

葛の花由来のイソフラボンは、肥満気味な方の体重、お腹の脂肪(内臓脂肪や皮下脂肪)、ウエスト周囲径を減らすのを助ける機能があることが報告されています。ですので、本来であれば、届出内容を基に広告をしなければなりません。
 

しかしながら、措置命令を受けた16社は、上記の届出内容を超えて、痩身効果、さらには、何もせずとも痩せるといった広告をしてしまったがために、優良誤認に該当すると判断され、措置命令が出たとされています。
 

つまり、届出内容を逸脱した広告によって措置命令が出たといえます。なお、上記の事案は、機能性表示食品に対する初の景品表示法上の措置命令で、機能性表示食品にも措置命令が出るということで、非常に騒がれました。
 

(3)根拠資料が不適切であったために措置命令が出た事案

令和5年6月30日に、消費者庁は、血圧を下げる、中性脂肪を下げる、LDLコレステロールを抑えること標ぼうする機能性表示食品の販売業社に対し、同社が供給する機能性表示食品の表示について、景品表示法に違反する行為(優良誤認)が認められたことを理由として、措置命令を出しました。
 

本件について消費者庁から公表された内容を確認すると、消費者庁が、販売業者に対し、景品表示法7条2項(不実証広告規制)に基づいて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から提出された資料が合理的な根拠を示すものであるとは認めることができないと判断したようです。
 

この内容からは、機能性関与成分の問題というよりは提出された資料に不備があったのか、そもそも機能性関与成分が機能性を有していなかったのか分かりにくいところですが、実際のところは、前者であったようです。つまり、機能性表示食品として届け出をする際に提出する科学的根拠に不備があったということが原因で優良誤認であると判断され、措置命令が出たということのようです。
 

これは、機能性表示食品に関し、根拠資料が不備であることを理由として措置命令が出たのは初めての事案となります。なお、仮に、そもそも機能性関与成分が機能性を有していなかった場合でも、優良誤認と判断されると考えられます。
 

(4)切り出し表示についても注意

令和4年3月31日、消費者庁は、認知機能に係る機能性を標ぼうする機能性表示食品の表示に関する改善指導及び一般消費者等への注意喚起についてと題して、公表資料を公表しました。
 

公表資料によると、これには2つの類型が含まれており、1つが景品表示法及び健康増進法に基づく改善指導がなされたものです。3事業者3商品あり、以下のようなものがありました。
 

①物忘れや認知症の治療や予防効果等の医薬品的効果効能が得られるかのような表示

②届出表示の一部を切り出して強調することで届出された機能性の範囲を逸脱した表示

③機能性表示食品を摂取しても解消に至らないにもかかわらず身体の組織機能等に係る不安や悩みを列挙した表示

④届出表示の内容について消費者庁の許可や承認を受けているかのような表示

⑤実験結果及びグラフを用いることにより届出された機能性の範囲を逸脱した表示
 

このような表示を改善指導に留めた理由としては、スピードを重視した(措置命令を出すとなると、調査に時間がかかり、その間に被害が出る恐れがある。)と言われていますが、表示内容を見ると、景品表示法、健康増進法、薬機法のいずれにも違反すると考えられる表示もあります。
 

また、もう1つの類型が健康増進法に基づく改善指導がなされたものです。これは、112事業者128商品があり、以下のようなものがありました。
 

①届出された機能性の科学的根拠が得られた対象者の範囲が限定されているにもかかわらず、当該対象の範囲外の者にも同様の機能性が期待できるものと訴求する表示

②届出表示の一部を切り出して強調することで、届出された機能性の範囲を逸脱した表示

③機能性表示食品を摂取しても解消に至らないにもかかわらず身体の組織機能等に係る不安や悩みを列挙した表示

④届出表示の内容について、消費者庁の許可や承認を受けているかの表示

➄実験結果及びグラフを用いることにより、届出された機能性の範囲を逸脱した表示を行う場合
 

最初の類型と重複するような内容もありますが、ここで注意をしてほしいのは、切り出し表示です。
 
広告を作成する際、届出内容をそのまま抜き出さず、訴求したい部分を強調するために切り出して表示することはよくあると思われます。
 

しかしながら、訴求部分を強調したいがために、限定された条件であったり(対象者が中高年であるにもかかわらず、全ての年代に効果があると誤認させる等)、作用機序の一部を切り出してしまったり(血流の改善から認知機能の一部を維持するという効果であるにもかかわらず、脳の血流改善と切り出す等)して、結果として違法な広告となってしまう可能性があります。
 

なお、機能性表示食品の定義を異なる形で表示して(国の商品を得た等)アピールするといった広告も散見されますが、このような広告も違法と評価される可能性が高いです。
 

まとめ

以上のとおり、消費者庁が機能性表示食品に関して、過去に摘発や指導をしてきた事案を見てきましたが、機能性表示食品については、以下のような点に注意して広告をすることを心掛けるのが良いように思います。
 


・届出内容に沿った形での広告
・機能性関与成分と根拠資料の合致を確認してから広告
・切り出し表示をする場合には、届出内容とのずれがないか確認してから広告

 

判断が難しい場合には、当事務所にご相談いただければ、適切にアドバイスをさせていただきます。
 

広告表現にお悩みの方は薬機法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士にご相談下さい


 

丸の内ソレイユ法律事務所は、2016年、弁護士業界ではいち早く美容健康分野に対するリーガルサービス提供を開始し、現在では健康博覧会、ビューティーワールド ジャパン、ダイエット&ビューティーフェアでの薬機法セミナー講師を務めるなど、美容健康業界に対する広告適正化に向けての啓蒙活動も行っている法律事務所でございます。
 

これでは何も訴求できない、どんな風に書けばいいのかわからないーそのようにお悩みの方、企業の販促・プロモーション・広告担当の方、弊所は法律に則った訴求表現のアドバイスもさせていただくことが可能ですのでぜひ一度ご相談ください。
 

広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
若返り系のワード以外にも、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

弊所では美容広告に詳しい弁護士が多数在籍しており、皆様のご不安に寄り添うことができます。
丸の内ソレイユ法律事務所の広告審査は、スポットでA4 1枚/11,000円からご依頼頂けます。(1枚単価がお安くなる顧問プランもございます)
全て弁護士がチェックしており、グレーな部分は行政へ確認を取ってからレポートをお戻ししております。

 

ネットで調べても何が正しいか分からない!自社内で審査すると時間がかかる!と広告表現についてお悩みのお客様は、是非一度弊所をご活用いただければ幸いです。

 

>>お問い合わせ・お見積りはこちらから(初回相談30分無料・広告データも送信できます)
 

ドミノ・ピザに対する景品表示法に基づく措置命令について解説

令和5年6月27日にドミノピザが景表法違反で消費者庁から、措置命令が出されています。
 

措置命令の対象となった事実として、ドミノピザが配布しているチラシに、商品の税込価格が記載されていましたが、実際に商品購入時に支払う金額には、その商品の税込価格にサービス料(6~7%)が上乗せした金額が求められています。
 

この表示内容が、景表法5条2項の有利誤認表示として、消費者庁の措置命令の対象となったのです。
 

消費者庁報道資料より

 

なお、サービス料に関しては、チラシの裏面に小さな文字で記載されていましたが、表示が目立たなかったため、打ち消し表示と認められませんでした。
 

最近ですと、商品の品質を著しく優良に表示する優良誤認表示が、措置命令の対象としては、数多く公表されている中、価格面を優良に表示する有利誤認表示での措置命令は少数派ではありましたが、今回の措置命令を皮切りに、今後同様に有利誤認の指摘事例が増える可能性もあります。
 

価格表示の方法に関しては十分に注意するようにしましょう。
 

広告表現にお悩みの方は景表法・薬機法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士にご相談下さい

 

丸の内ソレイユ法律事務所は、2016年、弁護士業界ではいち早く美容健康分野に対するリーガルサービス提供を開始し、現在では健康博覧会、ビューティーワールド ジャパン、ダイエット&ビューティーフェアでの薬機法セミナー講師を務めるなど、美容健康業界に対する広告適正化に向けての啓蒙活動も行っている法律事務所でございます。
 

これでは何も訴求できない、どんな風に書けばいいのかわからないーそのようにお悩みの方、企業の販促・プロモーション・広告担当の方、弊所は法律に則った訴求表現のアドバイスもさせていただくことが可能ですのでぜひ一度ご相談ください。
 

広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
近年、景品表示法に基づく措置命令や課徴金納付命令が多く出されており、ナンバーワン表記や二重価格表示、そして「飲むだけで痩せる!」などの事実と異なる表記への取り締まりが一層強くなっているのが現状です。
 
加えて、美容健康業界の企業様は、事実に反する表示での景表法違反にも注意ですが、よくご質問を頂くアンチエイジング系の若返りワードや、肌色を変える美白系のワード、ビフォーアフター写真のような若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
 

弊所では広告・プロモーション法務に詳しい弁護士が多数在籍しており、皆様のご不安に寄り添うことができます。
丸の内ソレイユ法律事務所の広告審査は、スポットでA4 1枚/11,000円からご依頼頂けます。(1枚単価がお安くなる顧問プランもございます)
全て弁護士がチェックしており、グレーな部分は行政へ確認を取ってからレポートをお戻ししております。

 

ネットで調べても何が正しいか分からない!自社内で審査すると時間がかかる!と広告表現についてお悩みのお客様は、是非一度弊所をご活用いただければ幸いです。

 

>>お問い合わせ・お見積りはこちらから(初回相談30分無料・広告データも送信できます)
 

「ダイエット」の広告表現について

広告でやはりよく見受けられる表現として、「ダイエット」という表現は、事業者としては使用したい表現かと思います。そこで、このような「ダイエット」という表現は広告表現として認められるものなのでしょうか。
 

ダイエットは可能?

結論から言ってしまえば「ダイエット」という表示は、痩身効果を暗示するものであり、訴求力が強い反面、基本的にはいわゆる健康食品では表示できない、むしろ行政から良く指摘の対象となる表現となります。(ただし、食事の置き換えダイエットは除きます。)
それでは「ダイエット」という表現が認められる場合はあるのでしょうか。具体的に検討していきましょう。
 

「ダイエット」という言葉で問題となるのは、そのイメージの強さで、先に述べたとおり、痩身を暗示します。そして、痩身というのは商品によって発生する何らかの生理的な作用により、結果として「痩せる」こととなります。したがって、「ダイエット」(痩身)というのは、商品の二次的、場合によっては、三次的な効果(結果)となるため、「ダイエット」という表現は禁止されている訳です。
 

ダイエット効果を謳うには

そこで、「ダイエット」に繋がる効能効果を具体的にして表現をすることが考えられます。
 

つまり、糖質の吸収を抑えるのか、食後の血糖値の上昇を抑えるのか、脂肪の燃焼を助けるのか、脂肪の吸収を抑えるのか、BMIが減るのか、筋肉を鍛えるのか、食事の置き換えなのか等、商品の効能効果を具体的にするということです。
 

その上で、その効能効果が、商品の性質上表示できるものなのかを検討する必要があります。昨今では健康食品の中でも機能性表示食品等で、上記の例示(糖の吸収を抑える等)を挙げている商品が増えています。直接「ダイエット」という表示はできなくても、間接的な効能効果を表示することで、「ダイエット」という表示に近い訴求力を得ようという商品が多く販売されるようになってきています。
 

以上見てきたとおり、「ダイエット」という表示は基本的にできませんが、それに近い表示は認められる方法はあります。商品によって、表現できる内容は変わりますので、お悩みの際はご相談下さい。

 

おすすめ関連記事

>>ダイエットサプリメント(機能性表示食品)に対し消費者庁より措置命令
>>広告審査チェックサービスのご紹介
 

広告表現にお悩みの方は薬機法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士にご相談下さい


 

丸の内ソレイユ法律事務所は、2016年、弁護士業界ではいち早く美容健康分野に対するリーガルサービス提供を開始し、現在では健康博覧会、ビューティーワールド ジャパン、ダイエット&ビューティーフェアでの薬機法セミナー講師を務めるなど、美容健康業界に対する広告適正化に向けての啓蒙活動も行っている法律事務所でございます。
 

これでは何も訴求できない、どんな風に書けばいいのかわからないーそのようにお悩みの方、企業の販促・プロモーション・広告担当の方、弊所は法律に則った訴求表現のアドバイスもさせていただくことが可能です。ぜひ一度ご相談ください。
 

広告は文章だけでなく、広告全体から判断されます。
ダイエット・痩身効果系や若返り系のワード以外にも、ビフォーアフター写真のようなダイエット・痩身効果や若返りを暗示する写真やイラストでの表現も薬機法違反の対象となりますので注意が必要です。
弊所では美容広告に詳しい弁護士が多数在籍しており、皆様のご不安に寄り添うことができます。
 

丸の内ソレイユ法律事務所の広告審査は、スポットでA4 1枚/11,000円からご依頼頂けます。(1枚単価がお安くなる顧問プランもございます)
全て弁護士がチェックしており、グレーな部分は行政へ確認を取ってからレポートをお戻ししております。

 

ネットで調べても何が正しいか分からない!自社内で審査すると時間がかかる!と広告表現についてお悩みのお客様は、是非一度弊所をご活用いただければ幸いです。

 

>>お問い合わせ・お見積りはこちらから(初回相談30分無料・広告データも送信できます)

機能性表示を巡る争い【ブルーベリーは目に良いのか?】

日本アントシアニン研究会は、平成28年7月5日付けで、「八幡物産株式会社、北の国から届いたブルーベリー(機能性表示食品、届出番号A164)」について、機能性表示食品としての届出を撤回するよう申入れをしました。
 

「北の国から届いたブルーベリー」については、「機能性表示食品として消費者庁に届出を受理されました。機能性表示食品『北の国から届いたブルーベリー』にはビルベリー由来のアントシアニンが含まれます。
 

アントシアニンには、パソコン作業、事務作業など目をよく使うことによる、目の疲労感、ピント調節機能の低下を緩和することにより、目の調子を整える機能があることが報告されています。」などという広告が行われていますが、これに対し、日本アントシアニン研究会は、ビルベリー由来のアントシアニンには、「目の調子を整える機能があることを報告する文献は存在しない。」、目の疲労感の緩和についても「プラセボ群と比較したRCTにおいて、眼精疲労自覚症状について有意に改善されるという推論が否定されている。」などとして、届出表示には科学的根拠がないのではないかと主張しています。
 

機能性表示について、両者の主張が真っ向から対立している状況ですが、届出を受理した消費者庁は、どのように考えているのでしょうか。
 
科学的根拠があるかないかは、すくなからず評価の問題を含みます。誰が見ても科学的根拠がある、だれがみても科学的根拠がないと断言できる案件はそう多くなく、本件のように主張が異なる場合にどのような解決を行うのか、その仕組みづくりが必要なように思われます。
 

関連記事

>>機能性表示食品の広告に対する注意点はこちら

課徴金納付命令とは

景品表示法に違反する行為に対しては、措置命令などの措置が採られます。

また、事業者が不当表示をする行為をした場合、景品表示法第5条第3号に係るものを除き、消費者庁は、その他の要件を満たす限り、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じます(課徴金納付命令)。ここでは、課徴金の納付について、よくある質問をまとめました。

まず、課徴金納付の流れは次の図の通りです。

(消費者庁サイトより)

  • 課徴金の納付について

「課徴金納付命令」が出された場合、例えば、課徴金を納めること自体について不服がある場合や課徴金の金額に不服がある場合には、事業者は、不服申し立てをすることができます。

不服申し立てをする方法は2つあります。

1つ目は、行政不服審査法第4条第1号に基づき、消費者庁長官に対して審査請求を行う方法です。

もう一つは、行政事件訴訟法第3条第2項に基づき、処分取消訴訟を行う方法です。

 1)支払いの期限はありますか?

課徴金を課せられた事業者のところには、「課徴金納付命令書」が送られてきます。この命令書には、納めなければならない課徴金の金額、課徴金の金額の計算の根拠、課徴金の対象とされた行為、課徴金を納めなければならない期限などが書いてあります。課徴金は、この課徴金納付命令書が出された日から7か月以内に納めなければなりません。

 

 2)期限までに支払わないとどうなりますか?

消費者庁から、督促状が送られてきます。督促状には新しい納付期限が書いてあり、その期限内に課徴金を納めるよう求められます。

 

 3)督促状が送られるということは延滞金などのペナルティはありますか?

→ あります。

課徴金を納めなければならない日の翌日から、実際に課徴金を納付した日まで、年14.5パーセントの延滞金の支払い可能性があります。

というのも、景表法には、「延滞金を徴収することができる。」(景表法第18条第2項)とありますので、延滞金を必ず支払わなければならないかというと、そうではない場合もあるようです。督促が行なわれた後は、高率の延滞金を払わなければならなくなる可能性がある点は、注意が必要です

 

もし、この督促状に書いてある期限も守らなかった場合は、課徴金納付命令が執行される可能性があります。具体的には、課徴金納付命令を受けた者の財産が差し押さえられ、最終的には競売などの手続きを経てお金に変えられ、国に納められることになります。

なお、景表法は、事業者の資産等の調査できる権限を行政庁に与えていますから、課徴金を支払わなければならない事業者名義の資産は、照会により明らかにされることになります。

 

 4)課徴金納付命令が出された後、別な会社と合併したらどうなりますか?

存続後の会社が課徴金を払わなければなりませんので、合併をしたとしても課徴金を払わなければいけない状況は変わりません。

 

5) 課徴金を損金に算入することはできますか?

→ できません。

課徴金を損金に算入できるとしてしまうと、実質的に事業者の経済的な不利益が小さくなってしまいます。

例えば、事業者が500万円の課徴金を支払った場合、これが損金に算入できることになれば、課税所得が減り、所得税額や法人税額が減少することになります。課徴金を課すのは、不当な表示をすることが経済的にわりに合わないと事業者に思ってもらい、不当な表示を抑止するためです。

 

売上額の3パーセントというのは、多くの事業者にとって、不当な表示をしたことにより得られた利益をすべて吐き出させる水準です。もし課徴金の損金算入が認められてしまうと、所得税額や法人税額の軽減を通じて、不当な表示をしたことによる利益が事業者に残ってしまうことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうすると、「課徴金を払ったとしても、不当な表示をしたほうが得だ」ということになってしまい、事業者が不当な表示を止めようと思わなくなってしまいます。そもそも、課徴金の制度が作られた理由は、課徴金を支払わせることで、不当な表示が行なわれないようにするためでしたから、この目的を達成するためには、課徴金の損金算入を認めるわけにはいかないのです。

 

前述の通り、課徴金納付命令が出された後も、不服申し立てをすることはできます。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所では、過去にこうした件での対応経験もありますので、お気軽にご相談ください。

「オートファジー効果」を広告で謳うことはできる?

化粧品の広告や紹介で「オートファジー」という言葉を聞いたことはありませんか?

 

「オートファジー」とはどんな意味を持つのか

またそれを広告にうたうことは可能なのか

NGの場合どんな法律に抵触するのか

 

今回は、近年注目を集めている「オートファジー」について、このような点について解説します。

 

「オートファジー」とは?

 

オートファジーとは、細胞内の不要なタンパク質を分解し、浄化する機能のことを言います。

「オートファジー」はAutoa(自ら) Phagy(食べる)、自食作用と訳すことができ、食べたものを体内でリサイクルするという意味合いを含みます。

 

オートファジーは加齢とともに機能が低下することから、肌老化の原因につながると言われています。

逆に言えば、オートファジーの低下がおだやかになると、若々しい肌見せを保つことに期待ができます。そのため化粧品業界は、この「オートファジー」に着目し研究をしているメーカーが多く存在します。

 

食細胞のキャラクター

「オートファジー」の効果は広告で謳える?

 

「オートファジー」に着目し、化粧品の開発や販売することには何ら問題はありません。

しかし「オートファジー効果があるスキンケア」と広告に載せるのは、可能でしょうか?

 

答えはNGです。

 

「オートファジー効果」や「オートファジー機能を活性化する」などの効果を記載すると、アンチエイジングや肌再生という意味合いになるため、広告でうたうことはできません。

 

「オートファジー」は薬機法に抵触する表現

 

「オートファジー」の効果を広告に載せるのは、どのような法律に抵触するのでしょうか?

「オートファジー効果」や「オートファジー機能を活性化する」などと広告に書いた場合は、薬機法に違反する表現となります。

薬機法では化粧品の効能をPRするルールとして、うたえる内容が56項目と決まっているからです。

 

オートファジーが持つ効果「細胞内の不要なタンパク質を分解し、浄化する機能」は一般化粧品の効能56項目から逸脱した表現になります。特に肌再生やアンチエイジングなどは、一発NGになるため、「オートファジー効果」も同じく不可と言えるでしょう。

 

「オートファジーについて研究を重ねた」「オートファジーに着目した」など、直接肌効果に結びつかない表現法が望ましいと言えます。

 

自社の商品・サービスにおいて、「オートファジー」と書きたいけれど、どう書けば薬機法に違反するする可能性が少ないのかわからない。

そんなお悩みがございましたら、一度当事務所にご相談ください。